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死なない僕が英雄になるまで。  作者: 穂藤優卓
第一章 成長編
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第十五話 模擬戦 2

 Aクラスの模擬戦が始まった、ちなみにBクラスは同じ体育館だが少し遠いところで行うらしい。

最初に模擬戦を行うペアは、木村昨夜と上村真司の二人、自己紹介程度でしか話したことはないが、二人も戦闘科なのだ強いのだろう。

二人が定位置に着くと、月火の号令で模擬戦が開始した。


 まず動き出したのは昨夜だった、昨夜の体が揺らぎ二重にぶれ始める、僕は目を擦り再び見ると、そこには二重から三重にとどんどんと揺らぎが大きくなる。

そして昨夜が4人まで増えた、分身なのか幻なのかわからない、だがパット見ではどれが本物かわからない、それか全部が本物なのかも。

昨夜に対し、真司はまだ動かない、敵の動きを観察して次の一手を考えているのだろう。

体の揺らぎが止まると真司も動き出した、真司の体が地面に沈み始める、最後には姿は見えなくなった。

だがこの現象は何かはすぐに理解できた、真司は地中を移動しているのだ、だが地中にも制限があるのだろう影がある所に時折顔を出していた事でわかった。

影の中を自由に移動するこの出来る異能力、中に居る時には周りを把握出来ないのが難点だろうが、昨夜にはそれを止める術が無いようだ。

攻略法としては影のない場所へ移動し、顔を出した瞬間を狙うか、影をなくす程の光を当てるかぐらいだろうか。だが昨夜は分身を利用し背中を合わせ八つの目で場所を把握していく。


 しかしその方法は後手に回る、体育館の中という事もあり室内は影のある場所は多い、そして真司が昨夜に仕掛ける。

真司が出てきた場所は昨夜の足元だ、影から飛び出し顎に一発拳を入れると、分身が一つ揺らぎながら消えていく。

昨夜はその瞬間を待っていた、両サイドに居た二人が真司を影に逃がすことをさせないよう体をガッツリと掴む。

こうなれば真司は逃げることも出来ずに身動きが取れない、そこを昨夜は攻撃しようとした所で、模擬戦は終了した。


「そこまで、それじゃ二人はお互いに今回の模擬戦の事を話し合ってね、それでは次のペア前に」


 僕は少し見くびっていたかもしれない、二人の模擬戦はレベルが高かった、異能力を使った対人戦を見るのが初めてだからかもしれないが、目の前で繰り広げられた光景は勉強になった。

客観的に見ることで、二人の次の一手を考えながら戦況を把握し対人戦の知識を蓄えることが出来るのは自分の力にもなる。

僕はこれからも続く模擬戦を見逃すまいと体を前のめりにし観戦していく。


 それからも模擬戦は続いた、僕と似た異能力は無かったが、機転のきいた異能力の使用方法など僕の考えが及ばない模擬戦が続いていく。

次が始まった、どうやら次は愛莉が模擬戦をするようだ、相手は山口 渚という女子、教室では二人は仲がいい。

愛莉はどんな戦いをするのだろうか、今まで自分の異能力についてはひた隠しにしていたから、余計に気になる。

どうやら人前での異能力を使用するのが恥ずかしいのだろうか、愛莉は少し乗り気ではないようだ。

それでも月火の号令で模擬戦が始まる、すると愛莉にもスイッチが入ったのか照れていた表情は一変し真剣な表情へと変わる。


 愛莉が唸り始める、猫のような唸り声で力を入れるように拳を握っている。

すると体が変化しはじめる、猫のような耳と尻尾が生え爪が伸び、目は猫目に変わる。

愛莉の異能力は獣人化、動画では見たことがあるが実際に見るのは初めてだ。

 獣人化は二種類存在する、愛莉の様な一部を獣化し、身体能力などを向上させる異能力。

そしてもう一種類は体全体を獣化させ、獣の様に立ち回り戦う。

愛莉のような獣人化のメリットとしては人間の体でしか出来ない動きに獣化し向上した身体能力を上乗せした戦い。

全身を獣化させる能力と比べ身体能力の向上は劣るものの、それでも強い異能力である。

獣人化は珍しいと聞く、今後同じ異能力を持つ敵と対面する日があるかもしれない、これはいい勉強になる。


 そして愛莉に対し、対戦相手である渚は異能力を使用した感じには見えない、愛莉とは違い、目視で確認できない異能力なのだろうか。

動かない渚に愛莉もどう動くべき攻めあぐねている様子だ。

しかし硬直状態が続いていても埒が明かない、模擬戦という事もあり愛莉は先に仕掛ける。

獣人化した愛莉の速さは軽く人間の限界を量がしていた、目にも留まらぬ速さとはこの事だろう。もし僕が相手ならば防戦一方になっていたかもしれない。

愛莉は速さによる牽制に出ているようだ、攻撃は浅いが少しずつ爪による攻撃で渚を攻撃している。

異能力のカウンターが怖いのか、長くその場に立ち止まらずに、攻撃しては距離を取りを繰り返す。

このままの状態が続けば、渚は消耗し負けるだろうが、渚もこのままで居るはずがない。


 渚からは少量だが、防御した腕からは血が流れ始めている、だがその血は地面に落ちず空中で静止した。

超能力の様な物体を操作する異能力なのだろうか、だがそれならば、愛莉に直接異能力を使えばいい話、血だけに限定しているのは不自然だ。

それが違うのならば血を操作する異能力なのだろう、どうやらその考えは当たっているようだ。

血は液体から形を変え、刃物のような凶器へと変わると渚の近くで浮遊している。渚が手を上に上げ振り下ろすと、血で出来た刃物は愛莉めがけて飛んでいく。

愛莉も咄嗟のことで避けず防御の体制を取るが、愛莉の腕を傷つけ血が滴り落ちる。渚は愛莉の血ですら制御できるらしく、愛莉の血は地面に落ちず凶器に吸収されていく。

防御し、血を流せば流すほど強化されていく異能力、これは面白い。愛莉もその事に気づいたのか防御ではなく避ける事に徹し始める。


 愛莉は持ち前の速さを活かし、華麗に躱していくが、渚も負けじと血を操作し形状を変えながら戦っている。

渚の異能力は応用が効きそうだ、だが血の量が少ないせいかあまり効果的に愛莉の足止めは出来ていない様子。

徐々に愛莉の速度に追いつかなくなり、渚は愛莉からの痛恨の一撃を受けそこで模擬戦は終わった。


「ごめん、結構強く入っちゃった」

「うん、いいよ、それにしても強いね、それに猫耳かわいい」

「それなら良かった、あと恥ずかしいから……その……」


 愛莉は模擬戦が終わり我に返ったのか、恥ずかしそうに頬を赤らめる。

月火に異能力を解除していいか目で訴えているのだろう、月火も察してか了承すると、耳や尻尾は引っ込む。見ていた男性陣も残念そうにその様子を見ていた。

二人はそのまま、模擬戦の反省会をしに、話しながら同じ場所へと座っていった。


 愛莉達の激しい模擬戦の余韻に浸っていると、どうやら次に模擬戦を行うペアが定位置に立つ。

次の模擬戦で前に出たのは本田拓也であった、今年の主席で入学し、一度話したことはあるが謎の雰囲気を醸し出している人物。

どの様な異能力を使い戦いを繰り広げるのか見ものだ。

そして本田拓也の模擬戦相手は飛鳥 翔、この人の異能力もわからない、どんな戦いをするのだろうか僕は前のめりになり模擬戦を見届ける。


 月火の合図と共に模擬戦が始まった。

開始と同時に翔の腕が鳥のような羽毛に覆われていく、変化はすぐに終わり手が翼のような形になると、羽撃き空を飛んだ。

鳥ならば羽撃き空中で飛ぶのだが翔は空中で静止した、羽はあくまで飛ぶ際に変わるのだろう。

翔は飛行系の異能力のアドバンテージを活かしていく戦い、空中から腕を振り突風を巻き起こす、強力な強風は刃となり本田拓也を襲った。

それに対してどう出るか、だが様子を伺っているのか風の刃を避けて対応していた。しかしそれも長続きはせず攻撃を受け少しずつ傷が出来る。


 しかし、このまま模擬戦が終わるはずもない、翔は飛び回り四方八方から攻撃をしかけ撹乱していく。

だが気の所為だろうか、翔の動きが徐々にだが鈍くなってきている、高度も最初と比べ低く僕ならばジャンプすれば届くだろうという高さまで下がっている。

翔もその事に気づいたのだろう、何度も羽撃くが高度が上がらない、飛行系の異能力の特徴の一つだが飛行中は体力の消耗が激しい、それが原因だろうかと考えていたが、まだ模擬戦が始まって5分程しかたっていない。

みるみると高度を落とし、最後には地に落ちた。そこで違和感を感じる、翔が立ち上がらないのだ。

苦しそうな声を出し、体に力を入れているように見えるが、それとは裏腹に膝は折れ手が地面に着く、そのまま上から何かに押しつぶされる様に翔は地面に突っ伏した。

そこで本田拓也は動いた、懐から刃が丸められた模擬刀を取り出し、悠々と翔の元へと歩いていく。


 勝負あり、月火の合図で本田拓也の模擬戦は終わった―――。

 戦闘描写難しいです・・・。

誤字脱字、矛盾点は見つけ次第修正していきます。


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