こんなヨイショは嬉しい
屋敷へ帰宅した後。
イーサンとバレエを観に行くと両親に話したら、二重の意味で羨ましがられた。
まずはあのイーサンとバレエの観劇に行くなんて!――という点で、母親がジェラシーだ。一度イーサンに会って以来、母親はすっかり彼のファンになっていた。
次にその値段から諦めたバレエを観に行けるとは!――ということで、両親は羨ましがった。そうなると、なんだか申し訳なくなるが……。
「まあ、大枚はたいて家族で観に行って、いまいちだったでは困る。ここはまず、グレイスに見極めてもらおう。もしグレイスが『良かった!』となったら、次は必ず三人で……クラエス副団長もお誘いし、四人で観に行こう!」
父親にそう言われると、なんだか使命を帯びた気持ちになり、「しっかり観てきます!」と姿勢を正すことになる。聞くと我が国で初公演となるバレエということで、一階中央席、王族や公爵家が着席するようなエリアのチケットは、なんと月収分もの値段まで跳ね上がっているというから驚きだ。完全に王侯貴族向け価格。
イーサンが手配してくれたチケットは、チラリと見せてもらっただけだ。よって席がどこかまでは、ハッキリ覚えていない。だが相当値段は高かったと思う。そのことを思うにつけても。しっかりこの目で見なければと、気合がはいる。
ということで。
ついにバレエ観劇の日を迎えた。
この日の公演は十四時から。待ち合わせは十三時だ。
昼食の時間は、移動時間と被る。よって今日はブランチにして、朝から念入りに準備をした。
きっと前世では、バレエも夜の公演に、着飾って足を運ぶのだと思う。煌びやかな雰囲気の中、素敵なイブニングドレスを着たりして。でも今回、この国では初公演となるバレエ。チケット入手は至難の業。チケットが手に入った人たちは、皆、仕事を休んででも観劇に向かう。当然だが、オシャレをするはずだ。
私も何を着るか散々迷っていたが、母親が部屋に飛び込んできて「これを着て行くといいわ! グレイスと私、背格好もそっくりでしょう」と持ってきてくれたドレスは……。
白、ブルーシルバー、紺碧の三色がグラデーションしている生地に、銀糸で繊細な刺繍があしらわれている。
「クラエス副団長の髪色と瞳の色を表現したみたいでしょう! 絶対に喜んでもらえると思うの。さあ、これに着替えて、グレイス!」
こうして母親が見守る中、ドレスに袖を通してみると……。
ピッタリだった!
髪は左側で束ね、パールのリボンの髪飾り。同じくパールのイヤリングとネックレスをつけ、完成だ。
「とっても綺麗よ、グレイス。なんだか年齢も若返って、クラエス副団長と同い年ぐらいに見えるわよ」
三歳の年の差だから、見た目はそんなに差はないと思う。でもこんな風にヨイショしてもらえるのは嬉しい。やはり年下男子であるイーサンに対し、引け目があるから……。
「もう、お母様ったら、そんな!」
「でも本当に。楽しんできなさいね」
こうして母親に見送られ、馬車に乗りこみ、会場となるホールへ向かった。














