気を失って見た世界
私は…死んだの…?
そう思い描くのは無理が無かった
目の前が真っ暗で、自分一人が見えている
周りに映し出されるのは、自分の記憶だろう。
懐かしいものから、悲しいものまで…私の記憶が映像みたく流れていた。
そんな中で私は目の前に、ある強い光を見ていた
そこには両親の姿で微笑んでいた。
1歩進めば足が重くなり、2歩進むと躊躇した様に動かなくなった。
私には迷いがある、アリサリックを見つけて救う為に家から飛び出したら…霧使いの六花生クラウドと戦い召喚魔法で魔獣と戦い、更には黒い鎧の男性と死闘…そんな戦果に一人娘である私がどうしろと…?
考えばかりが湧き上がり、諦めかけた証が1歩前に進む事…それは逃げる意味ではなくただ疲れたからだった。
死ぬならそうして欲しいなんて、上辺事を軽く口にしてる自分が…すごく嫌で嫌いだ。
すると強い光を放ち、私の目の前に女神らしい人が現れて話し出す。
「お久しぶりですマヤ」
「…?」
「記憶をなくしてたんですよね」
「記憶…ですか…?」
「六歳の時の悲劇もお忘れですね」
「…何を言って…」
「まぁ、その話は後にします。それよりも…戻らなくていいんですか?」
私はしばらく考えた…あの死闘や自滅した人のことを思うと、躊躇いが現れ思想も揺れてしまう。
「戻りたいけど…」
「けど?」
少しばかり目をつぶり私は静かに言う
「疲れた私…死闘の連続だし」
女神は軽く胸を撫で落としてこう言った
「…その道は進めば帰られるものがある。例えば…辿っていた世界の終わり、この世界は実の所はかなり逸れてきてるもしかすれば…変えられる」
私はその発言に対して反論する
「もしかしたらって…まだ先じゃん」
「例えで言ったのよ、どうなるかなんて分からないけど…その戦いに意味がある。だから、マヤ疲れてるかもしれないけど恐れないで」
私の目は完全に迷っていた、真っ直ぐ何かを見つめる目ではなかった…。
だが、女神はこう言う
「やれる気がしない…なんで立ち向かわなきゃダメなの…?」
そして更に女神は…こう言った
「それは、マヤにはそれだけの力がある。だって魔法がなくてここまで来た…どんな苦境でも立ち向かえるし抗える…そんな力があるんだよ」
私は少しだけ考えたーー
浮かび上がる記憶、それを一つ一つ思い返す
私は確かに…魔法無しで戦い続けた
死ぬかもしれなかったのは何度かあった
けど…時に挫折してもいいじゃない…
私は瞳から涙がこぼれ落ちた
理由は分からないけど…苦しい
それを見ていた女神は優しく言う
「マヤは理不尽な事により、記憶を失って魔法も扱えなくなった。けど、ここまで頑張ったじゃん…だからここで諦めたら、「守った」物は消えてしまうのよ」
私は少しだけその言葉反応した
確かに自殺したスネークの気持ちを「守る」
殺さずトドメを刺さなかった人の意志を「守る」
友達の笑顔を「守る」
そんな事ばかりを思い描いていたマヤ
私は…こんな所で逃げていいのーー?
自問自答した結果…一つの答えをが出る
「…女神さんだっけ?」
「そうですよ、その感じだと答えが決まりましたね?」
「えぇ…私はここで逃げたら私じゃない…帰るよ六花学園の場所に」
私が女神に見つめているその眼差しは…先程とは違い強い意志を感じるように目を光らせていた。
女神は目を瞑り…マヤの背中を押した
「行きなさい…マヤが踏み締めたその道筋を私は遠くから見てます。決して後ろを振り返らないで前だけを見てひたすら走ってくださいね」
私は何歩か前に進んだ、下を少しだけ向き前を向いた。
そしてマヤは女神にこう言った
「話を聞いてくれてありがとう…行くね」
決して後ろを振り返らず、その足を前へ踏んだ
忘れていた私にはまだやることがある…簡単に諦めてどうするのよ
ここで終われば今までの事が無駄になるわ
私にしかできない事を貫くんだ
すると優しく懐かしい声が背後から飛んだ。
「マヤ、行ってらっしゃいーーー」
「え?」
後ろを振り向こうとした体を私は止めた
前を見たまま私は、ゆっくりと微笑んで「行ってきます」っと小さく言った。
私は見えないか道筋を真っ直ぐ歩いた
だんだん、あたりは薄く明るくなる
私は私に負けては行けない
ただそこに何かがあれば…諦めることは無い。
揺らいだりしない救えない何かがあるなら。
貫き通したい親友の為に
戻らなきゃ行けないーー
あたりは強い光を放ちだして、だんだん明るくなる
腕を前にして、眩しい陽射しを遮るように突き進んだ。