1:出会い
悪名高き出会い系。
そう誤解する人も多いけど、このインターネットがもの凄い勢いで普及し始めた世の中じゃ、出会い系なんて雑誌の文通友達募集ぐらいの一般的で安全なものになっていると私は思う。
危険も多いけど、そのサイトで付き合ってる友達も結構多い。
だから私は、ただ気軽にメールを楽しむ為だけにメル友募集の掲示板によく書き込む。
でも、たまたまのタイミングで出会った奇跡みたいな出会いみたいな乙女チックな出来事を期待している訳じゃない。
ただ、学校や家での仮面を脱いで気軽に話せる相手が欲しかっただけ。
内容の所に
「メル友募集」
と淡白に書き込み、続いて年齢、身長、性別を、こんな所で嘘をついてもしょうがないから素直に書き込んだ。
面倒くさくなればメールを拒否すればいい。
そのサイトはどうやら大手だったらしく、
1日ケータイを放置しておくと100通を超えるメールが来ていて、ひっきりなしにライトが光り、ケータイが震えていた。
その中の全員とメールなんて面倒くさいことはしない。
ランダムにタイトルだけで何人か選び、あとは消去。
その何人かを内容を見て1人に絞る。
「はじめまして。良かったらメールしませんか?」
淡白な内容で、おそらく私の方が年下なのに敬語を使ってくれているいい感じの距離間。
この人ならもし面倒になっても切りやすいだろう。
そう思って、100分の1の記念すべき出会いの相手にメールを返した。
「メールありがとうございます。こちらこそよろしく。お名前と年齢教えて下さい。」
そのメールを送って5分たたずにケータイが光る。
届いたメールのタイトルは
「メールありがとう。」
100分の1の奇跡の出会い。
相手の名前は、昭人。