81話「◯◯達の集い」
区切りがいいのでダンジョン回!
え?続きですか?それは後書きを!
レイジ と ゼーレ が出て行ったダンジョンでは....
「貴方様貴方様貴方様貴方様貴方様貴方様貴方様貴方様ハァハァ貴方様貴方様貴方様貴方様貴方様フゥフゥ貴方様貴方様貴方様貴方様貴方様ハァハァ貴方様貴方様貴方様貴方様貴方様....」
「....ますたー...ち...たりない...死んじゃう....あ...ここにあった....ますたーの...こころ....あかい....あったかいよ.....ますたー......私と.....ずっと...いっしょ.....こっちみて.....まるいね......うふふふふふふ....」
「びゃあああああああああああっパパァ゛どこおおおおおおおぉぉっ! なんで テト を置いてくのおおおおおぉぉっ?」
祭りが盛っていた。
幾つもの男性用の服を自身に纏わり付け匂いを嗅ぎ続ける紫色のドレスを着た女性ーーパンドラ。
目は虚になり三角座りで虚空を眺め、時にニヤケながらポツリポツリと呟く赤髪に黒い斑点を交えた少女ーーミサキ。
目を開けた瞬間から目を瞑る瞬間まで泣き続け、あやしても一向に収まる気配を出さない5歳位の少女ーーテトラ。
そして...
「もう嫌っす....お兄さん...マジで早く帰ってきてくださいっす....」
この惨事に小麦色に焼けた褐色に肌を青くして乾いた笑顔でいる白髪褐色の少女ーーハクレイ。
トボトボとした足取りは重く、もう何もやる気が起きなくなった少女は以前に ゼーレ から貰った機械を手にした。
その機械...メタリックな表面の直方体であり、頭頂部のには覗き穴の様なものがある。
ハクレイ がその機会をいじるとパカリと表面が一部薄く離れた。
離れた一部の中側の表面にパネルが現れる。
「お兄さん....」
パネル...画面には レイジ の姿が映る。
この機械を ゼーレ はビデオカメラと呼ぶ。
「何でこうなっちゃったかな...」
◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾
冒頭から遡ること1時間ほど前。
「暇っすね」
「暇ですわね」
「....」
「すぅ....すぅ...」
少女達はダンジョンコア....髑髏を象った水晶のを囲んだ形で座っていた。
全員が見ているのは水晶が映し出すダンジョン内の映像。
入り口はもちろん、他の階層も写している。
レイジ が出て行ってから数日、侵入者は一人も来ず、ダンジョンで生まれた魔物達は切磋琢磨己の牙を磨いている有様だ。
中には進化した個体も出てきており統率もその個体を中心に少ないが徐々に広がっている。
「「「.......」」」
「すぅ...すぅ....」
沈黙する少女達。唯一の音源は寝ている テトラ の安らかな寝息だけだ。
「....流石に何かしませんか?」
いつまでも続く沈黙に耐えきれなかった パンドラ が手を上げながらそう言った。
「何かって何するんすか?」
「そうですわね....戦闘訓練はどうですか?」
「えー、訓練っすか?」
「そうです。いざ攻められた時に守れる様に日頃からしなくては!」
「うーん...でも先輩」
「はい?」
「自分達がソレやっても意味ないと思うんっすよ」
「ど、どうしてですか?」
「だってもう手の内知り尽くしてるじゃないっすか。新技を考えたならともかく何にもなしじゃあほぼ結果は見えてるっすよ?」
「で、ですが...」
「なら先輩は ミサキ先輩に勝てるっすか?」
「うっ、そ、それは...」
口ごもる パンドラ。ふと視線をズラし ミサキ の方を向けば視線に気づいた ミサキ は両手を前に出した。
「?」
「....ばっちこい」
「ッ!」
軽い挑発だった。
指をチョイチョイとするアレを全指でやった。
やっている本人は無表情であるがどこか得意げな雰囲気を醸し出している。
「い、いいですわ! その挑発に乗って差し上げます!」
「勝ったほう....めいれいけん....一つ...」
「ッ! い、いいでしょう!」
ミサキ と パンドラ が一斉に立ち上がり距離をとった。
お互いの間合いの数歩外。
「それじゃあ、れでぃ.......ふぁい!」
ハクレイ のやる気のある様な無いような掛け声と共に両者が動いた...様に思った。
実際に動いたのは パンドラ だけであり パンドラ は闇に盾をいくつも作った。
そして、その作られた数だけ轟音が鳴り盾は砕け散った。
「くぅ...このっ! ですわ!」
「....あまい」
パンドラ が盾を作りながら突進を試みるも見えない壁にぶつかっている様に元の位置に戻される。
「こんな...こんなことって...」
「私に...勝つの....まだはやい....」
「ッ!」
一瞬。たった瞬き一つの後には パンドラ の首に一本のククリナイフが添えられていた。
「....負けましたわ」
「....ん」
自身の負けを認めた パンドラ の首からククリナイフが遠ざかった。
それと同時に ハクレイ が近寄ってきた。
「どうっすか? 訓練になったっすか?」
「....」
「ま、そんなもんっすよ。自分達だけじゃ」
「はぁ...そうですわね。では、ミサキ様できる範囲ですがお応えしますわ」
パンドラ はほんの数秒の出来事だったのに多大な疲労感を感じ ミサキ を見た。
そして ミサキ は涼しい顔をして口を開いた。
「パンドラが...もってる...ますたーの...物...没収....」
「....」
「....」
その一言に全員が口を閉じた。
ミサキ はジッと パンドラ を見つめ、ハクレイ は不憫そうな表情で パンドラ を見る。
当の本人である パンドラ は顔面を蒼白させ、額には大量の水滴を作っている。
「み、ミサキ様....あの...」
「ぼっしゅう」
「えっと...その...」
「ぼっしゅう」
「申し訳ございません! それは嫌ですっ!」
必死になって頭を下げる パンドラ。
しかし現実は非情であった。
「....もう...おそい」
「ッ!」
パンドラ が顔を上げ目に入ったには両手に大量の紙袋をいくつ持った ミサキ の姿だった。
「ど、どうしてそれを!?」
パンドラ は戦慄した表情でそう言った。視線の先にある紙袋からは男性用の靴下や下着がこちらを覗いていた。
「パンドラの...へや...の穴をほった...じめん...」
部屋...そう言うには微妙だが最下層ではカーテンで仕切った簡単な部屋割りがされてある。
当然、それは全員分あるのだが テトラ と妖刀は要らなかったため撤去されている。
「地面....しかしそれはッ...」
「ふぇいく....で...穴のふたに...ハマってる鍵で...」
「ッ!?」
「ひきだしの...いちばんした...をぬいて...鍵をさす...と...」
そう言って ミサキ は両手に大量の紙袋を掲げた。
「....でてくる」
「そんなあああああああああああぁぁっ!!」
パンドラ の悲鳴が最下層内を響き渡った。
珍しい彼女の悲鳴は ハクレイ を驚かすほどに大きかって。
「エグいっす...」
「...じゃあ...」
「待って! 待ってください!」
「...ダメ」
「せめて一袋だけでも残させてください!」
「....むり」
「お願いします!」
「....きゃっか」
「では!せめて!せめて最後に...最後にッ!」
パンドラ が ミサキ の足の裾を引っ張り涙目で懇願する。
そして、ミサキ と見つめ合うこと数十秒...
「....いちじかんで...お別れ...」
「ッ!」
余りにも...余りにも不憫に感じたのだろう ミサキ が承諾の意を示した。
そして、それを聞いた瞬間 パンドラ は一気に紙袋の中身を取り出した。
「貴方様ッ!」
出てきたのは男性用の衣類。
パンドラ はそれらを身に纏ったり、顔に近ずけ匂いを嗅いだり、口に入れたりと忙しなく最後の別れを始めた。
「貴方様貴方様貴方様貴方様貴方様貴方様貴方様貴方様ハァハァ貴方様貴方様貴方様貴方様貴方様フゥフゥ貴方様貴方様貴方様貴方様貴方様ハァハァ貴方様貴方様貴方様貴方様貴方様....」
「うわぁ...ヤバイっすよこれ...」
「だから...ぼっしゅう...まいばん...うるさい...」
パンドラ の言動に数歩下がる ハクレイ と ミサキ。
特に ミサキ は怒りに雰囲気を出しながら。
「これは重症っすね」
「....ん」
「ミサキ先輩は大丈夫なんっすか?」
「....なにが?」
「いや、お兄さんが居なくってっす」
「....」
「だってそろそろ予備の血液パックが無くなるんじゃ無いっすか?」
「ッ!?」
無表情、無言を突き通して居た ミサキ が ハクレイ の一言に目を開き、振り返った。
「....なぜ...それを...?」
「えっと...血液パックが無くなるってことっすか?」
「ちがう...血液ぱっくの...こと...」
「え? だって毎晩お兄さんの寝床に侵入して採取してるじゃないっ...ッ!?」
言葉を続ける ハクレイ の首にククリナイフが添えられた。
それも二本。
「いったい...いつ...いや....ますたーに...いった...?」
開ききった目で ミサキ は ハクレイ に問うた。
その瞳に映る一瞬先は一体何色か。
答えは二つに一つ。間違った答えを言えば一瞬先は赤色。
嘘を言っても赤色。
誤魔化しても赤色。
黙っていても赤色。
ハクレイ は己の人生が詰んだとしか感じられなかった。
だから...
「....言っちゃったっす」
諦めて赤色を見ることにした。
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ハクレイ が目を覚ませば周囲は赤色に染まって居た。
「....よく自分は生きて居たっすね」
そう言って首元の傷を見ればもう塞がっていた。
「一体どれだけの時間がすぎたんっすかね。ミサキ先ぱ.....」
切った本人に聞こうかと思い ハクレイ はミサキ を視界に捉えた。
しかし、そこには予想と違ったものが写って居た。
「....ますたー...ち...たりない...死んじゃう....あ...ここにあった....ますたーの...こころ....あかい....あったかいよ.....ますたー......私と.....ずっと...いっしょ.....こっちみて.....まるいね......うふふふふふふ....」
目は虚になり三角座りで虚空を眺め、時にニヤケながらポツリポツリと呟く ミサキ の姿だった。
「なっ!? 自分が寝ている間に禁断症状が発症したんっすか!?」
そして...
「あれ? パパ...?」
散々騒いだ結果今になって寝て居た テトラ が目を覚ました。
「あ、テトラちゃん起きたっす...」
「びゃあああああああああああっパパァ゛どこおおおおおおおぉぉっ! なんで テト を置いてくのおおおおおぉぉっ?」
ハクレイ の言葉を待たずに テトラ は大きな声で泣いた。大粒の涙を流し、声が枯れるのもお構い無しに気持ちをぶつけた。
「ちょっ テトラちゃん!?」
「パパァッ! どこおおおおおおぉぉ! 置いてっちゃやああああああああああぁぁっ!」
「ああ! 泣かないで! 怖い夢でも見たっすか?」
「びゃあああああああああああっ!」
どれだけあやしても一向に泣き止まない テトラ。
次第に ハクレイ は疲れを見せ始める。
そして冒頭へ。
こうしてダンジョンは平和に一日を終えるのだった。
久々に出てきたのはダンジョンの魔物達。
え?本編ですか?誰が乱入してきたのかって?それは....
ぶっちゃけ本編の方あまりに上手く進まなかったからこっちに逃げました! すいません!
だがしかぁっし! ここで入れないとダンジョン回が無くなっちゃうかもしれなかったんです(言い訳
と言うわけで次回まで待ってください!すいません!




