神隠しをする六花生・Ⅱ
苦し紛れせてるクラウド、まだ完全には死んではなかった。
そして、少女はこういった。
「君をつけて正解だった。神隠しなんて、この世界にはかなりの数あるけどどの街にもそれは存在してない架空の話。
最近、話題性で満ち溢れていた神隠し…霧だけと言う不審な点があった、そこで私は調べた。霧使いの魔法を扱える六花生は居ないかと…まぁ見事にクラウドが引っかかったって事なんだよね」
クラウドは驚き表情を浮かべていた。
口から血が混じった血を吐き捨てたクラウド。
ゼーゼーっとした様な息遣いで夜空を見上げたまま言う
「最初から…付けられて居たのか…」
少女は目を閉じて無心に言う。
「調査とは奥深いもの、それを知れば知るほど、相手の素を知ることが出来る。さて、出頭して貰えますかね?」
だが、クラウドは歯を食いしばり手に力を入れる。
「俺は…っ! 俺はァァァァァーー !!」
薄くなっていた霧が再び濃さをました、呆れる少女に対してクラウドは魔力を解き放ち、右手に霧の渦を巻き起こす。
血だらけの姿で、下手に動けば死ぬ事すら危うい状態で立ち上がっていた…クラウドは魂の叫び並に言う。
「俺が警察に捕まっちまえば…全てが無になる…っ!なら、死ぬ気で魔法を解き放ってくだばってやる!!」
何故ここまで、抗うのか…。
クラウドは、数ヶ月前までは列記とした優等生。
物凄く賢くて、神童なんて言われていた。
勿論そうなったからには、周りの見る目は…痛い。
矢を放つような視線がクラウドに当たり、更には傷口にナイフを飛ばして刺すような強い暴言を吐き散らす同級生達。
孤独を味わい更には敵視された眼差しはクラウドをーー神隠しと称した六花生殺害計画した。
結果的にはそれが上手く行き神隠しとなり、噂までになった…クラウドからしたらこれは高揚感を抱かないわけがなかった。
少女は…冷静な口調で言う。
「無駄な抵抗を」
最後の力だろうか、かなり全力で魔法を解き放つ。
少女はただ単に眺めてるだけである。
「無駄かどうか、試して見なきゃわかんねぇだろ!!」
クラウドが右手に起こした霧渦を、前に押し出した。
物凄い突風が吹き付け、前方から色んな物が吹き飛ばされてくる。
「はぁぁぁぁぁぁーーーー!!」
悪足掻きもいいどころだと言わんばかりの表情を浮かべていた。
もうクラウドは理性が飛んでいき凶悪で歪んだ笑みを浮かばせていた。
周りの建物が、べきべきと砕ける音が鳴り響き出す
視界の悪さに、飛ぶ物を躱すのはかなりの至難だ。
「あはは…ハハハ…あはははハハハーー !!」
クラウドの背中からは、血が吹いた。
体はもう持たないだろう…どうに限界を超えていたはずだった。
少女は苦虫を噛んだような顔で小さくこう呟いた。
「ーーーー削除」
霧と風は一瞬で止まり霧が晴れた。
少女が放ったのは無効化魔法で無属性である。
拍子抜けするクラウドに、ふらつきながら膝を地に付ける。
少女は小枝サイズの小さい杖を取り出して。
「攻撃」といい、眩い閃光波を放った。
音もなく、クラウドは額に的中して虚空を舞い上がり地面にゆっくりと落ちる。
少女は、小さい杖をしまって言った。
「殺さないであげるだから生きて償え。まぁ、最上位序列からしたら魔法の差は歴然。とはいえ…」
気絶しているマヤを背中越しでちらっと見て言う。
「神隠しに巻き込まれるなんて、余程焦っていたのかしらね?」
マヤは模擬試験を途中でリタイアしていた、決勝戦まで勝ち上がっていたが…アリサリックが帰ってこないのが日に日に伸びたのでリタイアっと言う流れで、端末のメッセージで焦ったのだろう。
すると少女のディバイスから着信音がなる。
ディバイスは通信機器で通話専用とされてる。
魔法を用いた通信機器なのでがなり貴重価値が高い。
相手は、クリフト陛下っと表示されていた。
ディバイス画面を押して電話に出る。
「はい」
「神隠しは倒したか?」
少女はたんたんと答えたが少しばかり気になる事がある。声のトーンは割と低めだった。
「はい、まぁ…六花生の人だった見たいですが。」
「ふむ…やはり変じゃのう」
どうやら向こう側の郎爺も異変に気づいている。
マヤは郎爺の違和感に疑問な声で言う。
「何がですか?」
「六花生の人々は少なくても、そうゆう六花学園ではないはず…。何が起きてるかもしれんの」
「…それはどうゆうーー」
突然端末の電波が悪くなる。
「むっ?」
通話が遮断されたかのように無音声になる、画面を見るが通話状態は問題ない。
その瞬間、ある場所から巨大な爆発音が鳴った。
六花学園だろうか…火炎が空に伸びて、轟かせたその音に唖然とする。
ここの場所は六花学園の中央広場で、ここからの位置だと…六花学園の方角は見ずらい。
少女は、気絶するマヤに気づき駆け寄り呼び掛ける。
「君、しっかりしたまえ!」
「うっ……?」
マヤはうっすらだが目を開く、そこに写るのは少女の顔である。
「目覚めたの見たいね…」
「貴方は…?」
マヤは名前を聞いてみたが、それよりも慌ただしい表情の少女。
「名を語る前に、少し周りの状況を見た方がいいわよ」
小型の魔物が次々に現れ始めた、マヤは片足と左腕抑えて引きずりながら少女の場所まで歩いた。
すると…何やら魔獣の群れが出来上がっていた。
「なんですかこれ…?」
「わかんないわ、でも分かるとしたら…なにかの召喚魔法ね」
召喚魔法は、基本的に扱える人はまずこの世界にはいない。
何故なら既に滅んだ魔法の一つだからだ。
それだけ高度な魔法で普通の人がやれば頭が消し飛んでしまう。
そんな魔法陣があちこっちから現れては、魔物をどんどん出てくる。
「召喚魔法?」
「召喚魔法ってのは古く使われていた上位魔法の一つよ。今は誰も使い方知らないはずだし、滅んだ魔法…」
すると少女はふと空を見上げた、すると…月影に重なる様な位置に…誰かが居る姿が目に止まる。
「よそ見しちゃダメよ。」
「だって、あそこに人いますよ?」
マヤは何となくわかっていた、あんな無茶苦茶ができるのはただ1人の男性。
そしてマヤは少女にこう言う。
「あー、シルバーね」
「シルバー…固有魔法の。 って座談してる暇ないわ…来るわよ!」
上空百メートル付近、冷えた風が吹き付ける。
街を一望できる位置に、一人の男性の姿が写る。
「久しいな、この世界と場所。…どれだけ恨んだ事やら」
「…誰だおめぇ」
シルバーは、不思議な格好する男性を睨む。
当然、今居る場所は最上位序列の総合集会所みたいな場所である。
その男性はシルバーの魔法を言い当てる。
「雷の魔法を変容して、磁力の魔法にして更に改良して反射魔法か。中々上等な魔法だな」
雷魔法は、扱えるには問題は無いが…得意な人は存在しない。シルバーはそんな男を強く睨み言う。
「……っ!でめぇ、一目見ただけでわかんのかよ?」
その男は満更な顔でもなく、こういった。
「えぇ、この世界のーーー創作者ですから」
シルバーは微かに鼻で笑いながら言う
「は?てめぇがこの世界の親だと?笑わせんなよ」
「……」
一瞬にして、その男性から放たれた透明な糸が張り巡らされた。
そして、その男性は指をならした瞬間、その糸から火が放たれ爆発。
その火炎から、シルバーは右手拳を振り抜いた。
「オラッ !!」
だが、難なくその手首を掴まれた。
シルバーの固有魔法が全く効いていない。
シルバーは驚き、男性は怠慢な顔つきで言う。
「あの一撃を躱すなんて上等じゃないか。しかし、その弱い振りの拳は俺には届かない、落ちろ地上に」
軽くシルバーの拳を掴んだまま地上に向けて投げた。
かなりの音速で地上に向かって飛ばされ、轟音をならし砂煙を上げた。
だが、その砂煙を吹き飛ばし、かなりの速さで飛び戻って来た。
「…犬か。撮る餌は私にはありませんなーー」
その勢いで、シルバーは振り抜いた拳は、腹部にクリンヒットし、ドンっと言う衝撃音が鳴り響いた。
だが、その男は…動かなかった。
「あーーー?」
シルバーの拳は、その男の右手に収まっていた。
その男はゆっくりと、拳を作り言う。
「では、私の番ですねーー」
シルバーの頬を殴る…普段なら反射魔法で跳ね返る部分がストレートに決まる。
メキメキと音を慣らしていくーー。
シルバーは、半信半疑で驚き顔をしたまま回転しながら再び地上へと吹き飛ばされる。
「足掻く番犬、噛み付く相手を見当たらないで頂きたい…」
シルバーは物凄い勢いで地表を滑るように転がっていた。
山を貫通するほどの重い一撃、シルバーは両手を地表について高く飛び上がる、そして体を戻す。
チッと舌打ちをしたシルバー、そこには彼は居なかった。
「クソが…俺より強い魔法だと…」
シルバーは歯を擦らせた…自分より強い存在を認めたくないからだった。