地下にある本(4)
銃弾の連射、飛び交う弾丸をアルサリックとマヤは…容赦ない攻撃が襲ってくるが回避しまくる。
「死ねぇぇぇーー !!」
普通の弾丸とは違い、破壊力がずば抜けていた、やがて天井すら破壊。
瓦礫に埋もれたマヤは、瓦礫を足で蹴飛ばして立ち上がる。
そして、刀を抜かずに構えだけを取る。
刀を抜かないのは、あの威力で刃に当れば間違いなく破壊するだろう。
…数分で、これだけの破壊力…。この刀を抜けば軽くへし折られるだろう、それだけは避けたい…戦えなくなる
マヤはゆっくりと腰を下ろして前髪との隙間から見える視界、強い眼差しをその元軍人に向ける。
「いい加減、刀抜いたらどうだ?これだけ攻撃を受けて、まだ立ち上がるなんて、たいした執念ですね」
数分間の回避と、鞘付きでの防御をこなしていたマヤ。
男性の煽りなんて、聞く耳を持たない。
ニヤニヤしながらさらにこう言い出す。
「抜いた所で、折られるのは目に見えてる。それなら…抜かないで戦う方がいい」
マヤはじっと睨んだまま少しばかり怒りを感じる静かな声で言った。
「何時までそれが耐えらますかね…ゾクゾクしますよ」
男は周りから、無数の刃をズラッと出現。
手に持つ、重火器を背後に投げ捨てる。
狂気に満ちたその笑みは歪んでいた元軍人。
「これでいきてられるか、はたまた抜くのか…楽しみだ」
無数の雨のように降り注ぐ刃は、マヤに襲いかかる。
流石に耐えきれず、回避もままならない。、
そして、背後からの刃の一撃が入る。
「ぐぁ…っ !」
「マヤ !!」
アリサックは心配そうな声で叫ぶ。
マヤの足や腕に刃が突き刺さる、痛いが耐える。
ズキズキと痛みが走る、それでもまだは刃は数切れない。
転がったり、必死に飛び跳ねたり…最後には顔から地面に向かってコケてしまう。
だが、諦めてない表情をするマヤ。
歯を食いしばり立ち上がる。
「…無様ですねぇー、あぁ、こうゆうの見ると無性にトドメを刺したくなるもんですねぇ…。哀れで、非力で、無常で、救われることなく死にゆくその姿…想像しただけで興奮するよ」
もはや死にゆく人を楽しむような発言。
歪んだ満面の笑みは…気持ち悪ささえ覚える。
「くっ…」
睨み付けるマヤ、痛さを耐える。
そして、肩幅を開き鞘付き刀を両手で持ち構える。
「あ、忘れてました…興奮するゆえに名前すら忘れるとは何たる失態。…禁断の書の読み方はインテクト…そう私はインテクトです」
「インテクト…?」
今戦ってるのは…マヤは元軍人じゃないのかと疑問抱く。
すると、インテクトは両手を広げて、高らかで不気味な声で言い叫ぶ。
「そうそう、聞き返すことは実に良い…。インテクトは元々この本の所有者の名前…つまり私は禁断の書の作者です。感謝感激雨あられって思って戦って死んでください !」
少しだけ理解する、戻る軍人はインテクトと言う人物に体を乗っ取らてると。
マヤは立ち上がる、そして、小さく二型水流構えと言う、敵に対してカウンターする技だ。
そんなの通用するはずがない、魔法には到底歯が立たない。
それが…魔法を持たない宿命ゼロである。
「英雄にもなれた筈のその意気込みは評価しましょうか…。なら最後は美しく散るがいい」
男から放たれたのは、高速魔法の玉である。
マヤが切り裂いたのは弾丸の速さ程度…その倍の速さはあるであろうそんなのを喰らえば一溜りもない。
「ほらほらーー !もっと、もっとーー !耐えて見せてくださいよーー !!」
マヤは高速魔法弾を鞘付き刀で叩き壊す。
そして、マヤは刀の位置を縦から横に切り替える。
「するだけ無駄だァァァァーーッ !!」
「ーーー三型式ゼロ型…」
高速魔法の玉をバァンっと叩き落しつつ、マヤが持つ鞘付き刀に亀裂がは入り…砕け散った。
刀身が青く強い光を放ちながらマヤは言い放つ。
「水花・双水剣ーーー」
マヤの黒い刀は、揺れてブレる…。
横に振り抜いた刀身は、もう一本の青い武器が現れる。
その青い武器は、ぼやけて居るが、二刀流になっている錯覚になるを引き起こす。
インテクトは目を擦り、二本持つ刀を見直して言う。
「はてはて? そんな幻覚的なのは見たことはありませんが…。だが、この禁断の書の前でそれが通用すると思うか ?」
マヤははっきりとした声で答える。
「さぁ? やって見なきゃわからないこともある !」
マヤは、とっさに走った、インテクトの目の前で飛び掛る。
当然、不気味に笑う男は…高速魔法で作った槍をマヤに貫いた。
「… !?」
「飛び付くとは馬鹿だな ?」
だが、そこにはマヤの姿ではなく…幻覚だった。
ブレてインテクトが持つ槍から消える。
「なっ !?」
マヤはインテクト背後に回っていた。
そのまま背中を切り裂くーー。
「ぐぁぁぁぁぁーー!?」
よれっとしながら後ろを振り向くインテクト。
そして、マヤは強烈な一振と水を同時にぶつけた。
「はぁぁぁぁーー !!」
インテクトは勢いよく瓦礫を転がり、男は壁にめり込んだ。
「ぐはっ! こ、この時のために…抜かなかったのか…?」
マヤは左右に首を振り言う。
「剣士は突然技を生み出す…。それに最初から抜くつもりはなかった」
マヤは、足や肩は刺傷…当然血は制服に滲み出る。
息を乱しながらも、変わらない眼差しをするマヤ
それを見た歯を擦らせたインテクト、怒りを顕にする。
「ふざけやがってーーー」
インテクトから、淡い光を放ち出す、禁断の書が光り輝いていた。
「生体は不要だな」
そんな意味がありげな発言をしたインテクト。
そして、次の瞬間…男の胸から血が吹き出した。
血飛沫が、ぽたぽたと…壁や瓦礫に落ちる。
「!?」
自滅したとは考えずらい…となると、インテクトが自ら元軍人を殺したっと言う事は…わかる。
いや、的確には…操っていたんだ。
最初の時から元軍人ではなく、インテクトが体を借りて戦っていたんだろう。
だが、その死体は笑う。
死体は下を向きながら話す。
「くくっ…操り人形はこうでなくては…」
言ってる意味がわからず、マヤは眺めてると…その男は顔を上げた。
白目むいて、血の血相がなく…死人と同じだ。
気持ち悪さにを堪えて眺めるマヤ。
「君かぁ?僕の体を痛みつける悪いやつはァ…?」
マヤはすごい苦笑いを浮かべながら言う
「…何言ってるかわかんない」
「アハハ?アハ?ソレは、ソレは…メデタイデスネ♪」
メギッーーー。
不可思議な音が鳴っていた、自分の懐に違和感を覚えた。
目にしていたのは、鋭い何かが腹に突き刺さってる。
そして、口から何かが僅かに垂れ落ち始めた。
手で軽く触れた、血だった。
「…これやばいんじゃない?」
「ソレでは良い眠りを♪」
物凄い速さで視界は狂い、体をどっかに打ち付けてるのかさえ分からないまま…マヤは気を失った。
「あははははーー !!」
そんな高笑いをするインテクト
狂気、狂気の高笑いは地下中に鳴り響いた。
「所詮雑魚なんですよ、人はゴミの産物って言う。私が死んで数百年は過ぎたが…変わらないーーー」
そして、その場所に…一人の男の姿が目に映る。
藍色の髪の色で、気だるそうな眼差しをして話す。
「大層に暴れ回ってんじゃねぇかよ? 俺も混ぜろ」
ゆったりとした口調で言い放つシルバー。
呆れた声をしたインテクトは言う。
「…バカがまた1人か」
禁断の書がまた同じ様な魔法をした。
しかし今度は、自分自身に跳ね返る…。
驚き顔をするインテクト言う。
「およ?」
「くだらねぇ、手業するぐらいなら…真っ向から来いよ」
シルバーは、インテクトの体を蹴飛ばす。
メキメキと音を鳴らしてインテクトは吹き飛ばされる。
だが、インテクトはすぐさまに跳ね返るように戻ってくる。
そして、シルバーとインテクトは互いの手を伸ばして
触れた瞬間、轟音が鳴り響いた。
ーーーーーー
ガラガラと転がる瓦礫破片、それが頭にあたりマヤは薄ら意識を取り戻した。
微妙にボヤけた視線の先には…アルサリックの姿が映る。
「アルサリック…?」
「あ、気づいた?今、治癒してるからそのままでいて」
ふと思い返すと、禁断の書を手にした軍人の男性が…自滅に見せかけた殺し方を思い返すマヤ。
だが、今は誰と戦ってるのだろうか…遠くで騒音が鳴り響いている。
貫かれた腹部は、アリサックの治癒で塞がり、また肩や足も治っていた。
「ふぅ…もう一息かな…」
アリサックは汗を流していた。
神経な顔つきで、傷の手当をする。
死者の体を使ってインテクトは、本の中にいた意識が蘇った。
インテクトと闘うのは…次元が違いすぎる。
打開策は見当たらないし、難しいだろう。
治癒するアリサックにマヤは聞いてみた。
「ねぇ、禁断の書はいつから地上から離れて消えたの?そして、地下異界教会の人もなんで地下に住んでいたのよ…」