ちゃんと守ります
イーサンの声に振り返る。
今日はどんな衣装だろうとドキドキしながら。
するとそこには、王立騎士団の副団長専用のスカイブルーの隊服を着たイーサンがいる! 彼のために仕立てられたその隊服は、当然だが、その体にフィットしていた。ウエストをぎゅっと引き締めている白の革ベルトも。銀の飾りボタンも。白革のロングブーツにインされたスリムなズボンも。本当に、お見事! しかもシルバーグレーのマントもよく似合っていた。
完璧だった。
見惚れる私の方へ近づき、きちんとお辞儀をして、その場にいる令嬢にもイーサンは挨拶をする。
でもそれが終わるとすぐに視線を私に戻し、紺碧色の瞳を細め、優雅な笑みになった。
「イーサン卿! あなたバレエに行かないかとお誘いしたら、興味ないと返事をされませんでしたか!?」
ノット子爵令嬢の顔が引きつっている。
取り巻き令嬢は一様に黙り込み、事の成り行きを見守っていた。
「ノット子爵令嬢。あなたとは観劇する気持ちにならなかったということです。申し訳ありません」
胸に手を当て、上品に頭を下げるその姿は、あまりにも優美で取り巻き令嬢からも「ほう」とため息が漏れている。その動作は洗練されているが、言っていることは辛らつだった。
既にイーサンは白い手袋つけた手で、私のエスコートを始めている。
もうノット子爵令嬢達に背を向けるというその直前。
ノット子爵令嬢は……ものすごく怒りのオーラを発し、鬼の形相になっているのに、口元だけ笑っている。口角をくいっと上げ、笑うその姿は……。
怖い。
怒りながら、憎しみを込めた目でこちらを見ながら、笑っている。
一体、どんな心理状態なのか、理解できない。
「心配なさらないでください。ローズベリー伯爵令嬢のことは必ず守りますから」
「はい……。ですがあまりノット子爵令嬢を刺激しない方が、いいのではないですか?」
するとイーサンがフッと口元に笑みを浮かべる。
そして私がまだ手に持っていた特製ベリージュースが入ったグラスを受け取った。それをすぐそばのカウンターに置くと、しみじみこう言う。
「聞こえてきたんですよ。ノット子爵令嬢とそのそばにいる令嬢達が、あなたのことを寄ってたかって侮辱しているのを。本当は怒鳴りたいぐらいでしたが、さすがに抑えました。ですが許したわけでありません。もっと言ってやろうかと思ったのですが、我慢しました」
「そうだったのですね……」
「僕が刺激しようがしまいが、ノット子爵令嬢の敵意は、ローズベリー伯爵令嬢に向けられると思います。そこは……心から申し訳なく思い……。ですがちゃんと守ります、あなたのことを」














