42話「平穏と窮地の表裏4」
「何って...新しい魔物の召喚だよ」
レイジはさも当然のように言った。
そして、巨額のポイントを使い手元には二枚の紙が現れた。
「ふふふ、次はどんな子がやってくるか楽しみだねー」
「まぁ、最近戦うことが多いからできれば即戦力が欲しいところだな」
そう言いながらレイジは召喚紙を破った。
破られた召喚紙は散り散りになると地面に二つの魔法陣を描いた。
大小、大きさを変え、徐々にその不安定な動きを一定に変えて大きさと色が定まった。
一つは小さいと感じられる黒の魔法陣。
一つは子供一人分ほどの灰色の魔法陣。
そして、それらは同時に輝きレイジ達の視界を光で包んだ。
光が晴れた先には一本の剣が地中に刺さっていた。
その剣は刃渡りが1mと少しであり、刃はいくつかの斧の刃の様なものが繋がっている特徴的な形をしていた。
そして、視線をズラすとそこには...
「...何この状況」
手足が地中から出る鎖に縛られているゼーレやエイナと同じくらいの少女がいた。
少女の髪は白く、とても短い。
肌は褐色で顔つきは可愛らしい少女だった。
そして、少女はゆっくりと閉じていた瞼を開けた。
「...あれ? ここどこっすか?」
寝起きのような雰囲気で辺りを見渡し、次に自分を見た。
「...え? なんで自分縛られてるんすか? ちょっ! これどんな状況っすか!? そこのお兄さんの仕業っすか!?」
そう言って少女はレイジを見た。
「いや俺じゃねえよ!」
「じゃあ、誰の仕業っすか!? こんな事するなんてお兄さんの様な鬼畜度が高そうな人しかいないっす!」
「お前に初見の俺がどう映ってんだよ!?」
「あ、貴方様...私はいつでもお待ちしていますから」
「パンドラは入ってくんな! って待ってなくていいから!」
レイジとパンドラが騒ぐ中白髪褐色の少女にゼーレが近寄っていった。
「あなた自分の名前わかる?」
「じ、自分っすか? 自分の名前は....」
そう言って少女は眉間にしわを寄せ必死に思い出している。
「...あ、そうっす! 自分は『ハクレイ』っす」
「...ん?名前を持ってるって...」
「そう、この子...ハクレイちゃんは進化しているよ」
「そうっす、自分は地縛霊から進化したんす」
「...地縛霊?」
「そうっす、地縛....あ...」
この時、レイジはいち早く気づき、ハクレイは一足遅れて思い出した。
「...ほぉ、つまりお前のこの鎖は?」
「....デフォルトっす」
その言葉を聞いたレイジは足早にハクレイに近づき笑顔でハクレイを覗き込んだ。
「....何か言いたいことはあるか?」
優しい口調で、笑顔でレイジそう言った。
その言葉に対し、ハクレイは...
「...テヘ」
片目をつぶり、舌を少し可愛らしい表情を作った。
「...」
最後になるかもしれない一言を聞いたレイジは地面に刺さっている剣の元に行き、引き抜いた。
「え?ちょっと待つっす...自分が悪かったっす! 後生っす! 助けてくださいっす!」
「....」
「無言はやめてくださいっす! マジで怖いっす! 」
「...」
レイジは無言でハクレイに近づいた。
「ぎゃああぁ! 待つっす! 本当に待つっす!ちょっ! そこの綺麗な白髪のお嬢さん! 助けてくださいっす!」
「まあまあ」
ゼーレは微笑みながら状況を見守っていた。
「なんすか!? その曖昧な返事は!? あ! そこの黒髪のお嬢さんは!?」
「お兄様ぁ...縛る方がよろしいのですかぁ...?」
エイナは頬を朱に染め、息を少し荒げながら思想にふけっていた。
「えええぇ!? なんでこの状況でトリップしてるんっすか!? おかしくないっすか!? そこの紫のお姉さん!」
「私は...私では..ダメなのですか...?」
パンドラは先のレイジに言われてから少し離れたところで三角座りを決めて居た。
「メンタル脆すぎじゃないっすか!? そ、それなら...」
そう言ってハクレイの視線はレイスに移った。
「お願いしますっす! 見た感じ同族っすよね? この状況を何とか! 何とかしてくださいっす!」
「...む..り」
「なぁんでですかぁ! ぎゃああぁ! もう来ちゃったっす!」
そして、レイジはハクレイの元にたどり着いた。
「で、覚悟はいいか?」
そう言って、腹を振り回せる様に振りかぶった。
「ダメっす...って言うか今から何するつもりなんすか...?」
「...お仕置きだ!」
そう言ってレイジは剣の腹をスイングしようとした時...
(おーい)
レイジの頭の中に声が響いた。
剣のイメージは BL○ACH の 蛇尾○ みたいな感じっす。




