恋愛ブランクが五年
素敵な騎士様を紹介してもらえる。
もしかすると仮面舞踏会で出会った、魅惑の唇の騎士を紹介してもらえるかもしれない!
この餌に食らいつき、イケオジなエルン騎士団長からの依頼――文武両道である代わりに、恋愛力ゼロで成長してしまった副団長を鍛え直すこと。つまり恋愛力を、向上させて欲しいという依頼――を引き受けてしまったが。
私でできるだろうか?
しかも期間は一ヵ月。
少し不安になる。何せ恋愛ブランクが五年近くあるのだから。
でも上手くいかなくても、ペナルティがあるわけではない。イケオジなエルン騎士団長をがっかりさせてしまうことになるかもしれないが、そこはもう素直に謝るしかないだろう。
こうしてイーサン・ヒュー・クラエス副団長と待ち合わせをしたカフェへと向かうため、馬車に揺られている。そしてこんな風に、いろいろと考えていた。
そもそも今回待ち合わせをカフェにしたのは、正解だったかしら?
最初はローズベリー伯爵家の屋敷へ、イーサンに来てもらうことも考えた。だが、いきなり応接室で二人きりは、恋愛力が低いというイーサンが、緊張するのでは?と思った。少しガヤガヤとにぎわうカフェの方が、緊張しないだろうと判断した。
まあこればっかりは結果を見ていないとなんとも言えない。
揺れる馬車から窓の外を見る。
今日は春の穏やかな陽気で、外出するには気持ちがいい。
私も普段着ないような、明るいミモザ色のドレスを着ていた。
こうして、青と白の素敵なストライプのひさしが目印のカフェに到着だ。
待ち合わせ時間の十分前に着くことができた。
この世界、待ち合わせ時間はあってないようなもの。
だいたいこの時間と落ち合う時間を決めても、丁度で到着していることは少ない。
十分遅れで到着が普通だ。
なぜなら、スマホなんてないし、腕時計もないし、時間を確認するには時計台を見るしかない。例え前世で時間に几帳面だったとしても、この世界ではルーズになる。
ということでイーサンはまだ来ていないだろう。
ひとまずお店の中に入る。
待ち合わせ時間は混雑を避けた十四時半だが、人気のお店なので席はそこそこ埋まっていた。
「!」
いきなり店内を見渡し、一人の貴公子に目が釘付けになってしまう。でも彼のことを見ているのは、私だけではないと思った。店内にいる貴婦人がチラチラと窓席に座る貴公子のことを見ている。
なんて美しい髪の色だろう。
サラサラのブルーシルバーの髪は、ちょうど窓から射し込む陽射しを受け、綺麗に輝いていた。さらにその前髪の下の整った眉。この世界の男性、あまり眉毛を整えている人はいない。でもこの貴公子はきちんと切り揃えている。その眉の下の瞳。紺碧色のガラス玉みたいだ。
……うん、どこかでこの瞳を見たことがあるような?














