自然体で焦らずに
緑廊は、ロイヤル・ボタニカル・ガーデンの正門を経由して入る他に、別のルートからも中へ入ることができた。それは特別入場口と言われ、緑廊まで、馬車で乗り付けることができる。だがそこには衛兵がいた。紋章を見せ、名前を名乗り、入場許可が下りているか確認される。
ということでまさに扇子に描かれたローズベリー伯爵家の紋章を見せ、特別入場口から中に入ることができた。エントランスに到着し、馬車から降りる。侍女を一人連れ、緑のアーチの小道を進むと……。
咲き誇るウィステリアの緑廊に迎えられる。
そこに真っ白なクロスが敷かれたテーブルセットが見えていた。
本来室内で使うような、猫足のプチポワンの椅子が置かれている。
この日のためにわざわざセッティングされたのだろう。
さらにテーブルには珍しい南国のフルーツ、南国の花が飾られ、私が来たのにあわせ、スイーツも次々に並べられていく。
ここまでしてくれるなんて!
なんだかとても感動してしまう。
メイドに案内され、着席し、侍女は離れた場所で待機する。
ここにイケオジなエルン騎士団長が推す騎士がやってくるのだ。
なんだか、緊張してきたわ……。
するとメイドが「お飲み物は先に始めてくださいと言われています。ラベンダーティーをお出ししますね」と言ってくれたのだ!
まさに今の私に必要なハーブティーだった。
緊張することを見越して用意してくれたのだと思う。
感動しながら、ラベンダーティーをカップに注いでもらった。
きつすぎない柔らかめのラベンダーの香りを、ゆっくり吸い込む。
何度か深呼吸と共に、その香りを楽しむようにして、ゆっくり口元へティーカップを運ぶ。
……とても上質なラベンダーティーだわ。雑味がない。
気持ちが落ち着いたので、ゆったりと考える。
これから会う騎士は、私のことを名前も身分も経歴も知らないと、イケオジなエルン騎士団長は言っていた。つまり肩ひじを張らず、楽な気持ちで会えばいいということだ。余計なことを考えず、自然体で会えばいい。そして好きになってもらおうとは、考えないようにしよう。私だって今すぐ、恋をしたいわけではないのだ。
焦らずに。
イーサンを忘れたいがための、身代わりで見ては絶対にいけない。
「お待ち合わせの方が、間もなく到着いたします」
ラベンダーティーを用意してくれたメイドが教えてくれた。














