激しい激戦の最中
地響きで揺れ、崩れた外壁の小さな破片がマヤの頭にコツンっと落ちる。
「いたっ…」
頭をさすりながらマヤは起き上がる
周りを見渡すと…瓦礫の山で街並みはめちゃくちゃ
今いる場所はどうやら物影だろうか…木の板のようなコンクリートの上で眠っていたらしく、真上は何かのビル構造物。
そしてマヤは思い返す
たしか私は…あの時ーー
不思議な夢でも見ていた気分だ、一度どっかで見た光景だったが思い返せない。
起き上がった瞬間…体にあった傷が消えていた
そして、あの少女の姿はなくなっていた。
本当不思議な少女だった…火属性魔法を扱う姿ーー
まさに業火に舞う少女って感じだった。
マヤは脇差にある刀と剣を確認する
手にしていた刀は少し離れた場所にある瓦礫の山の上に突き刺さっていた
剣はどうやら抜けていなかった、マヤは突き刺さってる刀の所まで行き…抜き取る。
この高さだと見渡せる
六花学園は半壊してるし…周りの街は瓦礫化してる。東側を向くと、激しい激突と轟音こちらまで鳴り響いていた。
恐らく…シルバーと誰かが戦闘してるのだろう。
すると矢が目の前に突き刺さる
マヤは瓦礫の山から落ちると、その後を追うかのように矢が突き刺さる。
マヤは空を見上げた、矢を魔法で握る少女の姿が目に止まる。
「空に居るのは誰…?」
「……」
答える気配がない…
的確に言えば、喋るような雰囲気では無い
目は赤く虚ろで無表情、黒いフードを被っていて表情は分からない。
なんなんだろう…この子…?
マヤは刀をゆっくりと構えて待つ
敵なら切るしかないーー!!
その少女はマヤに向かって魔法で矢を投げる
属性感じられない矢…無属性である
近づいてくる矢をマヤはこう言い放つ
「無心型無月返し!!」
縦に振り落としたマヤの刀は、矢に当たりそのまま回転しながら少女の方へと飛ぶ。
少女の腹部に刺さりだらんと、前屈みに力を抜けた様な姿だった。
でも不思議ね、血も出てないし…なんで空中で浮いてられるの…?
マヤは不思議がって少女を見上げてると「クスクス」っと笑い声が聞こえた。
後ろを振り向くと、空中に居る少女と同じ姿をした少女が一人居た。
「私の人形の攻撃を弾く人はそうそい居ないわよ…君強いんだね」
少女の声に、マヤは驚いた…空中にまだ少女は居るからだ。
そして少女は、手を上げると…空中にいた少女はゆっくりと戻り少女の目の前でボンッ! っと煙音を鳴らして消えた。
少女はマヤを見てこう話し出す
「ん? 驚いてるのお姉さん? まぁ無理もないよね、私と同じ服装してるもんね」
「…君は…誰 ?」
「私? 名前は今は言えない…それよりも君親友の行方分かるの ?」
「行方は分からないけど…なんで知ってるの? 私が人を探してる事」
少女はクスクス笑いながらこう言った
「彼女ね…その本の持ち主が手にするとこの世界はドッカーンよ。それを止めに来ただけ」
「本の持ち主…? まさか…アリサリックが… ?」
マヤの発言に少女は微かに首を傾げて言う。
「そうだよ、理由からして変なんなんだよね。彼女の出身は地下じゃない…魔界よ。
まぁ人間とのハーフなんだけど見た目変わんないじゃん? 本人は自覚すらしてないし、記憶失ってるみたいだからね」
マヤは真実を知り正直驚く
アリサリックは魔族の血が流れてる…それは何を意味するかと言うと…時期魔王。
マヤは認めたくなかった、否定したかった
大切な親友はそんなはずがないっと願いたい話だ。
そして、マヤは冷や汗を滲ませて否定する言葉を言う。
「私の友達は…親友は、禁断の書の起点役でもその持ち主ではない… !」
だが、少女は冷たいトーンで言い返す。
「君は認めたくないだろうけど、これは事実…逃げられない定めよ。私は調べていたこの世界を…」
「うそよ!そんな話聞いてないわよ!」
「血縁が魔族、君が認めなくても…運命的に決まってるんだよ」
マヤは、力なくゆっくりと力なく瓦礫に膝を落とした
タダでさえ、状況があまり理解してないのに…ダメ出しに新事実を知った。
どうしたらいいのか分からない、けれど…方法はただ一つ…禁断の書にアリサリックを触れさせない事…。
マヤは右手に持つ刀の柄を力強く握りしめて、悔しがる様な声で言う
「そうかもしれない…だからって、止めないで野放ししてたら…終わりじゃない…!」
少女はゆっくりとした口取りで的確に言う
「魔族は本来この世界にいては行けない存在…殺ろさないと本当にこの世界はーー滅ぶわ」
マヤはその発言に否定的に言う
「それは私にはできない! 殺さない方法があるとしたら禁断の書に触れさせない事…それ以外ないのよ」
少女は軽くため息を吐きながら言う
「どれほど綺麗事を並べても…最終的には戦わなきゃならない定めよ。 それを背負う覚悟…そうこの世界の運命を背負う覚悟ある?」
マヤはその言葉の重さを感じ取り返せなかった
少女は淡々とした口取りで話す
「殺さないで、禁断の書を触れさせない…そんな甘い考えは無理よ。 仮にそれが上手くいってもどちらか必ず失う…それが世界となれば話は違う、間違いなくアリサリックをーー殺しにくるよ」
マヤゆっくりと首を振りそしてこう言った
「そうなったとしたら、私がアリサリックを止めて見せる。 私の親友は私で止める…それが友達」
少女は呆れた口調で言う
「例え世界を敵に回しても…救うって事かな」
マヤはゆっくりと立ち上がり少女を眺める。
揺るがない眼差しは…一つの覚悟を決めた証だろう。
少女はしばらく黙って考え、ある紙をポケットから取り出す、それをマヤの目の前に投げた。
「これは…?」
その紙を手に取ったマヤは、地図にバツ印がありその位置は…工場跡地っと書かれた巨大な倉庫がある所だ。
少女は少しだけ淡々とした口取りで言う
「アリサリックの居場所、その地図の場所に居る。 聞いた話じゃ、どっかの盗賊が拉致った見たいよ」
マヤはその紙を手に持ち「…ありがとう」っと言い瓦礫の上を走った。
そんな後ろ姿を少女は眺めて言う
「親友ね…そうしてまで救いたいなんて…よっぽど大切に思ってるんだね」
ーーーー
マヤは瓦礫を疾走する
瓦礫を次々に走る地図的には、流石に今とは違うので迷いそうだったが工場跡地に辿り着く…。
こんな場所に…?
古い倉庫だけあって色んなものありそうね
倉庫と書いて工場跡地、誰がそんな変な呼び名にしたのか謎だが…それは置いとき。
マヤは倉庫の中に入る…周りは電源が入ってるせいか明るいーー。
探しやすいわね…さてと
どっから探しますかねーー?
数分歩いて回るが見当たらず
すると、倉庫奥で悲鳴が響いた
マヤは走って行くとアリサリックが床に倒れていた。
「アリサリック…!?」
「うっ…」
マヤはしゃがみアリサリックを揺する、呼び掛けに返事があり意識はある様だ。
大丈夫か…よかった…
その背後からごつい体をした男が、淡い光を放つ本を片手に…こう言い吐いた。
「神に逆らうのか? お前は、教祖を大事にしてたんだろ?」
マヤはなんの事かよく分からない
すると、アリサリックは体を震わせながら体を起こして立ち上がり言う。
「大事にしてるよ…でもね…ようやく解放されたんだよ。長い事、私は地下にいた…だからその本がある限り私はーー壊さないといけない…!」
アリサリックは気力で走り巨大な男に立ち向かう。
だが、ごつい男に腹を蹴飛ばされ…アリサリックは転がる。
「あ…うっ…」
そして、ごつい男はゆっくりと歩きアリサリック首元を掴みあげてこういった
「壊せるなら壊してみろ魔族…貴様が生きるか、この本が残るか…選べーー」
巨大な男にの腕は切り裂かれ、アリサリックの持つ腕が床に落ちる。
「お、俺の腕がァァァァァーー !!」
マヤは静かにキレていた、その切り裂いた時に付いた刀の血痕を振り払い言う
「勝手に決めないで、その問題は私が承る !」
「グゥっ!! 許さん…邪魔をするなら許さんぞーー !」
その本を片手に持ちごつい男は走り出す
マヤ静かに剣を構えて突進してくる、ごつい男に向かってこう言い放つ。
「空型風雪乱舞!!」
マヤの剣技が炸裂し、ごつい男は壁に向かって激突。
すると、もう一人のごつい男が現れ…落ちてる光ってる本を手に持ち言う。
「貴様…誰なんだ…? この光る本…禁断の書だけど、何故止めるんだ…?」
マヤは躊躇わずにこう答える
「友を救いに来た、ただの通行人だよ」
ごつい男は「は?何言ってんだこいつ」的な眼差しでマヤを見る。
マヤは背中越しでマヤに言う。
「アリサリック、貴方は私が守るわ」
「マヤ…ちゃん…」
ごつい男は、ゆっくりと歩きながら言う
「おいおい…舐めてもらうと困るーー敵さん沢山呼んだぞ」
目つきが悪い人達が次々に現れ始める…
だが、マヤは…胸ポケットからスイッチボタンを取り出して押した。
ドン!っと言う音が辺りに馳せた
間違いなく爆発音である
マヤはこちらに来る前に、爆発物を倉庫で見つけておりそれを仕掛けて居たのだ。
目つき悪い人達は混乱して逃げ惑う。
「おめぇら動くんじゃーーー」
マヤはそんな混乱に便乗して飛び上がり…ごつい男の首を跳ねた。
血飛沫は噴水のように吹き荒れるが…体は倒れない
首切ったのに…なんで倒れない…?
マヤは驚き顔を浮かべていると
目つき悪い人達は悲鳴をあげて逃げ出す。
すると体だけが動き出してマヤに攻撃を仕掛けてる。
禁断の書なんて何処にあるかなんて分からない。
マヤは回避しながら探してると…
禁断の書が…虚空を回転していた
その真下にはアリサリックの姿があった
「アリサリック避けてーー !!」
マヤの魂の叫びは虚しくただ響いただけだった。
そんな声を無視するかのように、アリサリックの手元に収まる。
「アリサリックーー !!」
アリサリックは禁断の書を抱きしめたまま下を俯く。
連撃するごつい男の肉体をーー右手を力強く握り
マヤは強い眼差しでこう言い叫ぶ
「邪魔だァァァァァーー !!」
その一閃でごつい男の体は、天井に向かって飛ばされた。
駆け寄るマヤ…だがアリサの周りからは激しい地盤揺れが引き起こされる。
「な、何が起きてるのよ…!?」
「……」
ゴゴゴッ…という地響きが鳴り出す。
床は激しく揺さぶられ、視界がぶれる
マヤは刀を床に突き刺して耐えしのぎアリサリックを眺める。
アリサリックから強い光が中心部に集まりやがて…強い光を放つーー。
激しい閃光に左腕で顔を隠すマヤ
なんなの…これ…?
禁断の書の目覚めって…これなの…?
その光が緩み…アリサリックの服装が変化する
全身黒い服装…小悪魔的な服装だ
髪の色はクリーム色で目は真っ赤で光が宿らない虚ろな眼差し。
アリサリックには違いないけど…何なのこの迫力は…
まるで全てを破壊する様な…禍々しい何かだ
そんな力が見てるだけでマヤは分かる
試しにマヤはアリサリックを呼ぶ
「…アリサリック?」
「…私は禁断の書の、項目第86説。アルティマそれが今の私。ふむ、それで君は誰?」
完全に名前をスルーした…話し方もまる別人だ
アリサリックだけどアリサリックじゃない何か…。
口では説明しずらいが…これだけは分かる
かなり危険な存在とーー
「…誰あんた」
「私の過去の名前を呼ぶな、私はアルティマーー覚えといてこれから街を破壊する人の名を !!」
アリサリックが軽く手を伸ばした瞬間…
マヤは何かの強いく体をぶつけたような衝撃を受けて倉庫の外へと飛ばされ地面を転がる。
「感謝しなさいーー壁打ちだけはさせなかったから…ではまた会う時は…戦場で」
黒い翼を背中から生やして飛び立つアルティマーー
マヤは薄れる意識で小さく言う
「まってよ…返してよ…友達をーー」
伸ばした手は床に落ちる、その直後雨が降り注いだ。




