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2.5次元恋愛~そんなことって本当にあるんですね~ vol.1

2.5次元恋愛~そんなことって本当にあるんですね~ vol.1


 2.5次元、それは色々な解釈があるだろう。2次元と3次元の狭間、実際に3次元の人間はいるのだけれど、2次元のなか、画面越しに出会ってしまう人…

2.5次元、ネットの人間と交流するのだってオフ会という3次元に行かなければそれは2.5次元上の付き合いでしかない。

 この話は2.5次元で知り合った実在する人間と恋愛をしてしまっているハンドルネーム「すっごいつくね」という女子の話である。

 ネット世界は大体の場合、フィクションの人物を除いて、実在する人物同士が画面越しにコミュニケーションを行うことができる。

 画面の中で語りかけてくる人間は実在すると思えば、色々な感情をその人に持つことも当然出てくる。友人としての感情、憎悪の感情、ネット上のファンとしての感情、そして時には恋愛感情。

 

 私は2.5次元動画サイトでその人に出会ってしまった。

 

 2.5次元動画は10年近く前から愛用している動画サイトで、ここ数年でたくさんのコンテンツが増え、ライブ配信機能もついたネット上で人気のあるサイトだ。

 私は今でこそ20代半ばだが、10代半ばの頃からそのサイトでライブ配信を楽しんでいた、すべてはネット上の世界。その中で友人ができたり、楽しい配信者のリスナーであったり、自分もまた配信者の端くれだった。中にはそこで恋愛を楽しむ人達もいたが、所詮ネット上の付き合いで多くの場合遠方に住んでいる人間と恋愛をする気にはならなかった。

 



 ある日のこと、いつも通り配信仲間と無料通話ソフトSkyphoneで通話を楽しんでいた。その無料通話ソフトはグループで通話やチャットを楽しむことができ、普通の電話とは違った。もちろん個人同士のチャットや通話も楽しむことができた。

 その日Skyphoneで話しかけてきたのはもうすぐ40代になろうとした年齢の男性でイヌ雄さんだった。

 イヌ雄さんはライブ配信の中で知り合った人で、私は単に歳は離れているが友人だと思っていた。しかし、向こうは違ったようだ。端的に言えば、Skyphoneで性的な通話を求める人で、いわゆるエロイポ厨だった。私に告白まがいのことをしてきて、その上で性的な通話を求めてきた。もちろんながら私は告白の返事ですら断ったし、性的な通話なんてもってのほかだった。だがイヌ雄さんはその後も執拗に個人的な通話を求めてきて、四六時中通話をかけてきた。私も断固として断れば良かったのだろうが、友人だと思っていた人で情もあり、なかなか関係を絶てずにいた。その人はそこで現れたのだ。

 ゆったり実況などでお馴染みの顔だけのキャラクターをアイコンにしていた、ゆたーりさんだ。ゆたーりさんは私のなかでお兄さん的ポジション30歳前後の男性である。つぶやきサイトのツブヤイターやSkyphoneでもやりとりをしている、2.5次元動画で知り合った人だ。

 ゆたーりさんは「あー、そういう人いるよね、やばいのと知り合っちゃったね」と相談にのってくれて解決まで持って行ってくれた。話さないときは全く話さないが、事あるごとに相談に乗ってくれる優しいお兄さんだった。

 そんなゆたーりさんの職業は音楽関係の仕事だ。最初はネットで虚勢張ってるのかな?とか半信半疑だったが、話を聞くうちにどうやら本当のようだった。そんな人がライブ配信なんかにいていいのか?と思ったこともあったし、自分の作曲した曲を誰もいないからーって流してる時もあった。しかし、2.5次元動画って意外と声優さんがいたり、実はプロの音楽関係の人間だったり、舞台俳優だったりと意外にもそういう関係の仕事の人は稀だがいる。とはいえ、この人これでいいのかな?事務所の人に怒られないのかな?とか思いながら知り合って一年が過ぎた。

 


 一年も経てば私の中でも相談相手というポジションから感情の変化はあった。これまでだって数年の付き合いのネット上の友人なんてたくさんいたし、最長で10年の付き合いの友人だっていた。しかし、今回生まれた感情はそれまでの自分では認め難かった「2.5次元恋愛」的な感情だ。ゆたーりさんとまったり過ごす通話が楽しかった。充実していた。そのうち、この人と一緒にいれたらなと考え始めた頃にはもう遅かった。今までの恋愛は3次元の中で、好きな人ができても好きな人から告白されるのを待っていた。告白されずにその人に彼女でもできようものなら失恋だと思っていたし、告白されれば実ったと思っていた。今回の相手はネット上、つまり2.5次元の人だ。遠くに住んでいるのも知っていた。もしも本気で告白しても相手は目の前にいるわけではなく、ネット上の関係を絶たれて終わるだけだ。それなら勇気をだして砕けてみるのもいいかもしれないと思った。私は振られるのを覚悟してゆたーりさんに告白した。

 ゆたーりさんの返事は別に打ち砕くようなものじゃなかった。「そう思ってくれてることはとても嬉しい。だけど、もう少し二人の時間をとってから考えたい。」そう言ってくれたのだ。玉砕覚悟だった私はまだチャンスがある上にこれから二人の通話時間やチャット時間が増えることに喜びを感じていた。ゆたーりさんのペースだから半年でも一年でもかかるだろうと踏んでいた。しかし、一ヶ月が経つ頃には「こんなんでいいのかなー告白されたのに」とか「進展しないねー」って向こうから言うようになっていた。私も「進展しませんね(笑)でもこのままの関係でも私は今十分幸せですよ^^」などとチャットを返していたときに唐突にきた返事が「お互い好き同士ってわかってるならそれでいいんじゃないかなー」だった。私は冷静になって考えた。それは「ゆたーりさんと私は両思いというやつじゃないだろうか」と。予想外の返信に困惑した。振られるものだと思っていたし、実る恋愛ではないと思っていた。私は「それって、ゆたーりさんは私の事を好いてくれてるってことですか?」と聞いてみた。ゆたーりさんは「うん、多分。」と曖昧な返事を返した。それって付き合ってくれるってこと?私は向こうが曖昧なのでこちらも曖昧に返した。「付き合いたい?」と返ってくる返事に私は即答し、そこから私の2.5次元恋愛は始まったのだった。

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