ドラゴンと青年
番を探し求め、見つけられなかったドラゴンと、その足跡を調べに来た五人の男達。彼らは運が悪く遭遇してしまった。
そしてキールとトゥール、リオンが、犠牲になり他の者は全て逃げ出した。
最初に死んだのはトゥールだと言う。勇敢で、優しい無口だが優しい青年だった。
次に死んだのはリオンだったと言う。内気だが誰よりも周りを気にしていた。
そしてみんなを逃がしたのはキールだったのだろう。
「私の大切な人は周りの人を助けて死んだ」
誇れるならまだ救いはあって。絶望するだけならまだ良かった。私にはそれを治す術はなく、ただ停止させることしか出来なかった。
死なせたくなかった。
一人になりたくなかった。
彼のいない未来など、考えられなかった。
「ドラゴンは私には殺せなかった、でも私はドラゴンすら止めれる力があった。だから押さえ込んだの。全て否定して全て凍らして全ての時を止めた。」
「…フィオナさんが、この雪を?」
「ええ、貴方の家族や他の人を巻き込んでごめんなさい、時は戻せないけれど、必ず生きていると保証するわ」
赤い鳥が私の首に少し頭を擦り付ける。少しぐらいは悪いと思っているのならいいが、この鳥の気持ちはいつも読めない。
「フィオナさんは…?」
ルベリオンが私を見下ろす。背が低めなのだろう彼でも私よりは高くて。
私はまた微笑んだ。
「もう、山頂に着くわよ」
「フィオ───」
ルベリオンの問は私には届かない。暑い風と白が私たちに押し寄せて来たから。そして炎の絵が描かれている全身鎧の大男と憎いドラゴンがそこにいた。
もう時は止められない。
そして
私はきっと────。




