破壊された街並み探索
雨が降り注ぐ…
雨天はマヤの気持ちと同じ様に暗く泣いたように心の雨を振らせる。
私は…止めることが出来なかった
悔しい…目の前にしてなんも出来なかったことが。
許せない私、踏み込めなかった一歩が
マヤは伸ばした手をギュッと静かに握る
濡れた冷たい地面、マヤは顔をゆっくりとその先にある刀が目に写る。
「…まだ…終わってない…まだ刀が折れてない…」
刀は白銀に輝き一刀を貫く刃
それが折れない限り、折れてはいけない志。
マヤは口元をゆっくりと緩ませた
そして両手をググッと地面に着けて体を起こす。
ゆっくりとふらつきながら、落ちてる刀を右手で拾う
刀身に付いた雨の雫を振るう様に薙ぎ払う。
「お目覚めですかーー?」
空から声が降ってくる、見上げると…アリサリックの体を使ってるアルティマの姿だ。
マヤは静かに構えて言う
「君には用はない…アリサリックを取り戻すまで足掻く…」
アルティマは高笑いして、黒い翼をバサバサさせながら地上に降りて笑いながら言う
「私と対等に戦えるかどうか…試してみましょうか?」
マヤは走りながら叫ぶーー
「はぁぁぁぁーー !!」
アルティマはゆっくりと手を開き背後から魔法弾が無数に飛び交う。
マヤは切りながら走る、黒色の魔法弾は…マヤを拒絶する様に飛ぶ。
だがマヤは…速度を落とさずにそのまま壊れたビルに向かって走る。
倒壊しまくるビル…マヤは足を止めることなく走り、壁を強く踏み付けてアルティマに向かって高く飛ぶーー。
「やぁァァァァーー !!」
振り落とされたマヤの刀刃と受け止めるアルティマの黒い翼ーー。
お互いに擦れ競り合い火花を散らすーー
「はァァァァァーー !!」
「はぁァァァァーー !!」
キィィィンーーっと高鉄音が鳴り響きマヤが握る刀は折れて、刀身は虚空をクルクルと回転する。
「これで終わりですーー !!」
一瞬で出来た隙を、アルティマはマヤに向かって黒い翼をマヤに打ち付けた。
「ーー !?」
そのままアルティマの黒い翼からの攻撃をマヤは受け止めた。
マヤは口から血を吐き低いトーンで言う
「まだ終わりじゃ…ない…」
掴んだ黒い翼を力強く握りしめてマヤは目をカッと開き強い口調で言い放つ。
「まだ…終わっちゃいないーー !!」
左手から右脇差にある剣の柄を、掴み取り勢い良く引き抜くーー。
アルティマは斜めに切り付けられ吹き飛ばされた。
「はぁ…はぁ…」
アルティマは吹き飛ばされた、最中であることを思い返す。
それは…アリサリックの記憶である
楽しい事や、マヤと過ごした一ヶ月の記憶
そんなものばかりが浮いては、消えてを繰り返していた
アルティマは戸惑う…そんな記憶はありえないと
信じ難かった「魔族」と、言う血筋をあるにもかかわらず…楽しい記憶ばかり。
『そんな楽しい記憶…偽りだ…消えろ! 消えてくれよォォォーー !!』
アルティマは…それを許せなかったーー
だからこそ…アルティマは破壊を願うーー
アルティマはゆっくりと立ち上がり気力をなくした言い方で言う
「私は、認めない…彼女が楽しい日々を。ありもしない…嘘にまみれた記憶…許せないだからーー壊す !!」
巨大な魔法陣が空に展開、アルティマはその中心部まで飛び上がりこう言う。
「さぁ、ここで運命の裁判だ…死に植えるか、殺されるか好きな方を選べ」
バリバリと音がなり黒い雷がアルティマの周りに集まる…。
そして巨大な魔法の球体が出現しする
マヤはそれを見て驚きながら言う。
「な、何…あれ?」
忌々しい何かを感じる…今まで知ってる属性とは違い
上位属性が働いていた。
上位属性は…魔族だと闇属性、天族だと光属性
この二種類は四百年前に、この世界から消えた属性である。
それが今まさに…目の当たりにしているマヤ
「この魔法は、死んだ人が多いほど絶大な効果がある…これだけ特大なら相当やばいねーーマヤさん?」
明らかな挑発的な発言だった。
マヤは折れた刀を鞘に収めて剣を両手に握る。
「諦めないのですか?」
「ここで諦めたら、全て無駄になる…折れちゃうんだよ。ここで立ち止まったら、私が私でなくなるように」
マヤの発言にアルティマは終始言葉が止まる
そして歯をキリッ! っと擦らせて言う
「笑わせないでよ…なら願いどうりにーー殺してあげるわ !」
魔法陣から黒い閃光を放ちながらアルティマは
「死力拡散広範高出力魔法」っと唱えた
放たれた魔法は、広範囲に枝分かれしてマヤの周辺を爆発して行きーーマヤに向かって落ちた魔法をマヤは剣で跳ね返そうとした。
火花を散らせて、歯を食いしばるマヤは…何とか弾いて真横で魔法が爆発してその風圧に巻き込まれた。
ーーーーーー
次目を覚ましたら学校で一人、ポツンっと立っていた
窓まで行き、外を見るが…真っ暗だ何も見えない風景で黒一色だ。
周りを見渡すが…誰もいない
周り見た感じは六花学園…だよね…ここ
教室のドアを開けて廊下に、抜け出るがやはりシーンとしてる。
人気を全く感じられない…そこで突如鳴り出すのは下校のチャイムだけだ。
「ひゃっ!?」っと言う声がどれだけ恥ずかしいものか…誰もいなくてよかったっと安心した瞬間に目の前に人が現れていた。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁーーー出たぁぁぁぁーーー!!」っと叫び廊下を走るマヤ。
な、なんなのよもう…!
そう思いながら走ると…また同じ人が現れてた
何故か呆れたような顔をしている
その人から呼び止められる。
「ま、待ってよ」
「は、はひぃ!?」
逃げる足を止めたマヤは、後ろを振り向く。
どっかで見たことがある顔…女神だった
そしてマヤは安心したように話し出す
「め、女神でしたか…」
「またこんな所に私が来てあれなんだけど…まやに知らせたいことがあるの」
「知らせたいこと?」
「禁断の書についてよ、目覚め始めて来てね…世界の未来が見えなくなったのよ」
「未来が…? 禁断の書の起点となる…アリサリックが触れたからそうなったの?」
「そうよ…こっからが問題よ。マヤ、アリサリックをいつか殺さなきゃならない日が来るわ。そう遠くない未来で…起きるわ」
「…防げないんですかそれ」
「んー…難しいわね。理屈的にも運命を変える流れでやるわけだからねか」
「そうですか…」
「私はその方法があれば探してみるわ」
「ありがとう、頼れる女神様」
「ふっふっ…感謝はまだ早い !」
マヤは会話的に思っていた、崇めていた女神像は…ゴリゴリのおっさんである
今いる女神は、気品があって何やらいい匂いがする
矛盾感で脳裏がちぐはぐする。
ま、まぁ見た目に寄らないってこうゆうことかなっとマヤは静かに思った。
すると女神は腕を見てこう言った
「私は私のすべき事があるから戻るわ」
「…女神様、私も頑張ります」
女神はにっこり笑う姿をマヤは眺めた
ーーーーーー
爆発して空いた穴は、複数あり体をゆっくり起こして見渡すと瓦礫とクズ化した街並み。
立ち上がると腹部に激痛が走る
あの時の激突で痛めたのだろう
そしてあの剣はーー見事に折れていた
半分どこに消えたのか分からないが、身を護ってくれたことに感謝したマヤ。
「まずは…街を探索しないと…か」
行方を知るために情報を集める為に動くマヤ
今ある六花学園周辺にある隣町まで歩き始めた
その道中、魔物出くわすが容赦なく切り捨てる
数十分歩きようやくたどり着いた…第二の街《桜花》
メイン都市とは違い若干古風が、ある和風系の町である
だが、流石にあの魔法を放たれただけあり…街はめちゃくちゃである。
復旧作業をしつつあるが、手がつけられない場所もある
それが前方にある城である
和風系なのに洋風をぶち込むなんともイレギュラーな建造物だけあり、この街に住む住人は呆れたような感じで復旧作業をする。
ひょんな時に「先輩ーーー」っと言う声と同時に飛びついて抱きつく着物を着た少女。
バランスを崩しそうになるが持ちこたえたマヤ。
中学の友達で一学年下の後輩ララ
低身長でツインテールしてるのが特徴で良く子供扱いされる子。
マヤはララにこう言った
「危ないじゃない…ララ。人に飛びつかないってあれほど言ったでしょ」
「だってー、あの爆発みたいな魔法で…みんなと連絡取れなくなって…。マヤ先輩見たら安心しちゃって」
「寂しかったんだね、よしよし」
マヤはララの頭を撫でる
ララはデレ顔して「えへへー」っと口からこぼす
ララはしばらくしてからゆっくりとマヤから離れてこう話し出す。
「街はめちゃくちゃ、専用ディバイスも機能しない。都市はかなり凄い爆発したぽいけど…ちょっと心配」
マヤはそのことをよく知ってるので
少しばかり声のトーンを落として言う
「街は更地だよ…なんにもない」
「え?先輩なんで知ってるんですか…?」
「たまたま港にいて…あの魔法の爆風で気を失って。目覚めたら…なんも無かった」
「大丈夫ですか…体?」
「大丈夫だよーー」
マヤの無理した笑みがララからしたら少しだけ心配した顔を浮かべていた。
少し複雑なんだよね…あんな事起きたから
マヤとアルティマの戦いーーマヤの目にチラついてくるアリサリックの姿。
そんな姿を切らなきゃならないなんて…辛いけどそこは心を鬼にして戦った。
無理してたとしても、止めなきゃならない
戦いたくなくても、戦わなきゃならない
だから私は辛いのだーー
ララはマヤの瞳を眺める
暗く何かに迷う様な…目をしていた
そこでララはこう言った
「無理して抗う必要なんてないんですよ先輩」
「え?」
ララはゆっくりと胸元までマヤの手を引っ張り優しくギュッと握り言う
「戦って取り戻すだけでいいんですよ、もしそれが出来なくてもーー仲間が付いてますなら…ね ?」
その優しい言葉を聞いたマヤは…ゆっくりと優しい笑みで言う
「ララったら、いつの間にか私よりも成長してるんじゃん」
「いやぁ…まだまだですよ…胸が」
二人は急に撃沈した沈黙を放った。




