表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/34

白い少女の行動


 白い少女の行動をオーギュストはしばらく見てわかったことがある。彼女は何かを探すように家を出て家から離れようとする。だが、家が視界から外れそうになると時が止まったように硬直し、動いたかと思えば家の中に戻る。

 

 

 そしてまた畑らしき場所に水をあげ、洗濯をし、家の中で何かをする。

 これらを短い時間に永遠と繰り返している。眠る様子すら見せずに。

 

 オーギュストは思い切って少女の側へ歩み寄る。何を思ったのか無言で剣に手を当てることなく自然な仕草で。

 

 それが目に映らないのか少女は変わらず同じことを繰り返す。

 

 そして今度は家の中にも着いていく。不審者地味た行動だが異常でしかないこの空間でそれを(とが)める者は居ないのだ。

 

 オーギュストは見ていた。家の中に入り一人楽しげに過ごす少女を。

 

 そして少女が発する言葉を。

 

 「ベッドは綺麗だが、起きたままにしてと怒っているな…誰かと住んでいるのか?」

 

 そして少女は再び窓辺へ行き、窓の前の椅子に腰掛け窓の外を見る。

 

 「まだかしら、キール」

 

 オーギュストはその名前に聞き覚えがあった。と言うより、つい先程布に炭で書いた名前だった。

 

 「いい天気だわ、きっとすぐに洗濯物も乾くし、お日様のいい匂いがするわね…ふふ」

 

 驚くオーギュストを他所に少女の行動は進んでいく。それでもオーギュストの中でパズルがハマるように情報が並べられていき。やがてひとつの答えを導き出すのと彼女が家の中を出ていくのは同時だった。

 

 

 「まさか、夢の中のオレンジの髪の女は───いや、それよりもあの夢がただの夢では無いのならキュラスは元々存在していなかったのか!?」

 

 少女は歌が聞こえると言いながら家を出ていく。慌ててオーギュストも後を追うが、この先はオーギュストが既に知っているとおり、少女がどこかに行こうとして時が戻るように家の中に入り、また最初から行動をし始めるだけだった。

 

 

 

 

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ