イケオジ
イケオジなエルン騎士団長の強烈な平手打ちが、バインの頬を直撃する――!
そう思って、つい目をつぶってしまった。
バチンという大きな音が響くと思ったが、聞こえたのは、シュッシュッシュッという音と、カチンという音。
「?」
目を開けると、バインのズボンが床に落ち、下着が見えている!
「きゃーっ!」
「ほら、レディの前で下着をさらすなんて失礼だぞ。とっと帰れ!」
「は、はいっ!」
バインは最初、ズボンを引きずるように一歩踏み出し、絨毯の上で派手に転んだ。立ち上がろうとして、ズボンを踏み、下着がずれる。見たくもないお尻が少し御開帳され、私は再び悲鳴をあげた。
見かねたヘッドバトラーがバインを立たせ、結局バインはズボンを脱ぎ、下着姿で応接室から走り去った。
イケオジなエルン騎士団長は「女子供が侮辱され、その名誉や身体が傷つけられた時。同等の報いを負わせることができる。返答次第ではこの特権を行使するぞ!」と言っていた。私はドレスをボロボロにされたのだ。だからイケオジなエルン騎士団長は、バインのズボンのベルトなどを切断したのだろう。
あんな恥ずかしい姿を皆の前でさらしたバインは、鋼の精神力がないと、私達の前には二度と現れることはできないだろうと思えた。
「最後に見たくないものを見せることになり、申し訳なかったな、ローズベリー伯爵令嬢」
イケオジなエルン騎士団長は素早く剣をしまい、自身の胸に手をあて、頭を下げてくれる。
「いいえ。むしろスッキリしました。これまで何度も嫌がらせをされ、我慢していたので。これで綺麗さっぱりバイン様のことは忘れ、前へ進むことができます」
私のこの言葉を聞いた父親が「何!? そうだったのか! ずっと黙っていたのか、グレイス!」となり、バインの暴挙を話すことになった。
その前にと、改めてエルン騎士団長とお互いに自己紹介。その間に新しいお茶とお菓子が運ばれてくる。こうしてイケオジなエルン騎士団長の対面に父親が、その隣に私が着席した。
父親がお茶を勧め、全員で一口飲んでから、話が再開となった。
「なるほど。義理の弟なのに、グレイスに欲情するとはけしからん奴だ。ローガン、手元が狂ったことにして、奴の(ピーッ)を切り落としてくれればよかったのに」
「おお、そうだったな」「お父様、エルン騎士団長!」
大人のブラックジョークでひとしきり笑った後。
イケオジなエルン騎士団長が、改まった様子で私を見た。














