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朝から煩い大通り

お読み頂き有難う御座います。

次の日ですね。

「てーへんだてーへんだ! 聖女様のご結婚だー!!」


 ……朝っぱらから煩いわね。

 煩すぎて外を見に行ったら、商品のバケツを蹴飛ばして、お母さんに滅茶苦茶怒られたじゃないの。


「凹んだらどうするの! そのバケツは特別なのよ!!」

「ご、ゴメン……」


 そんな、バケツ如きで……と反論したら滅茶苦茶怒られそうだわ。単に他より重たいバケツなんだけど。


「大ニュースだぞー! 号外を買ってくれよー!」


 あの声は……カイダシ新聞社の新人記者だな。でも、そんな読んですぐ分かるような御触書叫んで回るようなニュースなの?

 何代か前の聖女様のお陰で、この国の識字率は高めなんだから、静かに新聞で読ませろってのよ。


「清らかな聖女様のご結婚! こりゃたまげたねえー!!」


 煩い! うるっさい!

 そりゃ聖女様もご結婚位するでしょうよ。何たって聖女様だもの。三代前は、他国からも求婚者がザクザクモリモリ来たって言うしね。羨ましいなー。

 今の聖女様の他国でのご評判は……まあ、えーと。知らないけど。


 んー、あの掠れ声でシャウトしちゃうような吟遊詩人センスが他国ではバカウケで、モテモテかもなのかしら。だったら、お偉いさんの趣味って意味不明よね。失礼かしら。


「めでてーぞ! 聖女様のご結婚だー!!」

「ちょっと!! もうちょっと声のボリュームを落として頂戴!!

 ウチには! 今やっと寝た3ヶ月の坊やが! 居んのよ!!」

「むほぎゃーーー!」


 あ、騒音に文句言おうと思ったら、隣の若奥さんに超叱られてやんの。


「さ、さーせん!! あがっ!」

「煩いのよ! もう男なんて滅びろ!! ワンオペ育児の辛さを思い知れ! クソ旦那諸共、くたばれーーー!!」


 うわ、怖。育児ノイローゼかしら。後で堅焼きパンでも持っていってあげようかな……。

 若旦那さん、そういや4日くらい見てないし。

 ちょっと人が倒れたような重たい音が聞こえたけど、未だ朝も早いことだし。


 取り敢えず二度寝しよう。


「えーと、祈りに来られた第五王子が、聖女から赦しを授かる内に真実の愛を育み、ゴールイン」

「えー、赦しを授けるって何?

 王子って、何か聖女様にお許しを乞うような悪いことしたの?」

「知らん、よく分からん」


 で、起きたら爽やかな何事もない朝だったわ。

 父さんは日課の新聞を音読して、母さんがそれにツッコミを入れる。……それにしても適当な新聞記事だな、いいのかしら。

 何時もの朝の風景よね。


「えーっと、第五王子は……うわビックリした!」

「な、何ぃ!?」

「え、何?」


 ガラガッシャン!! って大きな音が!!

 やべ、適当に置き直した店のバケツでも倒れたのかしら。


「ニノン、見てきて」

「えー」

「早く行きなさい!」


 この前看板の『リー』の文字が落ちててザッカ雑貨屋になってたのよね。あんな面倒な事になってなきゃ良いけど……。

 しかし、何で看板の文字って面白オチになる字から落ちるのかしら。

 修理代が高くつくわ、通行人に爆笑されるわ、最悪よ。


「助けてくれ!!」

「はあ?」


 滅茶苦茶ズブ濡れな人が滑り込んできた!!


「ぎゃあっ!? だ、だ、だだだ誰ですか!?」


 何なの!? 床が濡れる! て言うか張り付かれそうになって、私も濡れる!!


「あんな女と婚姻出来るか!!」

「はあ?」

「おい庶民、匿ってくれ!!」

「あの、お客様……。お探しの警備騎士の詰め所は、この通りを挟んで斜め向かいですよ」


 偶に居るのよね。詰め所間違いの飛び込み被害者が。

 ……この前は離婚調停がどうとかいう御婦人が飛び込んで来たし……。勘弁して欲しいわー。

 しかも間違えといて何にも買わないしさー。ウチで一番安い聖女神殿飴(袋入り)で良いから買ってけってのよ。



お店経営は大変です。

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