鶴岡市立加茂水族館
お盆に、わたしの実家に行くのに、良人は加茂水族館に寄っていこうと言い出しました。宮城県にある自宅からわたしの実家に行くのは笹谷峠を越えていくので近いと言ったら近いです。遠出の好きな良人は、何処かにお出掛けしたいらしく、実家のある村山地方を越えて、日本海側の庄内地方までドライブをしようと一人計画しはじめました。
「どーして由良に行くのさ」
「由良じゃなくて加茂だよ。海月の水族館に行ってみようよ」
「はあ……」
遠出は良人なりのリフレッシュなので、そこらへんは逆らいません。
山形県内ですので、子どもの頃の夏休み、海水浴といえば庄内の鶴岡市、由良の海岸で海水浴をして加茂水族館を見学するのが、実家での定番コースでした。いくら加茂水族館が海月の展示でブレイクしてリニューアルオープンしたと聞いても、わたし自身には新鮮味が薄いのでした。
ウチの息子どもがチビの頃に加茂水族館に行ったことがありましたが、その時は海月ブレイク以前でした。ひなびた水族館で、ほとんど貸し切り状態でアシカショーを見学(というより新人飼育員のアシカの餌付けの練習でしたね)し、日本海に沈む夕日を眺めて帰ってきた記憶があります。
実家に帰る前に電話をして、これこれこうだから到着は遅くなるかもと話していると、父から、「加茂水族館の近くなら、昔、人面魚で有名になったお寺がある。そこで龍のご本尊の初開帳をしているらしい。寄って見てきたらいい」と教えられました。
そっちの方が面白そうじゃないかと早速良人に提案。ドライブコースに組み入れられました。
盆の入りの朝、支度を終え、仕事中の長男の面倒は姑に任せて、良人、わたし、二男で出掛けました。運転は良人と二男に任せて、わたしはのんびりと乗車。
午前十一時頃に加茂水族館に到着しました。場所も規模も変わっていません。建物だけが変わっていました。
夏休み中とあって、混雑していました。人波にあふれる中、入館しますと、すっかりイマドキの水族館です。冷房が効いていて暑くありません。日本海の魚の分布や歴史、特徴などの展示、説明になっておりました。タラとかハタハタとかいるよねぇと眺めました。撮影可のようで、皆さん、撮影しながらの見学です。最近は猫がフラッシュで失明のニュースを聞きましたが、魚の視力や睡眠についてわたしは知識がありません。館の係の方々が混雑しておりますので、撮影はご遠慮くださいとあちこちで声掛けをなさっていましたが、効果なしです。
普通のお魚の展示が終わると海月スペースになります。ここはさらに混みあっておりました。海月の発光の研究でノーベル化学賞を受賞した下村脩博士のパネル展示があるのですが、人の壁でよく解らず、見ないで出てきてしまいました。
側の灯台近くに上ってみたり、降りてすぐの場所の狭い入江に寄ったり、ここは昔から変わっていないなあと眺めておりました。
わたしにとっては、高潮で全滅してしまいましたが、子どもの時に行った際、日本猿がいた水族館です。海月の水族館ではないのです。
さて、加茂水族館を出て、お昼どき。どこでお昼を食べるか目星を付けておらず、車を走らせていれば、海水浴場や温泉が近くにあるのだからどこかあるだろう、くらいで発進しました。しかし、お食事処が見付けられませんでした。お宿と一体になっているような感じの所、駐車場があるのかどうか、はたまたお盆休みなのかよく解らず、車を走らせ続けることになりました。
やっとそれっぽいお店を見付けたと思ったら、海鮮のお店ではなく、何故かハアイアンパンケーキのお店でした。
「わたしはパンケーキでいいんだけど、男性陣は?」
「これ以上時間を掛けても仕方がない。ここにしよう」
そうなって入店しました。メニューを見て、二男は言いました。
「ツナサラダとかローストビーフとか、お食事系パンケーキより、こういうとこでは徹底的に甘いのにしよう」
「それがいい」
「じゃそれでいきましょう」
ということで、スフレケーキ、パンケーキに果物やホイップクリームてんこ盛りのメニューを注文しました。
普通に良人と出掛けたってハワイアンパンケーキのお店で食事ができないですから、わたしはちょっと嬉しかったです。
食事後、次の目的地の「龍澤山 善寳寺」に向かいました。すぐ近くです。
まだ続きます。