本性
呆気に取られて見ているバインに畳みかける。
「それでご用件は?」
「そ、それはですね」
バインの目が、扉のそばに控えるヘッドバトラーとメイド長に向けられる。それに気づいていないフリをもできるが、バインがしつこく目で「なぜ、あの二人がそこに?」と聞いてくるのも無駄だと感じた。
ゆえに「私は現在未婚の身です。殿方と不用意に部屋で二人きりになるわけにはいきませんので。気にせず、どうぞお話しください」と告げた。
「え……」とバインが固まるので「それでご用件は? 用事があっていらっしゃったのですよね?」と問いかける。すると「えーと」とバインが目を泳がせていた。
バインが目的の言葉をいう雰囲気は、全く整っていない。しかも渾身の瞬間に差し出す予定の武器=薔薇の花束は、既に手元になかった。武装解除され、敵地にいるような状態なので、バインはなんだかおどおどしている。
「もしやあの花束を渡すことが、目的でしたか? そうでしたら既に受け取ったので、終了ですね。お見送りしましょうか」
腰を浮かせかけると「待ってください、義姉さん!」とバインがすがるように口を開く。仕方ないので、座り直し、「では何ですか?」と問い詰める。
バインはチラリとヘッドバトラーとメイド長を見て、ため息をつき、観念したようだ。
「兄上と離婚されて、半年が経った。もう義姉さんは再婚できるだろう?」
「ええ、そうですね。それで?」
「それで……。義姉さんは俺の気持ち、知っているだろう?」
「知りません」
固まるバインに「私が再婚できることのお祝いで、こちらへ来たのですか?」と尋ねる。すると鳩が豆鉄砲を食ったように、ぽかんとバインは口を開けていた。
「わざわざお越しいただき、ありがとうございました。再婚できる身となりましたが、あいにく、結婚については一切考えていません。再婚したいと思える相手もいないですからね」
「そ、そんな、義姉さん……」
「ではお帰りいただけますか? もうこちらから話すことは何もないので」
するとバインは両手を自身の膝の上で握りしめ、プルプルと震えていたが……。
「こっちが下手に出れば、上から目線でズバズバと。少し美人だからって、いい気になるよな! お前なんて兄さんに捨てられた女だ。離婚歴がある女の再婚相手なんて、後妻か醜男ぐらいだ。しかも、もう二十三歳のくせに。ばばぁのくせに、調子に乗っているんじゃねーよ」














