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留理の揺れ動く気持ち

一通り回り終えると、昌弘と進太郎はトイレに行くと言い出したため、出口で待つ事にした篤史達。篤史と里奈は二人で和やかに話している。留理は少し離れた場所で亜美と話す事になった。篤史と話す里奈を見ていると、留理はなんともいえない気持ちになり、今すぐ一人きりになりたい気分だ。

「久しぶりやね。元気にしてた?」

亜美は笑顔で聞く。

「うん。元気にしてるで」

「良かった。私も元気や。相変わらず、小川君が好きなん?」

小学生の頃にピアノ教室で話を聞いていた亜美は、笑顔の篤史を見ながら留理に聞く。

「うん。小学生の時から進展なしやけどね。あの二人、いつも一緒やねん。私も幼馴染やけど、篤史とあまり話す事はなかった。私一人置いてけぼりって感じがするねん。現に今だって二人で笑顔で話してるし、なんとなく里奈の事が好きなんやろうなって思ってて……。ホンマにこれでいいのかなって思い始めてるねん」

亜美に今の状況と自分の思いを報告する。

「小川君に告白する予定はないの?」

「ないよ。今の状況じゃ、告白してもフラれるだけやし、幼馴染やから気まずくなるもん」

留理はフラれた時の事を考えて答える。

「それは言えてるかも。でも、留理、ホンマに小川君の事が好き?」

「え……?」

亜美の唐突な問いに、どう答えていいのかわからず首を傾げる。

「今の留理の話を聞いてると、高校生探偵の小川篤史を好きになってるって感じがするねんな。高校生探偵っていうネームバリューがあるからやない? ありのままの小川君が好きって感じがしないねんな」

亜美の言った言葉に何か胸を突かれたような気がした留理。

確かにいくら幼馴染といえども高校生探偵の篤史を好きになっているという気がする。サッカーをしている姿で好きになったという理由が一番なのだが、本当は定かではない。気付いたら好きになっていたという感じなのだ。それを無理矢理サッカーをしている姿で好きになったと言っているのではないか。亜美の言葉で篤史に恋する留理の心は揺らぎ始めていた。

留理は自分の恋心が揺らぎ始めたのと同時に昨日の事を思い出していた。篤史がトイレに行っている間に、里奈が教えてくれた事もさらに心が揺らぐ原因の一つとなった。

「篤史がアップルパイを?」

留理は驚いた表情をする。

「うん。篤史ってアップルパイが好きやねんな。最近、好きになったらしくてね。部活の差し入れでもらって、それで好きになったって言ってた」

里奈は篤史から聞いた話を留理に教える。

「明日、持ってみたら? 急やから作るのは難しいかもしれへんけど……」

里奈は提案するが、急に言ってしまったためどうだろうと言う。

それを聞いた留理は自分だけその情報を知らなかったという疎外感を感じていた。別に幼馴染だからといって全てを教えないといけない事はないのだが、同じ幼馴染なのにこの違いはなんなんだろうと思っていた。そのことが篤史が里奈の事が好きなのではないかという思いに拍車をかけていた。

(里奈は篤史の事、どう思ってるんやろう……? 彼氏がいるからただの幼馴染って感じなんやろうけど、私も里奈みたいな性格だったら違ってたんやろうな)

留理はぼんやりと思う。

「川口さんの事、考えてるでしょ?」

留理の表情から気持ちを読み取った亜美はズバリ言い当てる。

「え……?」

「川口さんの事を考えると私にはかなわないなって顔に書いてある」

「そんな……」

自分の気持ちを言い当てられた留理は下を向いてしまう。

「亜美、知ってた? 篤史がアップルパイが好きやって事……。昨日、里奈から聞いた」

留理は疎外されている不安な気持ちを口に出す。

「勝てっこないやんな。例え、篤史が好きやないってわかってても里奈は私の知らない篤史をたくさん知ってる。確かに亜美の言うとおり高校生探偵っていうネームバリューで好きになったのかもしれへん。でも、昨日のアップルパイの事を聞いて、篤史が好きなんやなってわかった」

自分の言葉で揺らぎ始めた心が迷っている暇はないと思うのを確認すると、高校生探偵というネームバリューでも好きだという気持ちは変わる事はないと言う。

「だから、昨日、急いで材料買ってきてアップルパイ作って持ってきたよ」

留理は泣きそうな気持ちを抑えてアップルパイが入っている袋を亜美に見せる。

「そっか。留理がそこまで言うなら大丈夫や。小川君だって留理の知らないところがあるんやし、幼馴染だからってなんでも知ってなきゃいけない事はないよ。そうでしょ? 留理、頑張りなよ」

亜美は留理の気持ちを受け止めて、留理の恋を応援すると言った。

「ありがとう、亜美」

亜美の応援を受けて、留理は大きく頷く。

「遅くなってスマン」

そこに昌弘と進太郎がトイレから戻ってくる。

「昌弘、遅い」

里奈は頬を膨らませる。

「スマンって……」

頭を掻きながら苦笑いをする昌弘。

そこに展覧会に来ていた男性の叫び声が会場内に響いた。

「オレ、言って来るわ!」

尋常ではない男性の声を聞いた篤史は走って中に逆戻りしていった。

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