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ダンジョンマスターは魔王ではありません!?  作者: 静電気妖怪
2章〜光は明日を照らし、鬼は大地を踏みしめ、影は...〜
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56話「湧き立つ希望、溢れる光、その後に4」

「な、なななんすかアレ!?」


ブラウ とハクレイ の攻防戦は拮抗していた。


ブラウ が鎖を切るものの次から次へと鎖を生み出す ハクレイ の鎖の生産速度に ブラウ は追いつけなかった。


だが、その攻防も ロート の変化によって一時的に止んだ。


「...バカ ロート。あれ程全開をしてはいけないと言ったのに...。また自我を失ったのね」

「ちょっ! アンタはアレを知ってるんすよね!? どう見てもヤバくないっすか!」

「...」


ブラウ は ロート を見た。

今も狂気的な笑い声をあげながらもどこか苦しそうに何かに抗っている姿の ロート を。


目を離せば直ぐにでも暴れ、壊れてしまいそうな妹の姿を。


「...ダメね」

「な、なんすか?」

「これ以上は時間をかけれない。...あの子を止めないと」


そう言った ブラウ は次の瞬間変化した。


「はあ!?」


ロート 同様に手足の爪が伸び、目は鋭さを増し、纏う雰囲気は冷たさを帯び恐怖を誘われる。


ただ、ロート と違うのはその瞳には理性のこもった光がある。

そして、その姿は先ほどまでと違い一層威圧感を増していた。


「さ、さっきまでは本気じゃなかったんすか!?」

「ウゥ...ジカン..ガ...ナイ...。アノコ..ヲ...トメナイト...」

「こ、こんなのどうしろって言うんすか!」

「モウ...テカゲンハ...ナシ...」


ハクレイ は恐怖を感じながらも己を奮い立たせた。


「ヒッ! じ、自分だって引くわけには...」


しかし、その途中で ブラウ を見失った。


「...え?」


そして、次の瞬間には鎖の球体は半分に切り落とされていた。


「アノコヲ...トメナイト...」


一瞬のうちに着いた決着。

ブラウ は ハクレイ に目を向けることなく ロート の元へ向かった。


そこに、ハクレイ の死体も、血痕も無いことに気づかずに。


◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾


片腕を切り落とされバランスが偏りながらも パンドラ と ラルカ の攻防は続いていた。


「ぐっ!」

「ハッ!」


しかし、その状況は一方的であった。


身に纏う魔法が変化してから ラルカ の瞬発力、反応速度が上昇していた。


その結果、パンドラ には浅くない傷が増えていた。


「これでも食らいなさい!」

「小賢しい!」


パンドラ も『厄災』を使いどうにか時間を稼ぐことは出来ていた。

しかし、それも何度も行うごとに ラルカ の対応が洗礼され時間稼ぎにもならなくなっていた。


「闇よ...」

「無駄だ! 間隙を埋める雷鳴(ゲヴィッター)!」


パンドラ が闇魔法を使い接近された距離を離そうとするが ラルカ の光速の剣技に撃ち落とされてしまった。


そして...


「貰ったッ!」


遂に万策尽きた パンドラ の細剣を弾き ラルカ の剣は パンドラ の右足を捉えた。


「ああぁ!」


切り裂かれた太腿からは鮮血が舞い散り、パンドラ の紫のドレスを真っ赤に染め上げた。


その深く切り抜かれた太腿は繋がっているものの傷口からは止めなく血が流れている。


「うぐぅ...」


パンドラ は痛みに耐えながらも新たに作った細剣を杖に立ち続けた。


しかし、足は震え、血の流れる量は増え、息は上がっている。

それでも、眼光は鋭く ラルカ を睨みつけていた。


「まだ...倒れないか」

「私は...私は倒れるわけにはいきませんの」

「健気なことだ。だが...これで終わりだ!『希望と恐れの剣(プール・エスポワール)』!」


ラルカ の剣には更なる電子音が鳴り響いた。


その音は パンドラ に更なる痛みを与えるほどの高音。

その光は パンドラ に更なる恐怖を与えるほどの光量。

その姿は パンドラ に更なる絶望を与えるほどの脅威。


「これは私が勇者を...救うために考案した技だ」

「わ、私は....負けるわけには...」


パンドラ は痛みに、恐怖に、絶望に抗いながら言い放った。


「これを見せるのはお前で三人目だ」

「私は...私は...」

「では、な!」


ラルカ は言葉終わりとともに剣を振り下ろした。


光り輝く剣は空間をも歪曲させ、轟音を立て パンドラ に迫った。


「あ、あなた...さま...」


その光景に パンドラ 死を直感した。

走馬灯のように駆け巡る愛しの人を思い浮かべて、名を呼び、目を瞑った。


開いた先にあの人がいる、そんな叶うことのない希望を抱きながら。


だが、パンドラ の元に剣は届かなかった。


「お、お前は!?」


そこには...


「....あ、ああ!」

「すまん、遅くなった」


妖刀で ラルカ の剣を受け止める レイジ の姿があった。

主人公やっと戦う!

戦う気になった!

だけど...

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