突貫守護者は仮初め聖女を捕まえたい
引っ越しやらなんやらでくたばっており、遅くなってすみません。
ラストです。
で、悩みに悩んで結局家に帰った訳よ。
何故かジェントさんとヘベレン王子を引き連れてさ。
いや、しょうがなくない? どの道家に帰らなきゃなんないしさ。まさか神殿行く訳にはねえ。神官ムカつくし、無理よ。
「何だ、聖女に選ばれちゃったのかい。しゃーないね。ニノン、守護者業務と雑貨屋の跡取りの二足靴重ね、頑張りなよ」
……お母さんの鶴の一声でさあ。なーんか守護者業務と雑貨屋の跡継ぎ、決定されちゃってさあ!
お父さんはボッタボタヨダレ垂れそうな位泣くし、ジェントさんはニヤッニヤしだすし、ヘベレン王子は雑貨を滅茶苦茶見てたわね。
て言うか、お母さんもお父さんも聖女の守護者のこと知ってたんかーい!! お母さん、他の町の出身よね? 何で知ってんのよ!?
因みに二足靴重ねって兼業の事だけど、何時聞いても歩きづらそうよね。
「ううう、ニノンが守護者に……。ばあちゃんみたいにならないでくれよ……」
「……曾祖母ちゃんに何が有ったの」
「一度断ったら、じいちゃんが夜も日もストーカーになって……雑貨屋の屋根を光らせたり、竈を光らせたり、ばあちゃん自体を光らせたり」
「分かった、守護者やる」
結局頷くまで光らせられるのか! 聖女って傍若無人で迷惑なのね!
どうしよう、早まったかな。
「愛するひとを光らせ続けるなんて、聖女ニニンはー情熱的ですねー。憧れちゃいますー」
「やめてください。それに井戸を元に戻してくださいよ」
「あの光る井戸か……。騎士詰め所で聞いたが、本当にあるのだな。売り払えば家を買えそうだ。欲しい……」
ヘベレン王子が、みみっちい事を言ってる……。
しかし、お金持ちそうなのにこんな片田舎に家が欲しいって……本当に家に帰れないのね。気の毒になってきた。
「何だいアンタ。この前イチャモン付けてきた輩じゃないかい。帰る家無いのかい?」
「その節は店先で騒いですまないことをした。
あの時は追い出されて帰れないショックと、えげつない聖女に混乱させられていてな」
「わー、滅茶苦茶人のせいにしてきますよー。ニノンちゃーん、傷付きますー」
「……ジェントさん、重いです」
然りげ無くボディタッチ増えてない? 何なのこの人。距離の詰め方高速すぎやしない?
ヘベレン王子の方がお行儀良いじゃないのよ。
「どうせ隣の倉庫の上空いてるし住むかい? 配達手伝ってくれるなら給料も」
「喜んでご厄介になろう!」
「え、冗談でしょ」
あのホコリまみれの小汚い倉庫の上に住むの!? 王子様が!?
「掃除用具はこっちだよ。やり方教えようか?」
「有難う。稀有なる慈悲深きレディ・ザッカリー!」
「待てい! お父さんも行くからな!」
……あ、行っちゃった。
「ふたりきりですねー、ニノンちゃん!」
「はあ……」
何でかしらね。家だと気が抜けるからさっきのファイトな気持ちがガッサゴソと無くなってしまったわ。
「隠し事としてバラされると困るので、告白しますねー?」
「え、何? まさかウチのお風呂の床でも光らせたとか」
「流石にしませんよー。でもちょっと色っぽい展開になったら考えたいですねー」
「い、色っぽ……!? やめてください。そんな仲じゃないでしょ!」
「んもー、そんな仲になるんじゃないですかー」
こここここ、こっち見んな! とつい叫びそうになってしまったわよ!
大体、迷惑だなと思ったことで反撃とか、する!?
……ジェントさんって、思ったより恋愛偏差値高め、なのかしら。
「……女の人の口説き方、な、慣れてますけど……恋愛小説とか?」
「安心してくださいー。性別固まってからはニノンちゃんが一番ですからー」
「は?」
「アレ?」
性別固まってからは、の科白も気になるけど……。
ニノンちゃんが一番? 一番目?
ナンバーワンはオンリーワンじゃないわよね?
一番目は沢山の中の一番目よね? そうとしか使われないわよね?
「一番? ……二番目、が居るんですか?」
「も、勿論今は居ないですけど、前に守護者へ勧誘した人は何人か」
「な、何人か……!?」
こ、この野郎……。散々私は特別系の甘い事言っといて、私の他にもモーション掛けてやがったのね。
「で、でもね? 本当にいいお返事くれたのはニノンちゃんだけで、それで愛をね、感じて性別が……あの」
し、白々しい!
私だけーっぽく特別感出しといて……!!
「ああ? 愛ィ?」
「こ、怖い怖い! ニノンちゃん、お平らに!」
「ちょ、待ちなさいよ!!」
いきなり目の前から消えたと誤解させるようなダッシュ、繰り出す聖女が居る!?
「愛してるのはニノンちゃんだけですよー!」
「とんでもないこと叫びながら逃げるな!!」
そして、コレから都合が悪いとダッシュで逃げるジェントさんを追いかける人生が始まってしまうのよ!
信じらんないわ!
他にコナ掛けない訳もなく、咎められない訳もなく。
お読み頂いた貴方に心より感謝を!
有難う御座いました!




