1章 02話 エルフのせいで元気に!
拙い文章ですが、広い心でお楽しみください。
話の区切れのせいで、文長がまちまちに……。
誤字脱字などなど、ご連絡よろしくお願いします!
どうも、天城 蓮です。
このオワターな状況。絶対一希のせいです。
あ、その一希は今、エルフを名乗る少女に治癒魔法を掛けてもらっています。
見た目には、そんなに怪我をしている様子はなかったのですが、ゲホゲホと咽た挙句、血を吐いていたので、内臓をどうにかされていたのだと思います。
え?変なしゃべり方?解説者風に行ってみて現実逃避というか、第三者になろうとしてたんだが。
お、そろそろ一希が復活するようだ。
「火の聖霊よ、汝、我友に暖かな癒しを。」
『ヒール』
狼を撃退したらしい少女が、俺に近づくなり、良く分からない事を言って俺の体に触れた。
蓮は、少し離れたところで、コチラの様子を伺っている。
ちょっとは心配している様子だ。
少女の手が赤色に淡く光る。
なんだこれ。
触れたところが少し暖かい。
変化は、瞬く間に訪れた。
さっきまでは息をするのも億劫な程、激しい痛みが体の中にあった。
しかし、それがこの少女の触れたところから段々と和らいでいったのだ。
否。和らいだのではなく、無くなった。というか、歩き回った疲れなんかも無くなったように感じる。
「これは……?」
「ん? 癒しの魔法だよ? エルフ程は珍しくないでしょ。」
少女はきょとんとした顔で小首をかしげる。
「魔法……。」
「うん。 癒しのね。」
魔法。さっきの狼と良い、この現象と良い、そしてこの少女。エルフと名乗った。
あぁ、これは確実に異世界だな。
蓮のトラブル体質は、とうとう世界の壁を越えたか。
全く以て、面白い。
お、一希がすくっと立ち上がった。
大丈夫っぽいな。
離れているところから、二人の様子を観察していた。
紛うことなき異世界。それを目の当たりにして、段々とあきらめもついてきた。
とりあえず、帰る方法でも探す旅に出る感じの流れだな。これはきっと。
向こうから一希がニカッと、人好きのする笑みを見せてくる。
あいつ、異世界判定を下した上で、楽しそうな顔しやがった。
お前のせいだ、お前の。
しかし……。
なんてことない普通の少女にしか見えないが、エルフ耳。
エルフのイメージ通り、ツルペタだが、幼女分でそうなのか、エルフ分でそうなのかは判断できない。
「あの、私、エリシーンって言います。エルフの里から出て来たばかりです。あなたたちは?」
少女が自己紹介する。
そしてコチラに誰何を求めてきた。
「俺は、伊吹 一希。助けてくれてありがとう、エリシーンちゃん。」
一希が自己紹介する。
これは俺も乗るところだな。
「俺は、天城 蓮。」
何となくムスっとした名乗りを上げてしまう。
一希の卒のない自己紹介にイラッ☆としたからに他ならない。
「いえいえ。ところで、こんな場所、そんな軽装で何してたんですか?」
エリシーンと名乗った少女が聞いてくる。
もっともな質問だ。
あんな化け物が出てくる森を、学生服のまま歩いているなんて、チャレンジャーを通り越して、自殺志願者だ。
「二人で、歩いていたら、この森に突然迷い込んだんです。」
一希が、俺たちが遭遇した珍事をありのままに説明する。
「うーーん、元々は何処に居たんですか?」
判断に困るだろう。そりゃ。
エリシーンがさらに、質問してくる。
「東京。ってわからないよね、きっと。日本。地球。どれか、聞き覚えある?」
「ないですね。」
「そっか。」
この問答で、一希も俺も、自分達の推察が間違い無い事を確信した。
現代の地球に居て、その全部が分からないなんてことは、基本的に起こりえない。
やっぱり異世界だ。
「私たちエルフは長命です。なので、知識なども人族の方に比べ豊富だと思います。でも、聞いた事がないです。とても遠くの国なのですか?」
「ちなみに、ここの国の名前はなに?」
質問に質問で返すな!って先生に。いや、ごめんなさい。調子にのりました。
一希の意図もわかる。
「エルダール国です。ちなみに、この森はシュタールの森と呼ばれています。」
「そっか、俺たちはその国の名前も森の名前も聞いた事ない。」
「え、とっても大きな国で、知らない人なんて……。」
そう、聞いたことも見たこともない。
おとぎ話ですら。
「そっか、じゃあ、たぶん間違いないんだけどさ。」
一希が俺を見る。え、なに俺に言えと? 答え合わせ的な?
「俺たち、違う世界から来たっぽいわ。」
「え?」
エリシーンがぽかーんとした表情をみせる。
お。アホの子っぽいな、この子。
「ええええええええええ!?」
俺の言った事を飲み込んだらしい彼女が、今度は劈くような悲鳴を上げた。
それを見て俺たち二人は苦笑いするしかできなかった。