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死なない僕が英雄になるまで。  作者: 穂藤優卓
第一章 成長編
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第十三話 入学式

 朝起きると昨夜までの体の不調は一切無くなっていた。

肩や腰を回し体を伸ばすがどこにも違和感はない、昨日の憂鬱とした気分も寝てスッキリとしていた。

昨日は不思議な体験をした、だが今後も両親の様な大人になる事を目標に掲げているからには何事かの事件を解決する可能性も出てくる。

不本意だが、先に経験を詰めたことは後のアドバンテージになるだろうと前向きな考えをしながら、僕は洗面所で気持ちを引き締めるため顔を洗った。


 今日から待ちに待った学校生活が始まるのだ、昨日の失敗より明日の成功をという心構えで今日もまた日課であるトレーニングを行う。

早朝から汗を流し、シャワーを浴びると月火が起きてきた、一緒に朝食を取り僕は学生服に袖を通すと今日から学生なのだと実感が湧く。


「お兄ちゃん似合ってるじゃない、スマフォで写真撮りたいからそこに立って」

「え、こうかな?」

「いいよ、撮るね」


 シャッター音が聞こえ、すぐに月火の元へ向かい写真を確認する。

そこにはあどけなさは残っているものの制服を身に纏った僕の姿があった。

制服の見た目は黒中心で赤いラインが入っている、何か中二病患者が目覚めそうな制服だが、そこそこ僕には似合っているはず…。

 写真を見ていると月火が、あっと声を上げると、何事かと思ったがどうやら教師は学生より早く学校へ行かなければならないようだ。

月火は慌てて準備を終わらせ、飛び出すように家を出ていった。


「忙しない奴だな……、僕も準備を終わらせて家を出ようかな」


 悠々と僕は準備を終わらせて家を出る。

新入生歓迎会の時通った道順を風景を眺めながら歩いていく。

桜並木を通っていると、どうも落ち着かない胸のざわつきを感じながらだが、それでも桜は綺麗に咲き誇っていた。


 校門に近づくに連れ、生徒たちが増えていく。

同じ制服を身に纏い、何処か初々しさの残った新入生たちを横目に見ていると、一人の声と共に肩を叩かれる。


「おっはよ優君」

「愛莉ちゃんじゃないか、おはよー」

「愛莉でいいよ、それより今日からだね―楽しみだねー」


 愛莉はよっぽど楽しみなのだろう、体全体で喜びを表現していた。


「てか優君さ、こんなゆっくり歩いてていいの?あたしが出た時って結構ギリギリだった気がするんだよね」

「え?」


 僕はスマフォを開き時間を確認すると、時間は10分前に差し掛かっていた。

何故こんなに遅れたのだろうか、辺りを見渡すといつの間にか同じ制服を来た学生たちは居なくなっていた。


「やばくねこれ」

「うん、やばいよ、だから学校まで競争だッ!」

「今日朝から走って疲れてるんだけど……」

「女の子に負けそうだからそんな言い訳いってるの?」


 その言葉に僕の中の何かに火が着いた。

僕はおもむろに指を地面に付けクラウチングスタートの構えに入る。


「え、ちょっとやる気になりすぎてない?まぁいいけど、それじゃよーいスタートッ!」


 僕は地を蹴ると同時に状態を起こし初速で最高速まで達した。

ゴールは校門まで、残り時間は5分といった所、距離はここから一キロぐらいだろうか体力的に全速力は続く距離だ。

初動からぶっちぎった、そのつもりだった。横で余裕があるように走る愛莉の姿を見るまでは。


「速くねッ!?」


 僕の全速力が通じない相手、僕はかなり脚には自信があった、だがこのままでは負けるそんな予感がした。

そろそろ校門が見えてくる、僕の目の前に走る愛莉にどうやっても追いつけず僕は負けてしまった。

校門の前で息を切らし肩を揺らしていると、愛莉は余裕の表情で僕の元まで小走りで来た。


「それじゃ今日の昼食は奢りって事でッよろしく!」


 愛莉はそれだけ言うと、僕を置いて校舎へと入っていく。

負けた、ただそれだけじゃない昼食を奢るという事にいつの間にかなってしまっていた。

まぁそれもいいか、次は負けないと意気込み僕も愛莉の後を追うように校舎へと入っていく。


 今日行われるのは授業ではなく入学式だ、僕たち新入生は学科ごとに別れ整列する。

教師が全員の確認をすると、そのまま体育館へと向かう。

体育館の中へ入ると、入学式独特の静かな雰囲気が体育館内に広がっていた。

以前入学試験があった森とは違いここは普通のようで安心した。

在校生たちが新入生を見ている、何故か僕への視線が多い気がしたが気のせいだろう。

新入生が座る席の前に着くとそのまま着席し後は入学式を座って見守るだけだ。

壇上に一人の進行役だろう生徒が立つと、入学式が始まった。


 在校生の挨拶や長々とした学校長や学校関係者の話しにうんざりしながらも真面目に話を聞いていく。

そして次に新入生挨拶が始まった、壇上に立つのは本田拓也であった。

挨拶は新入生の中でもトップの成績を収めた者が行う、どうやら彼は頭がいいようだ、そして何より大勢の人の前で壇上に立っている姿は堂々としている。

彼の表情は自信に満ち溢れ、同級生かと疑うような面持ちであった。


「本日は、私達の為にこんなにも立派な入学式を行っていただきありがとうございます。今日から私達は新宿区異能高校の生徒となりました、私はつい先日まで普通の中学に通い普通の生活を送っていました、しかし異能高校は違います。次代を担う人物に成長する為、様々な勉学、実技等があると聞いております、その全てに全力で取り組む事を約束いたします。ですが私達は未だ未熟です、壁にぶつかる事も多々あるでしょう。それを乗り越え僕達は自他共に認められるような人物に成長する事を誓います。これから三年間、未熟な私達にご指導くださいますよう在校生の方、先生方、よろしくお願い致します、これで新入生代表挨拶を終わります」


 僕は挨拶を聞き、素直に凄いという感想しか出てこなかった。

同級生だが相手は年下、僕が壇上に立ち緊張せずに彼のような挨拶は出来る気がしない。

そんな彼に僕もそうだが他の学生達も拍手を送った、本田拓也は静かに一礼すると壇上を降り、入学式は次の項目へと進んだ。

 次に行われたのは教師の紹介が行われる、月火は何処の学年を請け負うのだろうかと見ていたら、どうやら月火は僕たち新入生の学年のクラスを任されるらしい、嫌な予感がする。

保護者代表挨拶も終わり、開式の言葉で長いようで短い入学式は閉会となった。

 長ったらしい校長先生の話は退屈ですよね。

誤字脱字見つけ次第修正していきます。

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