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ダンジョンマスターは魔王ではありません!?  作者: 静電気妖怪
4章〜崩れて壊れても私はあなたの事を...〜
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91話「崩壊の招き人4」

場所は変わり 香、響 の前には...


「これどうすれば良いんだろ...」

「俺に聞かれてもな...」


目の前の現実に実感が湧かない...と言うか逃げ出したい、それ程までに苦味を感じていた。


「運が良いんだか悪いんだかなあ」

「ふん、良いに決まっておろう。ダンジョンマスターを三人も討てるのだぞ」

「....早く殺さない? 私はあっちの方に用があるんだけど」

「待て待て ロート、お前あっちの方へ行くと死ぬぞ?」

「別に...構わない。もう、お姉ちゃんはいないんだもん...」

「コイツいつからこんなに病んでたんだよ...」


萎れる ロート に呆れながらも慰めの言葉を考える ボールス。


そう、香、響 の二人は機械仕掛けの少女と共に冒険者、騎士団の面々に完全に包囲されていた。


病んでいても上級冒険者、悩んでいても更にその上の実力に疑いはなく、その警戒の網は一寸も緩みがない。


「理由はどうあれアイツらをサッサと片ずけるのは賛成だ」

「そうぞ。下手に逃れるのが最悪ぞ?」

「だ、そうだぞ?」

「....」


冒険者、重力魔法の使い手 ネビラ が自然体の構えを取ると続くように他の面々も武器を取った。


戦いは避けられない、そう行き詰まった 響 はチラリと隣にいる少女に目を向けた。


悠然と佇むその少女は何を考えているか全く読み取れない。ただ、黒と白の人間に近かった眼球が複雑な物に変わりカシュカシュと稼働音を立てている。


香 を見れば肌の色が変化してしまい顔色を伺うのが少し難しかったが今は完全に青くなっている。緑色が青くなると言うより緑色色が黄緑色になっている方が表源としてはあっている。


これ、詰んだんじゃね? そう思った 響 の思考を打つ消すようなタイミングで 少女が動いた。


「了解しました。発動許可が承認された為門を開錠致します。開錠、『異形の扉』」


少女の言霊の直後...


「な、なんだ!?」

「これは...魔法...?」


空間が歪んだ。


歪む空間は少女のすぐ横。小さかったその揺らめきは数回の瞬きの後には少女の頭の少し上まで伸びていた。

そして、歪みが安定すると...


「こんな魔法聞いたこと無いよ!」

「魔力が感知できねえ...なんだコイツは...」


ガパリ...


横に大きく裂け、一つの “穴” が完成した。

先が全く見えないその “穴” 。しかし、幾つ物音が聞こえる。

カツカツ、と鳴る足音。カシュカシュ、と鳴る稼働音。プシュープシュー、と鳴る機械音。


それらの音は何のためらいもなく此方へやってきている。

そして、それらが顔を見せた。


「おいおいこりゃあ...」

「マジかよ...」

「何という数か...」


出てきたのは大量の少女達。


どれも全く同じ容姿、身長をしている。そして、決してただの少女では無い。顔から始まり全ての肌は無機質な光沢を放ち、可動域を大きくするために関節は球状物体が使われている。


そして、それらを隠すことなく露出していることからほぼ裸のような状態だが、中途半端に機械の部分が垣間見える。


何処と無く隣にいる少女に似ている...妹と言われても納得できるくらいに。隣にいる少女が完成体で出てきた少女達が失敗作、そんな風にも感じ取れる。


「これより殲滅戦を開始致します。各機、ここを最後の戦場と心得よ」

「「「「「了解致しました」」」」」


いくつと数えら無い統一された返事。そして、それが戦闘開始の合図となり全ての劣化版少女が掌を冒険者、騎士団に向けた。


掌から放たれたのは一条の光。

しかし、それは一機だけの話である。何十の数の期待から放たれる光の奔流はそんな生易しいものでは無い。


一条が二条に、そして、十に変わり、細かった光は極太となり冒険者と騎士団を襲った。


「マズっ...!」

「避けるのだっ!」


劣化版少女達の攻撃にいち早く反応したのは ボールス と 副団長。

大きく呼びかけるも攻撃の範囲が広すぎ回避するのは至難、最悪直撃する事を即座に判断した。


だが、その攻撃を破ったのは別の人物だった。


「墜ちろおおおおおおぉッ!」


極太となった光は対象にあたる直前不自然に方向を下に変えた。

光はそのまま進み地面を抉りとった。そして、膨大だったそのエネルギーを使い果たし収束するに比例し土煙を作った。


「....」


オリジナルと呼ぶに相応しいだろう少女はその様子をじっと見ていた。

その人類を超えた眼球には熱探知機と現代では無い魔力探知機が当然のように搭載されている。


少女は光を堕とした人物を確実に特定している。だが、それと同時にその魔法によって幾つかの期待が潰されているのも確認している。


潰された数は連れてきた数には到底及ばないが、光を堕とされ同時に数機を潰す、その事に少女は警戒を表していた。


そして、その一連の流れを見ていたダンジョンマスターの二人は...


「これ...どうすればいいの...?」

「....俺に聞かれても...」


戦闘の邪魔にならないように配慮したのか壁際まで下がり、少女達の邪魔にならないように様子を伺っていた。

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