輝けるその辺
お読み頂き有難う御座います。
家を光らせられたニノン、警備騎士ルブラと密談です。
「あの……どういう事ですか」
「どうもこうも。昨日言った通りだよー」
それが判らんから来たんでしょうが!!
と、怒鳴り難い……。
掃除に来るからよく知ってる叔父さんの家の筈なのに、気マズイったらないわ。
……結局あの後、店が結構光ったから滅茶苦茶大騒ぎでね。でも、号外は出なかったわ。いえ、出て欲しい訳じゃ無いんだけど。
……光らせたのは、あの場では大人しくしてたけど……。
「聖女は私なんだー」
この、ふてぶてしい警備騎士! ルブラさん!!
流石に理由解明の為に店を閉めたから、私はこの叔父さんの家を無借りたルブラさんに、昨日の爆弾発言とかの理由を聞きに来たのよ!
「……聖女様って、女の人ですよね? 男性なら聖人様なのでは?」
「セクハラになるから詳しくは見せてあげられないけど、無性別なんですよー。筋肉と脂肪付きにくくて肋骨の感触しかないとは思うけど、触るー?」
「い、いえ……結構です」
胸を突き出されても困るわ。確かに、薄めの体では有るけど……。
男性の体を触るなんて、そんなアダルトなお付き合い……興味有るけどいえ、はしたないし。
女子でもちょっとねえ。……貧乳いえ、未来溢れるささやかボディ仲間として喜ぶのも……。
いや、ん? ……ちょっと待って。
「……無性別?」
「そう。大体20歳前後でどっちかか、どっちでもアリか、ナシかに決まるんですよー」
「……どっちかかどっちでもアリかナシかに!?」
それ、どういうことなのよ!? え、男性女性に、両性と無性って事!? 分岐先多いな!? そんなマルチエンディングみたいな事態、本当に起こるの!?
普通、心は知らないけど何らかに確定して産まれてくるモンでは!?
「ちゃんと分化してるケースの方が多いけど。両性で守護者を増やして楽しんだ挙げ句、産めよ増やせよした聖女もいたなー。人形扱いみたいなモノですねー」
「……すみません、意味が分からないのですが……」
そんなアダルト爛れた展開、話し合うには未だ関係が深まってもないし……。い、いえ! はしたないわよ! 私ったら未だ未婚の乙女なんだし!
「うんー、私も意味不明ー。カエルみたいだよねー」
「カ、カエルは子沢山だけど……いえ、ですけど」
カエルは両生類だけど……両性だっけ?
うーん、よく釣りの餌をパクられるけど生態をよく知らない……。
「そ、それにですね」
「何ですー」
「貴女が、聖女様って……本当の本当に本当の事なんですか? お身内とかじゃなくて?」
「顔そのまんまですけどー?」
「……怒り狂ってるお顔しか、その……」
後、シャウトしか聞いてないからお声も判断不可能よね。おもしれー系のお喋りでもない。
御髪の色も違うし……。
何より、話がエキセントリックで胡散臭いのよ……。
確かに背格好は似てそうな……いや、聖女様を遠巻きにしたことは有るけど、身長迄知らないし。
目の色も……聖女絵姿を見てるから、思い込みなのかも。
実際は薄いメロンみたいに緑じゃなくて違うカラーリングなのかも。
「……許さん」
「は?」
「受け入れろ、幾千を手繰る女よ……」
「……急に何です?」
「……我が手よ、凍えよ。変貌せよ礎よ」
え、え? ええ!?
「……とまあ、信じてくれますー?」
「戸棚がーーー!?!?」
家具屋さんで叔父さんが2時間悩んで棚卸しセールで買った、ガタつく安戸棚が!!
……ご、ゴールドに光り輝いてる……。
「いいリアクションですねー」
「いや困るんだけど!! 原状回復出来るの!? このメッキ!」
酷い! 叩いたらゴンゴン鳴る! 重さで床が抜けたらどーすんのよ!?
「メッキじゃなくてマジの金ですよー。この力でー町の経済を潤して来た訳ですからー」
「は……」
……え、え、え……。
え……。
「井戸も私の仕業です。ヒラ神官は私の能力に気付いてないみたいですけどねー。」
「戻してーーー!!」
拙作に登場する性別を変化させられる某悪役令嬢とは関係が無いので、あしからずです。