ついに「ざまぁ」ね!
「……それは鬼畜の所業だ」
イケオジなエルン騎士団長が、バインを睨んだ。
その鋭い眼光に、バインが「ひいっ」と声をあげる。
「立て!」
バインはビクッと体を震わせるが、完全にビビって立つことができない。
「貴様、立てと言っているんだ! 聞こえないのか!」
イケオジなエルン騎士団長が、腰に帯びている剣を抜いた。
その瞬間、バインの生存本能が彼を立ち上がらせる。
「よし。姿勢を正せ。胸を張れ。背筋を伸ばせ」
もう、イケオジなエルン騎士団長は、鬼教官みたいだ。
怖い鬼教官に指導を受ける当事者=バインはガタブルだろうが、客観的に見ている私は、ミーハー心で「きゃ~」と脳内で叫んでいる。
「ほら、腹は引っ込めろ。うん? 貴様まだ若いのに、なんだこの脂肪の塊は!」
「す、すみません!」
もはやバインは、鬼教官に指導を受ける新兵だ。
「いいだろう。それで。足は左右に少し広げろ。そうだ。それで顎は少し引いて、あげる」
チャラ男な印象の強いバインが、それなりに見える。
姿勢を変えるだけで、こんなにも変わるのね。
「では、そのまま動くな。動くと、一生後悔するだろう」
不吉な言葉にバインの顔が「えっ……」と瞬時に青ざめた。すると再び「力を抜くな!」と怒鳴られ、「イエス、サー!」とバインが答えている。
「貴様はレディに対し、狼藉を働いた。嫌がるレディに抱きつくなど、言語道断。しかもプロポーズに対する答えは『ノー』なんだ。潔く諦めろ」
バインの頬がピクピク動いている。いきなり現れた生きる伝説に、私のことを諦めろ!と言われた。どこかで納得できない気持ちがあるのだろう。それが表情に現れている。
「そうか。納得できない、か。ならば今後、同じようなことがあった時。その日が君の命日になると伝えておこう」
バインの顔が蒼白になりすぐに「諦めます! もう二度と彼女には近づきません!」と叫んだ。するとイケオジなエルン騎士団長は、バインの頬を、剣を持たない方の手で、ペチペチと触れる。
「今の言葉、ゆめゆめ忘れるな。ではまず、ローズベリー伯爵令嬢に、謝罪!」
「ローズベリー伯爵令嬢、申し訳ありませんでした!」
「よし。では歯を食いしばり、足を踏ん張れ。そして報いを受けろ!」
イケオジなエルン騎士団長がバインの頬に触れていた手を振りあげた。
これは強烈な平手打ちが、バインの頬を直撃する――!














