主人公専用スキル又の名をチートテンプレ
加筆、主人公に対して解体のスキルを雄一が勧めるという展開にしました
2030年、地球にはダンジョンと呼ばれる洞窟が無数に湧き出した。
ダンジョンには無数の魔物が沸き、その魔物を倒すことで人間はレベルとスキルと呼ばれる特別な力を得る事が出来た。
レベルには一つの法則があり、ダンジョンの階層×2までしか上がる事がない、だが一般人でも簡単に潜る事が出来る5階層までで上げる事が出来るレベル10であっても一般人とは比べ物にはならない力を持つことが出来る。
また魔物を倒すことで残す魔石に関しては現在では効果的な利用法を見つけられてはいないが、研究は順調に進んでおり、次期エネルギー資源として期待されている物だ。
だが、そんな力と富を与えてくれるダンジョンだがそのダンジョンで得た力は人という未熟な種には過ぎたるものだった。
最初にその力によって崩壊したのは中国だった。
増える人口と貧富の差の広がりを武力を背景に押さえ込んでいた中国はその広大な土地に沢山のダンジョンが生まれ、そこには無数の貧困層が冒険者としてダンジョンに足を運び、力を得、そして
その武力を以って政府に反旗を翻した。
結果、現在の中国は政府を失いダンジョンを中心としてその地の最大戦力集団がその地域を治めている戦国状態になっていた。
その流れはアメリカやロシアにも波及し、世界中で力を持った民間人やギャングが政府や力ない市民に対して暴力を振るうようになった。
日本にもダンジョンは出来たが幸か不幸か、平和ボケした日本人は命がけでダンジョンに潜る事を避けているうちに政府が自衛隊を派遣しダンジョンの入り口を封鎖、民間人の出入りを封鎖したことにより日本では民間人やヤクザによる暴動から逃れる事が出来た。
「だが、その結果元々軍縮で数が少なかった自衛隊員が足りなくなったというわけだ」
そう前置きした後に俺の従兄で現役自衛隊員である青木 雄一は現在求職活動中という名の無職である、私、佐久間 太郎の部屋に態々やってきた理由を告げる。
「そこで民間人から信頼できる人間を自衛隊員の下につけて監視しつつ協力を求める訳だ、ちなみに仮称として探索者と呼ぶことになっているな」
「そこは嘘でも監視の部分は隠しましょうよ、雄兄」
私は目の前で苦笑を浮かべて従兄の続きの言葉を待つ。
「まぁまぁ、お前さんを信じているからの事だから、それで足りない自衛隊員の代わりにダンジョンに潜ってくれる探索者を求めているってわけだ、もちろん誰でもいいっていうわけではないけどな」
人格に問題がなく、偏った政治的な思想を持たない人間に限られるわけだ、その条件に当てはまるのが俺の周りではお前だったわけだな、と雄兄が私を指さす。
「人の事を指さしてはいけませんって習わなかった?それはともかく私も今は求職活動中だから安定した仕事に就けるというならこちらからお願いしたいくらいだけど、公務員として雇ってもらえるのですか?」
私が福利厚生等の条件を雄兄に条件を詰める、決して誰もが喜んで受けるような好条件とは言えないが、それでも自分の年齢等を考えれば悪くない条件と言えるだろう。
「そう言ってくれると思ってたよ、それじゃあ来月から宜しくお願いするよ、家はどうする?ダンジョンは隣町だから通いとなると車で一時間くらいだけど引っ越すかい?」
「いや、このまま実家から通うよ、親が残してくれた家だしね、それに通勤1時間くらいなら毎日通いでも問題ないよ。ダンジョン潜るのって基本朝9時からでしょ?」
9時から17時まで昼はダンジョン内で軽食で済ませるのが基本方針になる、もちろんその日の状況次第で上がる時間は前後するがダンジョン探索は命がけの仕事なためにあまり長時間は行わないというのが常識らしい。
「それと、もう一人探索者を俺の下で育てながらになる、俺以外もそうなんだがな探索者2人に自衛隊員1人がつく形での探索になる、1ヶ月かけて5階まで3人で降りていき、2人のレベルを10にする、その後は3か月程かけてダンジョンに一人で潜れるようになってもらう」
私はこくりと頷く、最初から一人で潜る事になるのかと思ったのだが、そんなことはないらしい。
「戦闘経験の一切ない民間人をダンジョンに放り込むなんて無駄な事はしねえよ、そうだ太郎、スキルなんだが、未取得スキルを取ってみるつもりはないか?」
「未取得スキル?それって誰も取ったことがないっていう事?」
「そうさ、どうしても自衛隊の人間は戦闘能力を求めるから戦闘系のスキルを取るんだが、スキルの中には戦闘能力には関係のないスキルもたくさんあるんだ、名前から漠然と効果がわかる物もあれば、取得することによるメリットがわかり辛い物等がな、そういったスキルを取得した探索者にはボーナスが出るんだ」
当たり前だがダンジョン内で戦闘行為をする以上いつでも命の危険がある、下層を目指す自衛隊員は少しでも戦闘力を上げる為に戦闘系のスキルばかりを取るのだと。
「だから自衛隊員が取らないようなサポート系のスキルを取って、そこからどのようなジョブが取れるのかを試してほしいんだ」
ジョブとは、一定のスキルを組み合わせる事で得られ、ただスキルを組み合わせるよりもその能力を高める事が出来る方法だ、故に少しでも多くのジョブの種類を多く判明させたいというのが国の考え方であるそのためにサポート系ジョブを少しでも多く探索者に取得させ、その組み合わせによるジョブの発現を確認したいという狙いがあるという。
「でも2種類以上のスキルの取得が条件のジョブも多いってここに書いてあるけど、10レベルだと2つまでしかスキル取得できないよね?」
そう、強大な力を持つジョブだが、その取得条件は複数のスキルの組み合わせである、有名なジョブである戦士系ジョブと言われるものは、剣術スキルと、体術もしくは身体能力強化の2つも組み合わせだし、魔法スキル2つ以上で魔術系ジョブが得られるという。
2つしかスキルが得られない以上、未知の組み合わせでジョブを得られる可能性は非常に低い、それでも今後の為に探索者に頼むのだという。
「まぁ、色々と言いたいこともわかるんだがな5階以降でレベルアップした人間は本当に人間の枠から一歩出てしまうからなぁ、政府としても10レベルまでに民間人はとどめておきたいのさ知ってるか、11レベル以上になった人間は警官に配備されている銃で撃たれても打ち身程度で済むんだぜ?」
「ちょっと意味が分からないですね」
実際中国での暴動も軍の兵器が探索者に通用しなかったからこその成功だったらしい。
現在自衛隊員の到達階層は20階層を超えているらしい、つまりレベル40台という事である、11レベルで人外に一歩足を踏み込むのに、その4倍となると考えるだけで……何それ怖い。
「だから民間人は5階よりも下には降ろさないのさ、一般人として街で生きるには力が過剰すぎるからな」
つまり、2つまでしかスキルを取れないという事か、それならよく考えて取らないといけないとな。
私がどのスキルを取るか悩んでいたら、雄兄が周囲を見渡した後に私に手招きする。
私が疑問に思いながらも雄兄の方に近づくと、雄兄は声を潜めて
「上の人間からお前にお勧めしてほしいと言われたスキルがあるんだが、聞くか?」
わざわざ聞くという事はすごいスキルなのだろうかと思い、何?と聞くと
「解体のスキルだ、スキル効果は多分、お前が想像している通りだろうなぁ」
雄兄の言葉に何故わざわざそんなスキルを?と思わなくもない。
確かに解体が楽になるのは便利だろうけど、政府が民間人に頼んでまで取らせるすきるだろうか?
「話すと長くなるからな、酒でも飲みながら話そうか」
そう言って飲み始めた雄兄。その日から私の人生が大きく変わっていくのだが、とりあえず、目の前の酔っぱらいをどうにかする事が今の私にとっては一番の大仕事だった。
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