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ダンジョン12話

バッタ スキル キック バスタァキック!

兎狩りを始めてから5日が過ぎて無事に私達二人はレベルが4に上がった、今日からは3階層に進むことになっている。


「ついにスキルが手に入るんだな!」

北原君は昨日から嬉しそうだった、若干目元にクマが出来ているのはもしかして遠足前の子供のように眠れなかったのだろうか。

「佐久間さんはやっぱり身体能力強化のスキルを取るつもりなんですか?別のスキルにしませんか魔法とか!」

キララ嬢が私に抱き着きながら上目遣いで言ってくる。

「北原さんは剣術と強化のスキルを取るって言ってますしー、佐久間さんが魔法スキルを覚えてくれればー、バランスのいい感じになると思うんですぅ、どうですか?」

キララ嬢が胸を私に押し付けるのを見て、北原君がグギギといった感じで私の方を見てくる。


「申し訳ないけど、私はやっぱり身体能力強化のスキルを取らせてもらうよ、すまないね」

私の言葉にキララ嬢は一瞬顔を歪めた後に

「そうですかー」

と言って離れていった、三橋さんは申し訳なさそうな顔で頭を下げてキララ嬢の下に走っていった。

「やれやれだな、だから嫌だったんだよアイドルなんて入れるのは」

そう言って雄兄が私の肩を叩く。

「私があのスキルを取得する事は国にとって大事なんですね」

私がそう言うと、雄兄は頷き、そういう事だと同意した後に苦い顔をする。


雄兄が苦い顔をするのもわかる、私が解体のスキルを取得すると雄兄に告げた後、雄兄に連れられて私は、総理大臣と会わされたのだ。


と言っても直接対談したわけではなく、ビデオ通話だったのだが。

そこで私はなぜ、総理大臣が私に解体スキルを取らせたいのかを知った、簡単に言えばトカゲの尻尾切りをしやすい立場だったからだ。


私が取得しようとしているスキル解体は、名前から効果は予想がしやすい。

だが、もしも、現在の魔石しか持ち帰れないという状況を一変するようなスキルだった時に、管理しやすい人間以外が持っていては困るのだ。


「それを邪魔されちゃ、雄兄としても困りますか」

私が苦笑交じりに言うと、雄兄が頷いた後に、心配そうに私を見る。

そんな雄兄に、私は頷くことで自分の意思で解体スキルを取る事を選んだのだと伝える。

雄兄の愚痴を聞きながら、ふと前を見ると北原君に話しかけるキララ嬢の姿が映った。

面倒な事にならないといいのだけど、そんな事を思いながら雄兄と共にダンジョンに潜るのだった。


「3階まではノンストップで一気に進むぞ、モンスターも俺が全部退治するからついてくることだけ考えてくれればいい、キララと三橋も一応気を使うつもりで入るがこちらにも予定があるのでな、なるべく合わせてくれ」

そう、ここまでキララ嬢と三橋さんがいても問題なくレベル上げが出来たが、ここからはダンジョンの奥に進むほどに移動距離は長くなるので、キララ嬢と三橋さんが辛くなるのだ。

かといって二人に気を使ってゆっくり移動すれば、その分だけ狩りに回せる時間が少なくなるのだ。

当初の予定では訓練期間は1ヶ月だったが、このペースだともっと長くなるだろう。


「わかっています、こちらも無理を言っているのは理解しておりますので」

そう三橋さんは言うがキララ嬢は明らかに不満げだった、大丈夫かね、この娘。


「3階に出るモンスターはバッタだ、中型犬サイズのバッタだな」

ここにきてついに動物型以外のモンスターが出てくるようだ。

「気を付ける事が一つあるんだが、まぁ、危険も少ないから身をもって経験してもらおうと思う、いつも通り太郎が先に「俺!俺に先に狩りさせてください!」……いいのか?今回は少し痛い思いをしてもらう事になるから太郎に先に行ってもらおうと思ったんだが?」

おい従兄殿よ……


「全然いいっす!むしろレベル上がるまで先に狩らせてくれるなら多少の痛い思いをしてもかまわないっす!」

「……そうか、わかったじゃあ、まずは北原がレベル5になるまでは先に狩れ、いいな太郎?」

雄兄に問われたので私は頷き、最後尾につく。

後ろから見ると、キララ嬢が嬉しそうにしているのが見える、スキルを覚えれば戦闘が派手になるからなぁ、キララ嬢からすると当然か。


それから少し経って、ついに3階層で最初のモンスターが現れる、確かに雄兄が言う通りに大きなバッタだった。

「じゃあ、北原、アイツの前に立て。さっきも言った通り、少し痛い目を見てもらうがまぁ、安心しろ怪我なんかはしない」

言われて北原君が前に出る、剣を構えてバッタの前に出ると体を捻り北原君に飛び蹴りを放った。

私が驚いてみていると北原君は剣を構えたまま、その蹴りを受けて尻餅をつく。

「北原君?!」

私が叫ぶのと雄兄がバッタの首を斬り飛ばすのは同時だった。

「ラ、ライ〇ーキック!?」

三橋さんがバッタの放った蹴りを見て叫ぶ、確かにあの動きは特撮っぽかった。


「それで雄兄、今のは?北原君が戦い慣れしてないとはいえ無防備で受けるとは考えにくいのですが?」

私が雄兄に聞くと、北原君が立ち上がり、驚いたような表情をしたままこちらに駆けてきた。

「な、なんすか、今の動きが一瞬止まったんすけど!」


「今のがスキルだな、ほれ、よくネット上で必殺技とか変身の最中に攻撃しないのか?って言われるけど、この場所では少なくとも攻撃が出来ないように動きに制限をかけられるみたいだな」

あのバッタが蹴りを放つまでにかかった時間は数秒だっただろうが、北原君は何かされる前に倒そうと攻撃しようとしたらしいが、体が動かなくなったらしい。


「さすがにあそこまで無敵補正が高いのは、今までに見つかったのはあのバッタだけだが、多少の動き辛さを受ける奴等はダンジョンの下層でも見つかっている、これからの為に経験しておいて損はないから経験をしてもらった、もちろん太郎にも経験してもらう」


なるほど、恐るべしダンジョン、ここでも新たなる非常識を持ってくるか……

私は新たなダンジョンの常識を見せつけられたのだった。



なんでバッタのキックをかわせなくしたの?

?「ライ〇ーキックは必中であるべき」

ええぇ……


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