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死なない僕が英雄になるまで。  作者: 穂藤優卓
序章
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第一話 隕石到来

 内容を練り直し改良版として再度投稿していく事になりました。

以前から読んでいる方も居るかもしれませんが大まかな話の流れは変わっていません。

 暗闇の中に僕は居た、手足の感覚もなく目も開かない。

無理やり体を動かそうと力を入れるが駄目なようだ、何が起こったのかわからない。

最後の記憶はゲームをしている途中、何か大きな物が落ちてくる音が聞こえた。その数秒後に音を立て何かが家の屋根の破壊した。それと同時に強い衝撃が僕を襲う。僕はその時、意識を手放した。


◇◇◇◇


 2040年、全世界を揺るがす事件が起こる。

同時期に多数の隕石の落下、唐突の事態に国は何も対処も出来ぬまま、全世界に影響を及ぼす。

隕石は地を割り、建造物を壊し、そして人々を殺した、災害による損失はとてつもない程だ。

その影響を僕が住んでいる国である日本も受けていた。


 日本では他国と同様に隕石が降り注ぎ甚大な被害を受けた、そして隕石の影響は人々の体にも影響を及ぼす。異能力の発症その原因となった地球外生命体だ。宇宙にはまだ科学では解明出来ていない物が多々存在する、その解明されていない一つである地球外生命体。

その生命体は動物や人間などの目に見える生物ではない、ウイルスの様な目に見えない存在、そして今回災害をもたらした隕石にそのウイルスは付着していた。


 付着したウイルスは地球の環境が適応し爆発的に増える、そのウイルスを吸い込んだ人間や動物達はたちまち体への異変が現れる。その異変こそが後の異能力と呼ばれる現象。ある者は火を操り、ある者は空を飛んだ、従来の人間ではありえない現象。そしてその原因は研究者によってすぐに明らかになる。


 だがその様な異能力に目覚めたのは人間だけではない、動物にも変化が訪れる。

ある猫は鋼の様な硬い爪に、ある犬は蛇の様に牙に毒が、だが唯一全ての動物に共通した事が起こる。

それは凶暴化であった、ウイルスによる体への影響力に動物は耐えることが出来なかったのだろうというのが研究者の見解であった。

 人間達はペットとして飼っていた動物達を殺処分する選択肢を迫られる事になる。だが全員が了承するはずがない、殺すのならば逃した方がいいと考える者も中にいる。

しかしそれが過ちとなる逃した動物達は野生で繁殖し、増加し続け。次第に人間へと牙を向き始めることとなった。


 国は総力を上げ、凶暴化した動物達を対処をし始める。だが動物達は異能力を使い、高い身体能力で人間を翻弄し返り討ちにしていく。動物への対処が長引けば長引く程、人間側が不利な状況。

 そんな中一人の男が提案した。従来の銃火器等を使った戦い方では駄目だ、目には目を異能力には異能力を。結果で言えば彼の案は採用された、後の対異能力機関の設立である。

 

 対異能力機関の主な役割は、異能力による異能動物、異能力を悪用した人間の対処が主である。

しかし一つ欠点があった、それは新しい物を取り入れた場合の零からの育成である。

銃や車などの既存の物ならば教える人物が居る、だが異能力は全て手探りで行っていかなければならない。

 この違いにより、対異能力機関は実現するまでに時間を要した。


 その間にも異能力による多くの被害、犯罪が増えていく。

ここで抑制の為に各国は法を定める、日常での他者へ危害を加える異能力の制限、これの反した者は厳罰とする。

 その事がきっかけとなり、試しに使ってみようという考えで使用し、結果犯罪を犯すという事故が激減した。だが人間は使えるものがあるのなら使ってみたいという欲求には勝てない、そしてそれが犯罪に利用出来るのならば尚更だ。

 異能力による犯罪件数が増え、対異能機関の設立が急がれた、そして隕石騒動から五年が流れ、ようやく設立される事となる。


 それと同時期に国はとある学校を全国的に設立する。

異能力育成校である、主な内容は異能力の向上、異能動物、異能力の犯罪に対する対処の勉強。

そして卒業後には異能力関係の仕事につく事が出来る。

 卒業後の就職先は命に関わる仕事が多いが、年々受験者は増していく。

日常生活で使うことが禁じられた類の異能力を国公認で使えるのだ、若者は使ってみたいという感情だけで受験してい者もいる。

学校は設立され二年目には定員数の十倍程まで膨れ上がる程の人気校になった。

 

―――このような国での取り組みにより、世界は一歩ずつ隕石による被害に対処していった。



 そして彼、伊藤優は隕石騒動から十年間眠り続けていた。

病院の一室に十年間。ただ息をし続けるだけ、腕には管が繋がれ栄養を補給し毎日を生きながらえている。

 彼は眠り続けている中、ある夢を見ていた。夢には妹が居て、親が居て家族が全員がテーブルを囲い食事をしている風景。毎日の当たり前の光景、だが何故か虚しくなりそこで毎回、視界が暗転する。

暗転し辺りが見えないほど暗い場所に彼は一人で立っている夢を毎日のように見る、体を動かそうとしても声を出そうとしても何も起きない、ただずっとその場に立ち尽くしている。

昨日も今日も、そして明日も、また同じ夢を見るのだろうと彼は思っていたが違った―――。


◇◇◇◇


「お…き…」


 誰かが僕を呼ぶ声がする、何だろうか懐かしい気持ちがした。

聞き慣れた声だが僕の記憶の中の声とは少し違う気がした。妹の声ににている、だが母親の声にも聞こえる。僕はその声につられるように今まで暗闇の中で一切動かなかった右手を前へと出す。


「おき……お兄……」


 最初に聞こえた途切れた声が次第に聞こえ始める、その声は涙ぐんだ鼻声へと変わっていた。

僕はその声に反応するように瞼をゆっくりと開いた。


 目を開き初めに視界に飛び込んだのは目が眩むほどの光だった。

視界は真っ白になり何も見えない、某掃除機メーカーの売り文句の様な驚きの白さである。

 そんな馬鹿げた事を考えていると、次第に視界は晴れ色を認識しはじめる。

知らない天井だった、今まで家で寝ているものだと思っていた。だがどうやら違うようだ、鼻を鳴らすように嗅ぐと薬品の匂いが部屋を充満している。どうやらここは病院だという事がわかる。

 体を起こそうとするが起きる事すら躊躇うほどの酷い倦怠感に襲われる。


「嘘……お兄ちゃんッ!」

「お母……さん?」


 僕を呼ぶ声に視線を向けると、そこには母に似た女性が口に手を当て泣いていた。

二十代前半だろうか、母は確か35歳だったはずだが。ならば目の前の女性は誰なのだろうか、何故自分を兄と呼ぶのか疑問に思った。だが僕には妹は一人しか居ない。


「もしかして、月火……なのか?」


 その問に女性は涙を流しながら無言で頷いた、目の前の女性は僕の唯一の妹である月火だった。

だが記憶が正しければ月火はまだ中学生だったはず、寝起きで回らない頭では理解できない。

僕はこれも夢なのだろうと、頬をつねろうと右手を動かそうとするが腕は固定されていて動かない。


「僕に何があったんだ?」

「実は―――」


 彼女…、月火は深呼吸し、涙を堪え話し始めた。

世界中に隕石が落ちてきたこと、そして僕があろうことかその隕石の一つを飲み込んでしまった事。

そして十年間の意識を失っていた事と、十年間で世界で起こった事の大まかな内容を話してくれた。

 あまりの現実離れな事を言われ頭が追いつかない、ゲームの話といってもらったほうがまだ理解できる。


「隕石、それに異能力……、ゲームか何かの話しなのか?」

「現実だよ、お兄ちゃんが何で十年間眠ったのかは正確にはわかってないけど、お医者さんが言うには隕石を飲み込んだ影響だろうって」

「そっか、十年か、あまり実感がわかない……それじゃあ僕はもう25歳になるのか」

「私も20歳超えちゃったよ、とりあえずまずはお医者さん呼んでくるね」


 そう言って月火は部屋を出ていくと僕は考え始める。

僕の感覚では毎日のように寝ていた時と同じ感覚だった、けど実際は違い10年も経っていた。

考えれば考える程、頭が混乱して考えがまとまらない。驚き絶句する所だろうが現実離れした状況に僕は逆に考えることを放棄した。

 十年間は取り敢えず置いておき、一番興味を引かれたのは異能力だ。ゲーム好きとしては自分の異能力が何かを見てみたいという気持ちになるのは仕方がない。月火の話しでは異能力は発症と同時に使い方がわかる人も居ればわからない人も居るらしい、ちなみに僕はいまだわからない。

 何だろうとワクワクする気持ちもあるが不安もある、だが実際には使う事はあるのかわからない、考えていても意味がないと割り切ることにした。それと同時に扉が開く音がした。扉の向こうには白衣を着た医師と月火が立っていた。

 医師は部屋に入ると椅子にすわり軽く挨拶をすると問診が始まった。


「伊藤さん、喋れると聞いたのだが本当ですか」

「はい?それがどうしたのですか」

「いやはや、驚きました、まさか十年間眠り続けて身体機能の低下も見られないとは……、ましてや喋れて考えて受け答えが出来るなどとは実際目の当たりにするまで信じられませんでした」

「はぁ……そうですか」


 よく考えれば医者の言うことは最もである、以前何処かで聞いたことのある話だが、何年も寝たきりの患者は筋肉が衰え喋ることも視認することすら困難になると。

だが僕はそうはならなかった、それが何故なのかはわからない。


「体に異常はなさそうですが一応、後で精密な検査をしてみますので、その時にまた呼びますね」


 そういい医者は部屋を後にした。

部屋には再び月火と僕が残される、月火は何故かそわそわしたように体を揺らしていた。

僕は知っている、僕に甘えたいが言い出せない時に出す月火の癖だ。

もう20歳を超えているのにまだ癖は治っていないらしい、僕はその光景をベッドから微笑ましい目で見ていると、月火がふと時計を見る。時計の針は既に夜の8時をまわっていた。


「ごめん、面会時間終わりみたい、また明日も来るから待っててね」

「わかった、気をつけて帰るんだよ」

「うん……また、一人にしないでね……」

「大丈夫だよ」


 心配そうな顔をしている月火を僕は精一杯の笑顔で見送った―――。

 作者は10年間眠り続けたこと等無いのでたぶんこうだろうな、と思いながら書いていました。

たぶん10年間眠り続けたら仕事なんて全部投げ出してしまいそうです。

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