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ダンジョンマスターは魔王ではありません!?  作者: 静電気妖怪
1章〜異世界の地に立つ者達〜
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10話「信ずる者に希望を、裏切る者に絶望を2」

ー立花 香ー


立花 香が目覚めたのは木が生い茂る森の中だった。


周囲を見渡せば木と草のみが目に入る。


だが、立花 香という少女の目には自然豊かなこの景色は映っていなかった。


少女の手には1冊の本、植物の種をかたどった水晶体があるが、少女はそのどちらにも興味を示さない。


ただ、ただ虚空を眺めその目に光は灯っていない。


どうしてこうなったのか?

どうしてもう会えないのか?

どうして友達は私を殺したのか?

どうして私がこんな目に合わなければいけないのか?


疑問が疑問を呼び彼女の頭の中を駆け巡る。

疑問ばかりが現れ、解が見つからない。


そんな彼女に声をかける者がいた。


「こんちわー、マスター!」


声をかけて着たのは小学生くらいの身長をした可愛らしい少女だった。

だが、見た目は人間ではなかった。


緑色と黄緑の肌。

ほとんど裸同然の格好だが、大事な箇所は葉っぱや蔓で隠させている。

髪はとても長く地面を引きずっている。


「...あな..たは?」


先程まで何にも興味を示さなかった少女は突然出てきた植物の様な少女の声に耳を傾けた。


「わたしー?わたしは植物人(アルラウネ)の『ラウ』だよっ!」


香の質問にラウは笑顔で返す。

その笑顔はまるで一輪の花の様だった。


「ラウ...ちゃん...ね...」


ラウの名前を聞いた香はその笑顔を眩しそうに見つめた。


「どーしたのマスター!なんか元気ないよ!?」

「ラウちゃん...心配...してくれるの?」

「あーったりまえじゃん!マスターはわたしのマスターだよ!」


香の小さく、聞き逃してしまいそうなつぶやきにもラウはキチンと反応した。


「ねぇ、ラウちゃんどうしてかな?」

「何が?」

「どうして、私は...裏切られちゃったのかな?」

「裏切られた!?誰に!?」


こうして香はここまでの経緯をラウに話した。


「うーん、わたしよくわかんないけどさー、マスター裏切った奴をみんな殺しちゃえばいいんじゃない?」

「ころ..す?」

「そうそう。だってマスターはみんなに殺された様なものなんでしょ?だったらマスターがみんなを殺してもいいんじゃない?」

「ころ..す..。私が...皆を...殺..す..」


香の頭の中で渦巻いていた疑問。

その解を得られたと香は思ってしまった。

そして、結論が出てしまった。


「そう..だね。殺そう。皆を殺そう!私を裏切った奴全員を!殺そう!!」


どうしてこうなちゃのか?

どうして友達は裏切ったのか?


そんなことはどうでもいい。


こうなってしまったのなら殺してもいい。

裏切ったなら殺されても文句は言えない。

殺されたのなら殺しても文句は言えない。


こうして、香は1つの決意を固めた。

彼奴らを、裏切った奴らをコロスと。


◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️


ー地球ー


レイジを含めた4人がダンジョンマスターに選ばれた翌日、世界各国のトップの元に一通の手紙が届けられた。


届けられた方法は直接、各々の自室の机の上にだった。


送られた時刻は同時。

それは時差を加味した上での同時であった。


手紙の内容は以下の通りだった。


ーーーーー

地球に住む諸君へ


これより1年後、地球上に存在する大陸は元に戻ることが確定した。


そして大陸の各地に10のダンジョンが現れる。


そのダンジョンはそれぞれダンジョンマスターが支配する。


そして、1年後世界はダンジョンとダンジョンと人間の戦争の幕を開ける。


ダンジョンをどう扱うか、この1年をどう扱うかは諸君ら自由だ。


健闘を祈ろう。

ーーーーー


この送り主不明、未知の内容、監視カメラや目撃情報のない未知の方法により送られてきた手紙に各国の対応は2つに分かれた。


全く信じない、可能性として捉え検討を試みる、の2つだ。


結果として、送った方法が解明不可能という結論に至り可能性として捉えることになった。

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