悶絶もの。いくらでも眺められる!
さらに。
庭園の薔薇のシーン!
確かに薔薇を渡すことも嬉しい。でもそれは「嬉しい」であり、「ドキッ」とはしない。肝心なのは渡した後! 主人公は渡された薔薇を気に入り「こんな薔薇の髪飾りがあればいいのに」と呟く。それを聞き逃せなかった騎士は、薔薇を髪に飾ることができる状態にする。そこで……。
「この薔薇を、君の髪に飾っていいですか?」と尋ねる。
主人公が応じると騎士はまず、彼女の髪を耳にかけるのだけど……。
ここがドキドキのポイント!
異性に触れられるというだけでドキドキするのに、長い髪を耳にかけることで、頬や耳、首筋あたりに指が触れるのだ。首筋なんて、ドキッとポイントが高い場所。主人公がときめく様子も、しっかり描写されている。
よって薔薇を渡す以上に、それを髪に飾ってあげること。
これはまさに令嬢に効く恋愛テクニック。
これ、重要ですから、重要!
そして。
舞踏会のシーンは、さらにときめきポイントが満載だった。
ダンス中は、気配りは勿論、優しさを感じさせ、頼もしさを相手に伝える絶好の機会。ただ恋愛テクニックという点では、気配りはできて当たり前。基礎中の基礎だ。ワンランク上を目指すのであれば!
ダンスの後の、御礼を込めた手の甲へのキス。ただ、これも当然の行動。重要なのはこの際、上目遣いをする!
加えて、せっかくダンスをすることで、距離が縮まっているのだ。耳元で甘い言葉を囁くぐらいは、してもらわないと!
これ以外にもいろいろあった全部を、私はこのティータイムの席で、すべてイーサンに伝えた。これを聞いている時の彼は……。
「え、そんなことを僕がするのですか!?」「それはロマンス小説だから成立することで、現実にやったら引かれませんか!?」「ぼ、僕に、それは……」などなど、何度も私を失神寸前に追い込む表情を見せてくれた。
端正な顔立ちの男性が戸惑う、恥じらう、困惑する表情って……。
悶絶もの。いくらでも眺められる。愛い、愛い!
「反論はあるかもしれません。例えばここにあげたことが、万能かというと……そういうわけではありません。TPOもあります。何より好意がない相手にされると、嫌だと思うこともあるわけです。またお相手の令嬢が、ベタベタするのは嫌ですわ――という場合もあるでしょう。ですが事前に、その令嬢がどんなタイプであるか見極める。これはやっておいて当然です。事前情報なしで、敵地に飛び込まないのは常識――これと同じでしょう。その上で重要なのは」
ついぞ立ち上がり、両手でテーブルを叩き、私は前のめりになっていた。
イーサンはうるうるした紺碧の瞳で、そんな私を見上げる。














