元軍人による機密計画・後半
そんな言葉に反応するかのように、マヤとアリサリックは互いに一歩前に踏み込んだ。
だが、シルバーは気だるそうに二人にこう言う。
「おい、お前ら二人…動くんじゃねぇぞ?」
「え?」っと言う表情を浮かべたマヤとアリサリック。
シルバーもまた、ムカついていたのだろうか…。
何も無い空間からバチバチっと電気を鳴らした音が鳴る。
口元をグイッと上げて、悪そうな笑みを浮かべて言う。
「俺を利用した奴には、対等な処理しねぇとな。邪魔すんならお前らまで消しちまう…分かったか ?」
そんなシルバーの発言に二人は頷いた。
パァンッ! っと鳴り響いた。
スネークの威嚇射撃だ、それに反応するように…数人の兵士達は動き出す。
シルバーはゆっくりと歩きながらこう言う。
「さぁて、少しは遊ばせてくれるよなぁーー ?」
シルバーはポケットに両手を入れて悪魔的な笑みを滲ませた。
スネークはニヤリと笑い言う。
「飛んだ性悪ガキが…」
シルバーはゆっくりと地面を踏みつけた。
無属性魔法が放たれ、暴風並みの衝撃波が放たれた。
周りに居た元軍人は華麗に吹き飛ばされる。
そして、元軍人一人はシルバーにライフルで遠距離射撃する。
シルバーの目の前でキュルキュルと回転して、シルバーはそれを二回ほど指先でトントンっと軽く触れて押す。
弾丸はそのまま元軍人が手に持つライフルに帰り戻り。
そのまま、ライフルを破壊して元軍人の心部を破壊して貫通を果たす。
そして、シルバーは足元に落ちていたライフルを手に取り言う。
「悪ぃな、手加減できねぇや…フフフ…アハハハハーー」
シルバーの不気味な高笑いは元軍人を怯ませた。
凶悪なその笑みは…悪魔すら思い描いてしまう。
「あ、悪魔めーー」
「あん?」
シルバーは、元軍人がをギロッと睨みつけた。
そして、一瞬にして移動果たすーー。
わずか一回踏み込んだだけで、無属性魔法が放たれた飛躍的に移動が可能である。
「ひ、ひぃーー !?」
シルバーはゆっくりとその元軍人の首に触れた。
そして、凶悪なその笑みで言う。
「ふん、雑魚は死に値する…じゃあな」
バキャッ! っと音が鳴り響いた。
そんな姿を見た複数の軍人兵士は悲鳴をあげて、戦前離脱をしていくーーーー。
「こ、こら!逃げるな!!?」
理事長はそう慌てて言った。
スネークは流石に苦笑いを浮かべて言う。
「ぐっ…発砲する弾丸すら反射魔法で威力を倍増か。バケモンだな」
シルバーは口元をグイッと上げてニヤッとして言う。
「へぇ? 読みまではいいがハズレだ…。俺のは普通の反射魔法じゃねぇ、固有魔法で無属性魔法の中では一番最強の魔法だ」
スネークは冷や汗を滲ませている。
無理もない、固有魔法は六花学園では数人ほど存在するがシルバー並の魔法はない。
退屈そうに、ライフル手に持ちシルバーは足元を軽く蹴飛ばしす。
瞬時にらスネークの背後に立つシルバー。
「ーーー!!」
「遅せぇよ !!」
シルバーはスネークの顔を手に持つライフルをぶつけた。
メキメキッと音が鳴り響い回転しながら瓦礫に激突した。
「ぐっ…何故…お前は…立ち向かって走れる… ?」
スネークは、更に言い出す。
「俺には…こうするしか…無かった…。なのにーー」
スネークは、軍人になってから忙しかった。
色んなことを覚える為、寝る暇すら惜しんだ。
だが、どんなに頑張っても…国王には正式に認められなかった。
どんなに、活躍してもーー国王は見向きしなかった。
それが段々と、日にちが積み重なることに、頑張る気持ちはやがて消え、それでも諦めきれず足掻き続けた…結果数百人居た軍人はその半数の五十人まで減っていた。
そんな日から二年が過ぎたある日ーー。
国王は軍人が保有する基地に奇襲をかけた。
スネークは結婚していた、妻が居て息子娘が一人ずつ軍人が所有する基地で暮らしていた。
スネークはその日、遠出して軍人の基地には居なかった。
火灯が見えた軍人の基地を見かけて急いで戻ってみると、軍人の基地は…赤い火が路頭を貫いていた。
スネークは、我が子と妻の名を呼びながら自宅まで走る。
だが…その時既に時は遅く、自宅前に仰向けに三人が眠る様に転がって居た。
その瞬間…希望が一気に消され、絶望へと変わり果てた瞬間だった。
スネークは、この時芽生えた。
国王になんで必死に、認めて貰おうとしていたのか。
なんで、罪がない家族を殺さないと行けなかったのか。
揺らぐ正義感、崩れていく思想…まるで鈍器でガラスを割られたような気分となる。
そして、憎しみの牙がスネークに刻み始めた。
ここからは早かった、国王騎士軍と軍人の戦。
激しい戦闘で、あと一息で勝ち取れると思った。
国王部屋まで乗り込んだスネークはある物を目にする。
見知らない人物が愉快そうに国王を刺し殺していた。
『貴様…誰だ… ?』
不気味に笑いながらその人物は言う。
『これはこれは失礼しました。クックック…射止めるのは少しばかり遅かったですね…』
その人物の喋り方はゆったりとしていて気持ち悪さを覚える程…そして、その人物は言う。
『さて、用は済みましたし…ここまで来た証のプレゼントを差し上げましょうーー』
巨大な紫色の魔法陣、そして、紫色の閃光が放たれ。
外に居る軍人や国王騎士軍を巻き込み爆発した。
もう一度、見直すがその人物は居なかった。
「……」
その話を聞いて、しばらく静寂が流れた。
「スネーク! 貴様悠長に話してる暇があるねかね ?!」
理事長の声が飛んだ。
スネークは、軽く笑みを浮かべて言う
「間違って居たならそれは最初からだ。自分のけじめは…自分でやるさ」
スネークは、手際よく拳銃を内ポケットから取り出した。
それをゆっくりと右頭に起き…発泡した。
「けっ…自滅とはな。流石元軍人だな」
マヤとアリサリックは…ただ呆然とした。
シルバーはゆっくりと飛び上がり、理事長の目の前に立ち止まる。
「よぉ、クソジジイ…死ぬ気できたか?」
シルバーの声に対して、理事長は尻もち着いて怯え言う。
「ひ、ひぃぃぃ…」
理事長はコケなながら、逃げ出したが、直ぐにシルバーが目の前に現れ足元が眼前にある。
理事長は顔を見上げて言う。
「お、お前ごときに…私が…!」
「あー?寝言は寝て言えよ。理事長自らとは六花学園は…おめぇの思想通りって所か?」
「な、なぜそれを…?」
シルバーはポケットからある紙を取り出した…そこに書かれていたのは明らか様の命令文と教師への脅しである。
こんなのがバレれば…六花学園が危うくなる、そう思ってもおかしくない事ばかりの文脈が書かれていた。
パァンッ! っと軽い鉄音を鳴らす。
理事長は内ポケットから拳銃を取り出して発砲していた…その紙の中心部が穴を開ける。
「わ、私がそうしたかった…いや、そうなるべきなんだ六花学園は!どの世界にもひ気を取らない、人気だけあればなんとかなる…名誉。そう、それこそが私が欲しい物だ!!」
理事長は狂気を感じる高笑いを上げた。
構造物的にその声は反響して…どこまでも響いた。
そして、シルバーは…つまらなそうな顔で言う。
「クズ以下のゴミじゃねぇかよ…ジジイ」
シルバーは風穴が空いた紙を投げ捨てると、シュルシュルっと虚空で永遠に空回りしてる白銀の弾丸ーーーー。
「え…?」
「つまりこうだ…俺が与える裁きは「永遠の眠り」だ」
その弾丸はシルバーが掴み取る。
摩擦を反射して止まりそれを指で掴む。
その弾丸をゆっくりと理事長の額に押付けた瞬間…。メリッ! っと鈍い音を鳴らした。
手に握るライフルを投げ捨てシルバーは頭を掻きながら言った。
「処理完了だ…さて俺は帰るか…ふぁ…」
「…結局は殺したのね 」
シルバーの服には返り血一つ着いていない。
反射で全てを弾いていたらしい。
シルバーは、ゆっくり歩きながら言う。
「ふん、妥当だろ。六花学園を失う訳には行かねぇだろ…特にお前の居場所になるだろうからよ」
何かの思わせぶりな一言にマヤは首を傾げた。
シルバーは瓦礫の上を歩きながらどっかに消えた、ほんと不思議な人である。
その言葉が褒め言葉かは知らないが、アリサリックは話し出す。
「マヤちゃん。」
「うん?」
言いたそうなアリサリックはマヤに聞く。
「六花学園って何ーーーー?」
「え?」
数日後ーー。
あの地下に住んでいた地下異界教会の存在が表側に知られ。
同時に禁断の書の存在も顕となった。
調査を進めるうちに、禁断の書は…真っ二つだったのが見事に修復された後にその姿を消した。
誰の手で直されたのかは不明。
再び現れる時にはまた戦闘になろう。
そうそう、アルサリックは、ゼロ花生として入学した。
魔法術なんてこの世界にはあまり無い存在で、特別枠のクラスならちょうどいいって事で決まったらしい。
理事長は謎の死を遂げて発見された…それはあの戦闘から2週間後の話で破棄され、逃げた元軍人は出頭して取り調べ中だそうだ。
スネークの過去の話には驚かされたが…最後の部分は少しばかり気になっていた。
まぁ今は…知る必要はなさそうだけど。
平穏な日々が、またしても訪れていた。
ゼロ花生の教室を開くと、アルサリックが窓の外を眺めていた。
「アルサリックおはよう」
「ん?あぁ、マヤちゃんおはよう」
外の景色は、中庭ではしゃぐ六花生の生徒、学年問わず遊んでるようだが…やはり花の階級の格差は消えることなく残る。
そんな中でも、アルサリックはそうゆうのを関係なく純粋に楽しそうな眼差しをして外を眺めていた。
「そんな面白い?」
「うん、私は地下にいたから陽の光の良さとか、こうゆう光景なかなか見ないからね。新鮮さを感じる。」
マヤにはよく分からない事を言われたが微妙な反応する。
「へぇー、私にはよくわからないけど。」
「そりゃ、面白さは人それぞれだもん、わかんなくて当然よ」
そうこの日から、ゆるりと変わって行く気がした。