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SF作品

失業対策


「「「「「この国は大和民族の国ではないのかー!」」」」」


「「「「「大陸出身者から仕事を取り上げ、我々大和民族に仕事を分け与えろー!」」」」」


迷彩服姿の2000人程の男達の一団が、国会議事堂の前でシュプレヒコールを繰り返している。


「そうだ! もっと言ってやれー!」


「頑張れー!」


その一団が呼び掛けたデモに参加している10万人以上の一般市民が、シュプレヒコールを繰り返している迷彩服姿の男達に声援を投げ掛けていた。


第2次世界大戦が終結してから70年、占領軍から日本国政府に全権が返還されてから20年。


占領軍が進駐している間はそれなりに景気が良かったが、占領軍が全面撤退したあと国の景気は後退して失業率が70パーセントを越えている。


俺はこの一団に戦闘員として所属している雑誌の編集部員。


編集部員と言っても雑誌は休刊中で失業状態なので、どちらかと言うとこちらが本職になっている。


シュプレヒコールを繰り返しているときだった。


俺の身体を激しい揺れが襲う。


な、何だ? 来る、来る、と言うわりには来なかった東京大地震か?


周りでも多数の悲鳴が上がる。


激しい揺れに立っている事が出来ず、目を瞑り身体を丸め地面にしがみついた。


5分程揺れは続いただろうか? 突然揺れが収まる。


俺は目を開け周りを見渡し呟いた。


「嘘…………だろ…………此処何処だ?」


周りを見渡した俺の目に映っているのは、先程までの薄汚れた街並みとリフォームする金が無いため大戦で受けた爆撃の跡が残っている国会議事堂の姿では無く。


街路灯の明かりが眩しく輝く街並みと、ピカピカに磨きあげられ歴代の天皇陛下の大きな写真が屋根の上に飾られた国会議事堂の姿だった。


周りにいる他の団員や一般市民も気が付き戸惑いの声を上げている。


周囲を見渡している俺達を包囲するように、見慣れない戦車や装甲車と同じように見慣れない小銃を構えた兵士が近づいて来た。


彼等に逮捕され尋問を受け分かったのは、此処が1億玉砕の名の下に徹底交戦を唱え連合軍の本土上陸を許し、松本大本営が占領された後も日本各地で孤立した部隊が2年以上抵抗を続けた世界では無く。


真珠湾攻撃が行われず満ソ国境及び北方領土からソビエトに奇襲攻撃を行い、同盟国ドイツと共に第2次世界大戦に勝利した世界だった。


この世界に来たお陰で俺達団員と一般市民は仕事にありつける。


今俺達はウラル戦線の塹壕の中で自動小銃を抱え、数キロ先にいるドイツ軍を睨んでいた。




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― 新着の感想 ―
[良い点] どちらも、この世界ではない訳ですね?ドイツとは仲違いしたのかな?
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