シーズン・III
アルサリックが見つからなくて、とうとう夕方になってしまう。
欠場って言う言葉はあまり好ましくないと思う。
なので、マヤがとった行動はこうでした。
「おーと!? 現れたのは特別生のゼロ花生のマヤ選手ただ一人だ !!」
観客と感性は静かに消えた、目の前の二人も目を丸くした。
当然だろう、共闘でソロで入ってくるのは異例だからだ。
周りはリーグ状見たく三百六十度見渡せ、観客は2000人弱程座れる。
勿論、罵声や煽りばっかり降り注ぐリーグ内。
そんな所に、左右に剣と刀を握るマヤに対して相手は二人だ。
「……」
「魔法無しの弱者か」
「弱者と決め付けるのは早いわ」
「…舐めてんな」
マヤは怒っている訳でもなく、ただ平常な口調で言ったのだ。
リーグ内の生徒はマヤは死闘でもしようとしてるのかと思う人は多い。
二対一なんて前代未聞で、これは六花学園では歴史上初となる。
リーグの観客は静寂…謎の静けさに襲われる。
「ふん、ただ二本の武器でなんになるやら」
「ゼロ花…劣等生の癖に…生意気」
煽り文句の最中で、マヤは相手をジャッチする。
胸に刻まれた六花の花が一輪だけあるわね。
この学園の生徒の証拠つまり一花生の証…それが二人もいる訳ね。
魔法はそれほど強くないと判断する。
マヤは負けられない気持ちになっていた。
目の前に現れたスクリーンには、カウントダウン
制限時間は3分間、共闘の一人でも気絶したらそこで試合は終了。簡略なルールで助かるが、魔法持たないと持つは差がある…が決して諦めないのはマヤである。
ブザーと同時に、先制を仕掛けた左側にいる一花生、僅かながらの魔法で電気を放った。
それに合わせるように、右側にいる一花生は剣を構えて走り出した。
双方からの攻撃、私からすればこんな攻撃は初歩的だわ。
マヤは、刀をゆっくりと構えて振り抜く。
衝撃波見たいのが飛ばされ、電気魔法陣展開していた人に当たりは崩れた。
星屑の剣は、どうやら…剣技能力を特化する見たいだ。
「なっ!?」
そして、右側から来た一花生の攻撃を軽く躱して、左手に握る剣の柄を相手の腹部をドンッ! とぶつけた。
「がはっ…!」
よろけ出す一花生にマヤは冷静な眼差しと声のトーンで言う。
「動きが温い、隙だらけ…劣等生とはどちらね?」
一花生は歯を擦らせてマヤを睨み返す。
「ぐっ?!」
怯んだ一花生の頭上から更に柄をぶつけ、ふらつきながら後へと後退りする一花生。
「お、おい…そっちはーー」
もう一人の一花生はそう言っていたが、後退りする一花生はリングの外へ足を滑らせて落ちる。
気絶判定がどっからともなく現れた審査で、告げられた。
「一花生1名気絶と見なし、よってゼロ花生のマヤに勝者となります」
観客は静寂の様に、不気味なほど歓喜が沸かなかった。
マヤは左右の鞘に刀と剣回転させて納めた、リーグを抜け出て控え室に戻った。
「お疲れさんっと、さすが名門だけあるな。格差で歓喜すらわかないとか未知だなおい」
そんな感じに話だしたのは、鍛冶屋のヒードラだった
刀のメンテナス特は自分で見つけて専属として、この模擬試験に呼ばなきゃ行けないルールがある。
マヤ的には、ヒードラが鍛冶屋でもあればメンテナスとかは全て任せても大丈夫っと認識してる人物である。
そして、マヤはヒードランに刀と剣を手渡して控え室の壁に背を預けて話し出す。
「気にする程じゃないわ、勝ち残ればいい話だしね」
「でよ、アリサリックだっけ?見つかったか?」
その事を聞かれたが、マヤは反応に困るがとりあえず気にしない感じでヒードランにいう。
「見つかるはずがないわよ、何処で何してるのか分からないわ」
「んー、今日で2日目だろ?流石に変じゃないか?」
心配を煽らせるヒードランにマヤは強く言う、
「考え過ぎよ」
「そうか?オレァ、孤高な剣士さんと違って周りを見渡さなきゃならないもんだから、その安心感はどっから来るもんだろうなぁ」
マヤも心配だが、今は考えられない。
目の前のことを考えないといけないからである。
「まぁ、帰って来るでしょ…きっとねーー」
ーーーーーー
模擬試験会場の控え室から、そう遠くないある小さな古民家。
アリサリックは、一枚の床を開き地下へと潜り込んでいた。
何故アリサリックは地下へ向かってたのかと言うと…
自分に必要なものがそこにあるからだった。
そのまま地上に出て、その後、地下は封鎖された訳だ
別ルートから行けないかと探してみた所、この場所が地下へと繋がっていると言う話を噂で聞いていたのだ。
1日かけて、場所を見つけ出して、上手く侵入したのが当たりは真っ暗、まるでダンジョンの様な構造。
持って来た、ヒノキの棒の先端に火をつけて、たいまつにする。
歩いてそれなりの時間が過ぎていた、もはや時間感覚はよく分からなくなっていた。
湿気ぽい足場は、水分を含んでいた。
天井からの水滴も落ちる…ピチャンっと水滴が水溜まりに落ちる音すら反響音で鳴り響く。
まだ地下があるとはね…早く向かわないとーー。
アリサリックの体に衝撃が走る、手にしていたたいまつがカランと地表に落ち転がった。
前を向くと、巨体な体をした男が居て言う。
「貴様、地下異界教会の者だな? 死して名を消せーーー」
「な、なんでここに人が… !?」
アリサリックは、そのまま気絶してしまう。
先程の一撃は、首に狙った魔法の様だ。
赤く燃えるたいまつは無惨にも地表で燃えていた。
ーーーー
同刻、マヤは自宅に帰り、ダイニングで右左を大復しながら歩いていた。
アリサリックの帰りが中々で、もう2日何をしてるんだと思う。
さすがに心配は心配だ…その動きが左右に歩く感じで何かが落ち着かない。
「何してんのよ? 心配しないなんて百パーセントないのよ、馬鹿じゃないの? 二日家空かすとか」
そんなタイミングで、端末が鳴った。
この端末は、六花学園に支給されている物で電話とは違いメッセージを送り合うものだ。
マヤは、端末で話を聞いたがあることを言われた瞬間、血相を変えて家を飛出た。
アリサリックが、瀕死で見つかったって…嘘よ!
民警から告げられたのはこうだった。
『アリサリックさんは、ある古民家の地下通路で発見されました。背中には短い剣が1本刺さって六花にある病院に搬送されていますが意識がなくかなり危ないと言われてます。私達民警も、この古民家に犯罪者の溜まり場として目をつけていた矢先でした…すみませんでした。』
そういうこと言われても信じられるわけない。
謝罪されたが、それよりもアリサリックが死にかけてるっと言う話だ。
2日間何をしてるんだとっと思えばこの古民家に居る犯罪者に刺されたとか…ありえないし認めたくは無い話だ。
すると、前方に…見慣れた制服を着た人々が立ちはばかる。
「その服、六花生の制服…こんな時間に出て歩いちゃいけない規則…人のこと言えないけれど、邪魔よどいて」
話しかけても無反応、ただ立ちつくしているだけ
マヤは、ふとあることを思い出した。
噂話で、深夜帯に近い時間街に出歩くと…六花生の服をした人が現れ、問いかけても反応。
そして、背後から何かで切られ意識を失いそれっきりその人は見つからなくなった。
これが言わいる、「神隠し」と称されていた街の噂話だ。
先程よりも鮮明に思い返すマヤ。
つまり、この現象を考えると…まさにおなじ状況…。
マヤは、ゆっくりと刀を抜き取りぐるりと回転して背後振り向き振る。
何かを掠った音が鳴り、その正体が目の前に写し出された。
細身の男性、勿論六花生の制服を着ている。
「誰よ…あんた…?」
「神隠しって世間はそう言ってるね、その人さ。さっき見せていたのは幻…よく見抜けたね」
その発言にマヤは六花生に言う。
「確信犯で…何がしたいのよ?」
「理由が知りたいのか?なら、僕を倒してみろ。そしたら、教えてやるよ…勝てたらね」
意味が意味である、結局は戦えという話である。
マヤは考える、アリサリック優先にしたいからだ。
「……」
「やるの?やらないの?」
そんなマヤをよそに煽り始める六花生。
マヤは否定的な発言を言う。
「時間が無いんだ、やり合う訳には行かない」
「くくっ…」
不気味な笑いをする六花生。
マヤは少しばかり冷や汗を滲ませて、六花生を見て言う。
「何がおかしい?」
「今の状況理解してから言って貰えるかな?」
マヤの周りには、濃い霧が漂うーーー。
その六花生と自分以外は景色は見えない、つまり逃げられようがない。
アリサリックに会うために飛び出たら、こんな奴に捕まるなんて…仕方がない…。
マヤは刀を抜き放ち、構えてこういった。
「なんでこう…上手くいかないのよ! アリサリックのせいよこれ !!」
マヤはそう言い切るしか今はなかった。
六花生の少年は、かすかに笑答えた。
「そう来なきゃね、神隠し名を消させやしない…」