分からないことだらけ
「眠り薬を飲まされていたようです。飲まされてから間もなく二十時間経ちます。明朝には薬の効果もおさまり、その眠気も落ち着くでしょう。可能な限り水分を摂り、薬を体内から排出するよう努めてください」
そう言われるそばから眠くなっているが、リンゴジュースが届けられ、それを何とか飲む。
「絶食状態です。少しでいいので、召し上がりませんか?」
親切なメイドの言葉に「はい」と頷き、用意してくれたみじん切りの野菜がたっぷりのリゾットを、何度かスプーン落としそうになりながらも食べ終えた。水分を摂るように言われていたので、一緒に出された水も頑張って飲んだ。
眠気は相変わらず続いているが、なんとか歯を磨き、薬の排出を試み、でもそれで力尽きてベッドに倒れる。
倒れる刹那にメイドが教えてくれたこと。
それはここがクラエス公爵邸であり、私はどうやらバレエの公演会場で眠り薬を飲まされ、イーサンによりここへ運ばれた――ということだ。
分かった瞬間に睡魔に負け、そのまま再び眠りに落ちることになる。
◇
次に目覚めた時もまた、レストルームに行きたい!だった。
起きる度に用を済ませ、そこでオレンジジュースやザクロジュースなどを飲み、また眠る。そして起きるを繰り返すことになった。
イーサンはどうしているのかと聞くと、今回の件を受け、いろいろな事後処理に当たっているという。さらに私のこの状態を両親が知っているのかというと、そこはイーサン。ちゃんと知らせてくれていた。
そこで安心し、再びベッドに横になる。
寝て、起きて水分補給して、また寝る――随分、堕落しきった人間のようであるが、仕方ない。夢の方はあのあり得ない「白鳥の湖」以外、何か見ているようだが、思い出せない。
そしてあの悪夢から目覚めた瞬間、私の涙を拭ってくれたのが誰なのか。
それも分からなかった。
さらに誰が私に眠り薬を飲ませたのか。
目的も不明だ。
だがすべての謎は、次の目覚めで解決となる。














