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ダンジョンマスターは魔王ではありません!?  作者: 静電気妖怪
2章〜光は明日を照らし、鬼は大地を踏みしめ、影は...〜
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61話「罪深きゲッケイの落とし子2」

「で、どうして エイナ があんな状態になっていたんだ?」


レイジ は胡座をかき、膝の上に ゼーレ を乗せた状態で聞いた。

その様子を レイス と パンドラ は羨ましそうにジッと見つめていた。


「ゼーレ はいつも通りお兄ちゃんの布団で休んでたんだけど...」

「おい、ちょっと待て」

「なにぃ、まだ始まったばっかだよ」

「何シレッといつも通りの風景にしてんだ。つうか自分ので休め」

「もう、心が狭いなー。で、休んでた所に エイナ ちゃんがやって来たの」

「...」

「話しかけても全然返事しないから変だなーって思ってたら急に襲ってきたの」

「襲ってきた?」

「そう、魔力がなかったのかな? 直接首を絞めにきたんだよ」

「...ゼーレは戦えないんだよな?」

「うん、戦闘はカラっきしだよ」

「なら、どうやって逃れたんだ?」

「それは...」


レイジ が疑問をぶつけると別の場所で返事が返ってきた。


「そこに自分が登場したんすよ!」


ハクレイ が自信に満ちた顔で言い放った。

その背後にはババン、と効果音が立ちそうだ。


「いやー、あの時は超!良いタイミングだったと思うっすよー」


口を軽くしながら ハクレイ は意気揚々に語る。


「なんせ、自分があんのコッワイ鬼から逃げて来た丁度に ゼーレ先輩が襲われてたんすから」

「ほう...」

「そこで自分がドバーッと エイナ先輩を縛り付け、そのままお兄さん達が来るまで抑えてたんすから!あ、褒めても良いっすよ? お礼ならケーキがいいっす!」


ハクレイ は嬉しそうにいらないことまで喋ってしまったことに気づかずに話した。


「お礼ねぇ....その前に、逃げたってどういう事だ?」


当然、レイジ は気づき凍る様な雰囲気をまといながら言及した。

その追及に自分が要らぬ事を言ってしまった事に気付いた ハクレイ は額に滝を作っていた。


「あ...いや...その...そうっす! アレっすよ!自分の最強の防御が突破された以上あそこにいるのは危険だと思ったんすよ! だからこれは逃げたんじゃなくって戦略的撤退って事っすよ!」

「どっちも同じだっ!」

「ひぃ!」

「まったく。まあ、ハクレイ のお陰で ゼーレ は助かったっぽいからいいとしよう」

「な、なら...」

「ただし、訓練の中に新たな課題を入れておくから覚悟しておけ」

「え、えぇ...そんなぁ...」


先ほどとは打って変わり ハクレイ はショボショボしており、その目には涙がうっすらと溜まっていた。


◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾


「で、エイナ は正気に戻るのか?」


大体の流れをつかんだ レイジ が本題を提示した。

その表情は先ほどまでの和やかな感じは一切なく、真剣そのものだった。


「さっき、エイナちゃんを一通り調べたら確かにあったよ、呪印が」

「呪印?」

「一種の呪いみたいなものだね。系統は死霊術師(ネクロマンサー)に近い物っぽいから術者を殺せば解けると思うよ」

「術者...か...」

「誰か心当たりはない?」


レイジ は先の戦闘のを思い返した。

該当する一人。

どこか飄々とした雰囲気の男。エイナ と同様に影魔法を使い、外からは見えない影の世界での戦いを行なった マーダ という男。


「貴方様...あの男なのでしょうか?」

「間違いないだろ...だが、どうにも引っかかるんだよな」

「引っかかる、とは?」


戦いの中に感じた矛盾と違和感。

レイジ は必死にその何かを探した。


「そもそも、アイツは エイナ を倒してから他の戦いに参戦していない。コレはおかしくないか?」

「確かに変ですね」

「それに、かなり早い段階でだ」

「普通だったら加勢に行くよね」

「それに...」


レイジ は躊躇いながら言葉を続けた。


「...俺は本当にアイツの魔力を吸収していたのか...?」

「どういうことですか?」

「エイナ の魔力欠乏ってもしかして俺が吸収したんじゃないかってことだよ」

「そ、それは流石に気づくのでは?」

「ああ、俺は気づく。だが、もしあの男が何かしらの小細工をかけたなら...」

「気づかない、ということですか?」

「ああ、そうなれば色々と合点がいく」


納得のいく答えを レイジ と パンドラ で見合わせていると レイジ の下から不満そうな眼差しで、さも不機嫌である事を強調する声色で声がかけられた。


「ねぇ、お兄ちゃん。ゼーレ は戦いの方は知らないんだけどぉ?」

「あ、すまん。ちゃんと説明するよ」


そう言って レイジ は ゼーレ に先の戦いを説明した。


◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾


「影魔法...ローブと黒の装備...『マーダ』か...」


戦いで現れ、その後姿を現さなかった謎の男『マーダ』の説明を聞いた ゼーレ はブツブツと言いながら考えていた。


「...ねぇパンドラちゃん」

「はい、何でしょうか?」

「パンドラちゃんは勇者と戦ったことはある?」

「...いえ。...ただ、聞いたことはあります。勇者のパーティーには勇者本人、賢者、聖女、斥候、聖騎士の五人がいること。そして、勇者は光魔法を得意としその光に触れる魔は全て灰燼と化す。コレが私が知っている勇者についてです」


パンドラ の説明を聞いた ゼーレ は何度か頷いていた。


「こんな時に勇者について聞いて何かわかるのか?」

「お兄ちゃんの技能って結構特殊なんだけど知ってた?」

「そうなのか?」

「そうだよ。似たような技能はあるにはあるけど全部劣化版。お兄ちゃんのように誰が誰の魔力かを正確に把握するのはほとんど出来ないんだよ」

「つまり、それだけ正確なものを突破できるのは限られる...それも勇者のパーティーぐらいってことか?」

「多分。他にもいるかもしれないけど一番濃厚なのは勇者達の誰か...なんだけど...」


話していくうちに声の大きさが下がる ゼーレ 。

その雰囲気は答えを答えろ納得できないと言った感じだった。


「勇者達の中に『マーダ』って奴はいないのか?」

「ゼーレが覚えている範囲だといない。ただ...」

「ただ?」

「斥候だけは何度か変わっているからもしかしたら...」

「斥候は決まった役職じゃないのか」

「ゼーレも全部知ってるわけじゃないけど最盛期の勇者達にいた斥候の名前は...」


ゼーレ は何とか思い出したその名前を口に出した。



「人類史上類を見ない天才的な斥候にして、最悪の殺人鬼『ゲッケイ』」

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