犯人は確定ね。
イーサン自身は、犯人に思い当たる人物がいた。さらにその犯人が、どんな人物を眠り姫に仕立ているのかも気づいている。だが過去の出来事では、証拠を掴めずにいた。
今回、もしやと思い、イーサンは行動に出た。つまり私が口にしたもの、特製ベリージュースが入ったグラス、エスプレッソが入ったデミタスカップ。この二つを店員に頼み、一時保管させていたのだ。
それが出来たのは、イーサンが王立騎士団の副団長だったからというのもある。
そして私はバレエの観劇のため、着席して間もなく、眠り姫になってしまう。だがそれは丁度、会場が暗くなり、バレエがスタートするタイミングと一緒だった。
しかもイーサンはもしもに備え、「眠気が吹き飛ぶ新感覚ドリンク! 睡眠不足の皆様は、観劇前にお試しください!」と謳われているあのエスプレッソを私に飲ませている。
まさか私が眠っているとは、イーサンは思わない。かつ私もいびきや歯軋りをすることもなく、実に大人しく寝ていた。首ががくっと横になることもない。おかげで私が眠り姫になっていると気が付いたのは、第一幕が終わり、休憩時間に入るタイミングだった。
イーサンはすぐにピンときた。
私の具合が悪いことにして、すぐに抱き上げる。
そして席を立ち、エントランスホールへ向かった。
その後、王都警備隊という、前世で言うところの警察に連絡し、当該のグラスとカップを回収。そこに何か薬の反応がないか、調べてもらうことにした。同時に私のことは、自身の屋敷へ連れ帰った。その後、私の両親にも連絡し、公爵家お抱え医師を呼び出す。
医師に私の様子を確認させ、現在に至ったというわけだ。
「ここまで話せば、僕が誰を犯人と考えているか、分かるのではないですか?」
「そうですね。クラエス副団長が、過去に眠り姫と遭遇した現場にも、彼女もいたのですね?」
「ええ、そうなんです。従兄弟ですからね。同い年の。同じような行事やイベントに、子供の頃は参加していました。幼い頃の彼女は、タウンハウスに滞在していることも多かったのです。王立ローズ女子高等学院への入学を目指していたので、高位貴族の令嬢が多く暮らす王都で、彼女達を家庭教師として雇い、勉強もしていましたからね」
なるほど。
そうなるともう、犯人は確定ね。
そう、ノット子爵令嬢。
犯行動機も明確。
イーサンを好き過ぎて、彼に近づく令嬢が許せなかった。
そこでこっそり、彼にお近づきになる令嬢に、眠り薬を盛っていた……というわけね。
こんなことをしている令嬢だから、イーサンもつい冷たい言葉を投げかけていたと。
「本人は罪を認めているのですか?」














