包囲網を突飛に突破
ちょっと投稿遅れましたね。お読み頂き有難う御座います。
今回立ち回りなシーンが御座います。当たり前ですが真似しないでください。苦手な方はお気をつけください。
私って、マジで何の変哲もない町娘なのよ。
喧嘩なんて……まあ、護身術は嗜んでるし小競り合いは何とか切り抜けたようなそうでもないような。
「其処の小娘! 聖女様誘拐で訴えます!!」
変な観光客もいるし、嫌がらせもクレーム処理も有るわよ。客商売だものね。
温厚に相手にお引取り頂く主義なの。
でもね。
刺又とか持ったヤツラに囲まれるような行いもしてないし、罵られる筋合いもないのよ。
大体、アンタラの扱いが酷いからジェントさんが逃げたんでしょうが!
事実無根だ、ブチのめすぞ! なーんて言いそうになっちゃったわ。
「はっはあ……。其処の小娘ねえー。守るべき町のお嬢さんに、失礼極まりない」
お、お嬢さん? 急にどうしたのかしら。
話をややこしくさせない為に、一応守護者呼びは止めたの?
……ジェントさんって、考えなしにも程があると思ったけど、撤回した方が良いのかしらね。
「聖女様! すぐお助けします!! お労しい! そのようなみすぼらしい小娘と!」
釣りルックだから汚れても良い恰好なだけで、乙女に対してみすぼらしい!? あの神官、叩きたいわ!
「よし、逃げる方向であの人だけ軽くブッ叩いて良いですか? ジェントさん」
「まあまあ最初はお平らに。手を痛めますよー。
んもー、自主的にお前らから逃げ出したんですーって、何度言わせるんですかねー」
「可愛らしいツンデレは結構ですから!!」
……この神官共、マジ話を聞かないわね。殴りたいわー。
「大体、聖女キャネズル様は我々に傅かれてお幸せでしょう?」
「外の空気は穢れておりますし」
「我々にお慈悲をお与えください、キャネズル様!」
……うわー、何ちゅう勝手な奴らなの。みるみる内にジェントさんの目が死んでゆくわ。この表情、確かにあの日の聖女様……。
……気の毒極まりないわ。何か言わなきゃ……。
「……せ、聖女様は貴方達に扱き使われてお悩みなのよ!?」
「誘拐犯は黙りなさい!」
「火刑だ!!」
「ギャ!? ちょ、火の着いた枝を投げた奴、誰よ!?」
「……」
いや、無言で人の腕光らすの止めて欲しいわ、ジェントさん。
うわ、赤くなってた治ってる! 凄い!
……って感動するのは良いけど!! コイツラ、町の人々を守るの祈るの何だの……滅茶苦茶嘘じゃない!
また陰険に、避けにくい燃えさしの小枝って! 何処から出したのよ!!
「……ニノンちゃん大丈夫、じゃないですね。投げた奴、出てきなさい。早く!」
「今お助けしますからね! キャネズル様!!」
「あ、ちょっと!」
ああ、新作カチューシャしとくべきだった! 今、休日だから、カワイイ以外何の役にも立たない布製リボンしか頭に巻いてない!
……後ろを取れたら、締め上げられるかしら。
でも地味に5人は……キツイなあ。流石に多対一は無理過ぎる。
この面倒そうな話をするのがダルいからって行き先をテキトーに告げずに、屈強な母さんをお供にすべきだったわ……。
うう、寄ってきた奴位、蹴飛ばせるかしら……。実際人を殴りつけるの、ハードル高すぎ……。
「寄るなー」
ズシュン! ガゴン!! バッシャア!!
「……え」
「キャ、キャネズル様!?」
……今、起こった事に誰しも反応出来なかったわ。
いや、反応なんて出来る?
目の前を水と魚が空を舞い、川に落ちていき……神官がブチのめされる光景を、即座に処理出来る?
そもそも水と魚入りのバケツを、寄ってきた神官の頭に遠心力で振り回すとか、考える!? 普通……当てる!?
……殴るとかじゃ無いんだ。
「……」
「魚が台無しですよー。御免なさい、ニノンちゃんー」
「いえ、あの……ハイ」
つい空のバケツを渡されたけど……また光ってるわ。
しかも、このバケツ……滅茶苦茶重くなってる!! また、謎の聖女パワーでメッキしたの!?
「武力のバケツとでも名付けましょうか」
「いや滅茶苦茶センスないな」
「そうです?」
驚きすぎてつい、思わず口も悪くなっちゃったわよ。しかし、やるなあ……。ネーミングセンスは最悪だけど。
「キャ、キャネ……」
「聖女様に何て口の利き方だ!」
悪態が腹立つなあ。でもへっぴり腰だから、横を走り抜けられたわ。
釣り竿は……無理か! バケツだけ持って!
バケツは雑貨屋のお高めバケツです。




