花がある剣士(1)
春風が吹くこの季節、入学式が行われていた
中等部から先に行われ、高等部は午後からとなる
そんなちょっとだけ時間をもてあましたマヤ
新校舎の三階で階段をすぐ上がった先にある教室
列からして右下の廊下側にある机に座って居た
周りを見渡すと……
普通のクラスよりもかなり少ない
数にして四つほどしかない
指で数えられる程の人数に微かに喜びはある
にしても、三人まだ来ないんだよね…
1人はアリサリック、課題に追われてるため午前登校は出来ない
1人は、ルイという子面識はあるらしいが正直思い出せないが……
生徒会の役員を一つやってるそうで中等部の入学式に参加してる
そしてもう1人は……
マヤは席から立ち上がり、掃除用具を開くと「うわぁっ!?」っと言う驚き声を上げて床に倒れた
「何してるのよ?」
この、黒いフードを着た子ミティー
以前アリサリックの居場所を教えてくれた少女
人形を使ったトリック系魔法が得意らしい
こうして会えたのはなんかの縁なんだろうと思ってる
が……なんで震えてるのだろう?
まるで獣に遭遇した猫みたいな表情
「か、隠れてただけよ…うん」
前とはかなり雰囲気が違う
というのも、前見た時は……
かなりSっ系を感じるような眼差しと、何かを楽しむような深い笑していた
今の状態は子猫そのもの……
どうゆうことなんだろうかと疑問視してしまう
「………」
「え?な、なに……?」
まぁ今はいいだろう、そう思えたマヤは再び机に座り
一つの木片を取り出して削り始めた
特にやることがないため、加工していた
何のかは、マヤが考えた小さな木刀である
女の子らしさがまだない悲しい武者乙女である
そんな光景を、興味ありそうな眼差しでじーっとマヤを眺める
「……ミティー?」
「はぅ!?な、なんでもないですぅ〜〜〜〜」
そんな感じで、一時間後ーーーー
キーンコーンカーンコーン……
午前の授業が終わるチャイムの合図
新校舎は、賑わいを徐々に活気へと変わる
マヤはゆっくりと立ち上がり、カバンからお弁当とアルミ製水筒を取り出す
布生地で包まれたお弁当はツートンカラーの白と赤色の二色が交差にクロス線を引いていた
「あ、あの……」
ミティーが声を掛けてきた
やや恥ずかしそうにゴニョニョと小さくいっている
マヤは、ミティーの右手にあるおにぎり二つを見て
何となく察したような緩い表情でマヤは言う
「お弁当、一緒に食べない?」
「え、いいの…?」
マヤは静かに優しく頷いた
教室をぬけた2人は、廊下を端まで歩き
屋上と2階へ行く階段があり、屋上に通じる階段を登ると……ベンチや木がありまるで公園を思わせるような作りだった
空の陽射しも程よく、優しい風が吹いていた
誰も人が来てないっと感じたマヤは目の前にあるベンチに座りその隣にミティーが座る
膝の上にお弁当を置いてお弁当の布生地を解き蓋を開く
「わぁぁ……」
「今日は唐揚げとタコウィンナーで、野菜はレタスとインゲンのおひたしだね」
ミティーは食べたそうな眼差しで目を光らせていた
唐揚げに突き刺してたプラスチック製の細い爪楊枝をマヤは手に取りミティーにの目の前に置く
「え?」
「食べたいんでしょ?それに、おにぎりだけじゃ足りないよね」
それはミティーの確信が突かれた言葉
ミティーも薄々感じていた事である
六花学園は勉強以外にも体を動かすことが多い
まだであるが魔法の扱い方や、魔力の引き出し方など様々ある
それを敢えて実技する事で以前みたいなことが起きても対応出来るようにする為だ、教科書などを見て通せばそうなのだろう
以前までそれがなかったのは恐らく……
最上位序列が在籍していたからだろう、約2ヶ月前の冬に最上位序列解体されてしまい所属していた人達もまた不明だ
今や最強概念はどこにも無い
ただ変わらないのは、魔法専門としたエリート六花学園だけは変わらない
ミティーは、マヤからの手渡された唐揚げを手に取り
ゆっくりと口元に運んでむしゃむしゃと食べる
「うまい……!」
「それは良かった」
ミティーは他にもマヤからおかずを貰い
おにぎりと共に食べるーーーー
そんな姿を微笑みながらマヤは眺めていると
中等部の方をマヤは眺めた、色んな人が入学式参加したのだろうと感じ取れた
「マヤ?」
「なにかなミティー?」
何かをポケットから取り出したミティー
手には密封された飴玉が1つある
「これって…飴だよね?」
「うん、おかずを分けてくれたお礼。受け取って」
マヤは有難く受け取ろうとした瞬間ーーーー
ドドドッ……
なんだろうか?かなり強い足音…それもかなり遠くで
ドドドッ
今度はだんだん近づいてきた……
はっきりと聞こえる騒音、どっかでドラムでも叩いてるのかの騒音レベルだ
ドドドッーーーー!!
いや待て待て、これはかなりこっちに来てない!?
そう思って、屋上入口をマヤとミティーは向くと……
バンッと力強く扉が開いてその子は言い叫ぶ
「私のお菓子はどこじゃーーーーーー!!」
かなり闘争心が剥き出し、目が充血してる
闘牛を思い描くような姿勢
ミティーの手のひらにある飴玉を見つけると
突進しながらこう声を荒らげて叫ぶ
「私のーーーーおやつぅぅぅーーーー!!」
高く飛び上がり、ミティーに遅い落ちる
悲鳴が空中を空回った……
ミティーの手にかぶりついたたまま離さない少女
そしてマヤは見て呆れながら言う
「アリサリック…お菓子の執着心を勉強に充てなさいって何度言ったのよ…」
「むごっむがむごっむむっごむっ!!」
ミティーは、手を左右上下に振るが離れない
マヤは呆れ顔をしたまま顔を手で押えた
そのまま、一時間は離れなかったと言う




