義母の暴挙
「ローズベリー伯爵令嬢。ずっとお会いしたいと思っていましたよ。君が生まれた時、そして五歳だったかな。その頃には会っているんだよ。ただ、その後はもう、戦争やらなんやらで……。本当は君の結婚式にも参列したかったのだが、身内のみでこぢんまりとしたいと、ケニーから聞いていた。結果的にこんなタイミングで会うことになり、申し訳ない限りだ」
「そんな、お気になさらないでください。結婚式は……本当に我が家から参列したのは両親のみでしたから……」
ウスとの結婚式。
これも私にとっては、黒歴史だ。
当時、ローズベリー伯爵家の財政事情は、すこぶる悪い状態。ウスとの結婚と共に、借金はすべて帳消しにしてもらえる。しかし婚姻が無事成立するまでは、レイリー男爵家に全てを握られていた。
どんな結婚式にするか、誰を招待するか。それはすべて義父と、特に義母が握っていた。
私自身、好んでする結婚ではない。ゆえにそう多くを招待するつもりはなかった。それでもローズベリー伯爵家は歴史もある。相応な人数を招待する必要があった。
だが、当時の義母は……。
「男爵家が伯爵家の令嬢を嫁にもらうなんて! もうみんなビックリで! 参列したいって大変なのよ。みんなで呼んであげないと!」
義母のメンツと自慢のために、平民時代の井戸端会議仲間や自分の事を見下していたらしい近所の方々などを呼ぶと言い出し、その結果……。
「我が家だけで三百名。お金もかかるし、会場の収容人数が……。グレイス様の招待客、減らしていただける?」
三百名が最大収容という会場を選んでおいて、こんなことを言いだしたのだ。
結婚式に関わる費用は、すべて持つと義父が言って聞かなかった。それもあり、ますます強く出ることができない。
しかも会場は、元々ウス達が住んでいた町にある。そしてその町は、王都のはずれにあった。そこで結婚式を挙げるとなると、知り合いのほとんどが王都にいる私達からすると、招待客に不便を強いることになる。しかも圧倒的に新郎側の招待客が多い中に招待しても、肩身の狭い思いをさせるだけだ。
ならばもういい。
そう決意し、結婚式は郊外でこぢんまりと挙げることにしたので、後日食事会でしましょう――そう新婦側の親戚や友人には伝えることになったのだ。














