体がだるい。重苦しい。
イーサンとノット子爵令嬢が抱き合い、キスをしようとした瞬間。
「ダメ―――――――っ!」
と泣きながら叫び、その声が自分の耳にも聞こえた。
ただ、目を開けようとしたが、眩しさにすぐに閉じてしまう。
水の中にいるように、遠くで声が聞こえる。
何を言っているのかは……聞き取れない。
指が私の頬の辺りに触れる。
さらに目尻にも。
ああ、私が流した涙を拭ってくれているのだ――そう思った。
肌に感じる指先。
そっと気づかうように触れるその指に、すがりつきたい気持ちになっている。目を開けたい。だが瞼はさっき一瞬開いてくれたが、今は頑なに開けることを拒んでいる。
ならば声を出したいと願うが……。
口に至ってはピクリとも反応しない。
何が、何が起きているのだろう。
ただ、体がだるい。重苦しい。
動く気がしない。
動けない。
何か行動する気になれず、そのまま再び、眠りに落ちた――。
◇
清々しい目覚めとは程遠い、切実な生理反応で目が覚めた。
「お嬢様、目覚めましたか!?」
見知らぬ女性、メイドに声をかけられた。
天蓋付きのベッドで寝ているようだが、こんなクリームイエローのファブリックは知らない。自分の屋敷にいるわけではないとすぐに分かった。さらにそばにメイドがいることから、宿にいるわけでもないと想像できた。
だが。
今はそれよりも何よりも。
「すみません。レストルームに行かせてください!」
掠れた声で訴える。
まだ体はだるいし、気分は重苦しく、起き上がるとふらついた。
メイドはすぐに私の体を支え、レストルームへ案内してくれる。
案内されたレストルームの清潔感溢れる状態に息を飲む。
絨毯や置かれていたソファセットも豪華だったが、レストルームのその先に見えたバスルームの床は大理石。バスルームなのにシャンデリアがあり、バスタブの猫足は間違いなく、黄金。蛇口や金具も随所に黄金が見えていた。
このレストルームに飾られている花も生花であり、置かれている石鹸やタオルもどう考えても高級品だ。
ここがどこか分からないが、とんでもなく高位な身分の方の屋敷であることは理解できた。
なぜそんな屋敷に自分がいるのかは分からない。
とにかくスッキリして部屋を出ると、メイドが飲み物を用意して待ってくれていた。
だが一歩、二歩と歩くとまた、体がふらつく。
すぐにメイドが支えてくれて、なんとかベッドへ戻る。
渡されたリンゴジュースはあっという間に飲んでしまう。
メイドは「すぐにお代わりを用意します!」と部屋を出て行き、代わりにバトラーと共にやってきたのは、医師だ。
その医師は、脈を確認したり、体温を測ったり、いろいろやっているが、私はまたもや眠くてたまらない。














