ピュア
騎士が甘い物を好きというのは、少し恥ずかしい。
そう感じているらしいイーサンに私は、そんなことはないと伝えた。
すると……。
「確かに令嬢……というか、女性は甘い物が好きと聞きます。それに貴族の令息も王族の男性も甘い物を好まれますね。よって甘い物が好きであれば、共に甘い物を楽しめ、悪いことではないと……。そこは理解できました。ですが甘い物が好きな騎士が可愛い、のですか? そしてモエ、More?」
「えーとですね、失礼しました。萌えの件は気にしないでください。そして騎士を褒める言葉として可愛い……これは適切ではないですね。かつ一般的ではないと思います。まずは謝罪させてください」
ペコリと頭を下げたところで紅茶とタルトが到着した。
そこでしばし紅茶を楽しみ、タルトを味わう。
タルトを口にした瞬間のイーサンは……。
可愛い!
口に入れてしばらく経つと「あ、これは自分の好きな味だ」とばかりに、頬と耳朶がうっすらと桜色に染まる。さらに口角も上がり、自然と笑顔になっていた。
これを可愛いと言わず、なんて言おうか!
そこで伝えることになる。
「男女の区別なく、赤ん坊や子供を見た時、『可愛らしい』と言いませんか?」
「それは……そうですね」
「甘い物を食べて、幸せな気分になり、笑顔になった時。その表情は、そんな幼い頃を彷彿とさせるのです。私の場合は。今もクラエス副団長がタルトを食べる姿を見て、その笑顔が可愛らしく感じました。そしてこれはポジティブな評価です。だってその顔を見ていると、私も幸せな気持ちになります。温かい気持ちになりますから」
私をじっと見ていたイーサンの視線が横にずれ、その頬が再び、ぽうっと桜色に染まる。なんてピュアな反応なのかしら! これでドキドキしないなんて無理な話。それにこういうときめきは、若返りに効果ありだったのでは!?
「そうですか。そう言っていただけるなら……今後は甘い物が好きであることを、無理に隠さないようにしようと思います」
「それで問題ないと思います。何より、甘い物が好きだから好感度が落ちるなんて、あり得ないですから。……まあ、甘い物が好き過ぎて、食べ過ぎてしまい、とんでもなく太った。もしくは甘い物で浪費し過ぎた。そんな風になると話は変わってきますが」
「! 僕はそんなことはしません! 自分の甘い物にお金を使うぐらいなら、大切な人のために使いたいです。それにきちんと食べた分は運動します」
イーサンは真面目だ。そしてストイック。さらには優しい。自分以外のためにお金を使いたいと、こんなに真摯に言えるなんて。ある意味、詐欺にあったり、騙されたりしないか心配になってしまう。
ピュアだなぁ。
「!」
イーサンがふわりと優しい笑顔になった。
それを見た私は完全にハートを撃ち抜かれ、またもや「くはっ」と背もたれに身を預けることになる。
「ぐ、具合は悪くありません! ちょっと緊張しているだけです!」
心配される前に予防線を張る。
耐性を、耐性をつけなければならない。鋼の精神をもたなければ!
なんとかイーサンの気持ちを逸らそうと、急に笑顔になった理由を尋ねると……。














