なんだか子犬みたいでたまらないなぁ。
私はイーサンに会うのが二度目なので、多少の耐性はあった。
多少、ではあるが。
耐性のない母親は、完全に今の明るく涼やかな声と微笑にノックアウトされている。
私自身、決して万全ではないが、母親の背中を支えた。
イーサンは丁寧に自己紹介をして、さらに母親をメロメロにする。
そのとどめのように、手土産としてチョコレートとチューリップの花束を渡してくれたのだ。
「まあ、なんて素敵な花束。それにこのチョコレートは……」
それは王室御用達の老舗洋菓子店のチョコレート。
母親は「さすが公爵家ね」とため息をつき、うっとりしている。
この様子を見ているだけでも、今日、イーサンが何のためにここへ来ているのかが、分からなくなる。イーサンがこのエントランスホールへ到着してからしたことは、ごくごく一般的な挨拶とお土産を手渡しただけだ。でもその仕草の一つ一つが洗練されており、上品で、母親と私は何度もため息をもらすことになった。
結果、母親は完落ちだと思う。
「ぜひごゆっくりしていってくださいね。なんなら夕食も」
そんな風に言うぐらいだから。
やはりイーサンは普通にしていても十分魅力的なのだ。
間違いなく、恋愛力など磨かずとも、意中の女性は彼を好きになると思うのに……と考えるのはもう何度目かしら。
とにかく母親は自室へ戻り、イーサンと私は応接室へ向かった。
イーサンを応接室へ案内した瞬間。
スイーツの甘い香りが漂う。
ローテーブルに沢山のスイーツが並べられている。
カカオを使ったプディング、チェリーやレーズンたっぷりのフルーツケーキ、クロテッドクリームと楽しむスコーンなど、我が家のパティシエに準備してもらった。
紅茶はドライマンゴー、ドライストロベリー、オレンジピールなどのフルーツを使ったフルーツティーを用意した。イーサンが紅茶好きだったので、まだあまり知られていないフルーツティーを、わざわざアレンジさせたのだ。ブラックティーかハーブティーが多い中、イーサンは喜んでくれるかしら?
対面でソファに座り、まずは紅茶を淹れることになり、イーサンはドライストロベリー入りのフルーツティーに挑戦した。
「ストロベリーのあの甘い香りを感じます。蜂蜜を入れることでさらに甘みも増して……。甘い物好きの僕としては……たまらないです」
いつも通り、頬をぽっとピンク色にして、そんな大変可愛らしいことをいう。
騎士団の副団長をしているが、私より年下で二十歳になったばかり。
なんだか子犬みたいでたまらないなぁ。
ブルーシルバーのサラサラの髪に獣耳をつけたくなり、いかん、いかんと打ち消す。
早速本題へ移ることにした。














