~とりあえずストーカー退治~
初投稿作品ですので、誤字脱字多いんじゃないかな、と思われます。
「こんなのが読みたいな」とずっと考えており、「じゃあ自分で書けばいいじゃん」と思って書いた、突発的作品です。
私的欲望がぶち込まれた作品ですので、展開が急に変わったりするかも知れません。そのへんは許して頂きたいです(白目)
「孝浩、そっちは今どんな感じ?」
「・・・・・・・・・寝たい」
「アンタ状況を聞いたわけじゃないから。私はクライアントの状況を聞いたんだけど」
「ああ、そっちね。・・・・・・・・・バスに乗った、下校途中だな。友達数人と行動してる」
「りょーかいっと・・・・・・・・・よし、私達も行くわよ」
「あいよ」
バス停から離れた場所の歩道橋の上からクライアントを監視していたが、どうやら移動するらしい。
それも当たり前か、バス来たんだし。
それに追いつく為にダッシュで歩道橋の階段を降りていく。
「あ、今日見たいアニメの放送日だわ。帰っていい?」
「ばっ、今は仕事中でしょうがっ!録画予約してあるから、この仕事終わったら家に来なさいっ。今は仕事、しっかりして!」
「う、ウィッス」
というか、見たいアニメって言っただけで何のアニメかわかったのかよ。
「そろそろクライアントの言っていた時間ね。準備を始めましょう」
「陣取りは?なるべく高い所の方が狙いやすい」
「歩道橋なら丁度いいんじゃない?私は直接バスに乗るから関係無いし」
テメェなんの為に俺をここまで連れてきたんだよ。動く意味なかったじゃねぇか。
「じゃあ俺は戻るから、無線オンにしとけよ。じゃあな」
耳に付けていたインカムをオンにして歩道橋に戻る。
見渡しの良い事を確認し、背中に背負っていた少々大きめのギターケースを隣に置く。
ケースを開けて、飛び出し防止のゴムを外す。
「よし、お仕事と行こうか、相棒」
ケースから少々改造したワルサーWA2000を取り出し、バイポッドを歩道橋の縁に乗せる。
「うわ、バランス悪いな」
歩道橋の縁はペンキが錆びて剥がれかけている。
何度も上から塗装したのか、何層ものペンキの色が見える。
それがバイポッドのバランスを崩している。
「あー、イライラしてきた」
ほんの少しのズレでも油断は出来ない。
「す、すんません。歩道橋の縁が錆びてて目標に当たりませんでした、テヘッ」なんて言う言い訳はしたくない。というか、聞いてくれない。誰も信じない。
「一介の高校生が狙撃銃撃つって事自体世間からしたらありえねぇもんな」
まぁ、俺と部長、吹雪は特別なんだが。
仕事上、銃火器が必要になった場合、俺と吹雪は任意で銃を使用できる。
使う銃には色々制限が掛かるが、そもそも火力自体求めていない。
バスに向かってグレネードランチャー撃つような馬鹿じゃないし。
「・・・・・・・・・吹雪ならやりそうかな」
想像したら笑えてきた。
『孝浩、聞こえる?』
俺の想像を掻き消すかのように、耳元から吹雪の声が聞こえる。
「なんだ?」
『来たわよ。時間通りね』
クライアントを追いかけてバスに乗った吹雪から無線が飛んできた。
『見えるかしら。黒の防止に黒のジャケット、黒のズボン。全身黒ずくめね。絶対あいつラノベの読み過ぎよ』
「はいはい、主人公がいれば一目惚れフラグ建つね」
『今時ストーカーっているものなのね。アイドル追っかけ回してる方がまだマシに思えるわね』
「その発言色々と危ういぞ」
『しっかし、高校生をストーキングって、ただのロリコ―――――』
「お前の頭に標準合わせてるんだけど、撃っていい?」
『どうぞご勝手に~』
じゃあ撃とう――――――とはならない。
俺が頭に標準合わせてない事を知って言ったんだろう。
『で、そっからも確認できる?そろそろ次のバス停に止まるけど、建物の隙間に隠れてるわ』
「よく見つけたな」
「周りを見る目は持っているつもりよ」
言われた通り、バス停の近くの建物を隙間をスコープの倍率を変えて覗く。
そこには、吹雪の言った通りの装いをした男が居た。
鼻息を荒くし、ニヤニヤしている。
絶対、危ないヤツだ。
「吹雪、あいつは、黒旦那は武装してそうか?」
『黒旦那って、ああ、ストーカーの呼び名ね。見た通り、武装はしてなさそう。小型の拳銃とか、ナイフを隠してる可能性も無い訳じゃない。油断はできない』
「ああ、そうだな」
バスがバス停に着き、ドアが開く。
スコープで覗き、男に標準を合わせつつ、無線に気を配り、クライアントを守る。
「・・・・・・・・・めんどくさくなってきた」
『馬鹿言わないでよ。目標は目の前なんだから』
ちょっと怒っているのか、低めの声が耳元から聞こえる。
『じゃあ、遅めの状況開始よ』
「あいよ」
ワルサーWA20000の、改造したグリップを強く握り締める。
「・・・・・・・・・よし、行ける」
『男が動いたわッ』
言われるがままに、スコープから男を見る。
隙間から身体を出し、バス停に歩き始めていた。
すぐにバスの中に銃を向けて中の様子を覗う。
女子高校生3人組が険しい顔でバスを降りていくのが見えた。
真ん中の女、それが今回のクライアント。
ストーカーから守ってほしい、まぁ、よくある相談事だよな。
でも、ストーカー被害は約二ヶ月続いてる。結構深刻な状況でもある。
ストーカー、黒旦那が何時行動に移すか分からない。
そこで、俺達を頼ったワケだ。
『孝浩、クライアントにインカムを渡してあるの。声を聞いてあげて』
「なッ、余計な事を―――――」
俺の意見を聞く訳もなく、声が切り替わる。
『ご、ごめんな、さいッ・・・・・・ま、ま、巻き込んじゃってッ』
聞いてわかるように、震え声だ。
二ヶ月近く、真面に寝ていないらしい。精神状態もギリギリだろう。
「えっと、名前、なんだったっけ」
『え、恵美、です』
「わかった。恵美、俺達を信じろ」
柄にもない事を言っているような気がする。普段は、こんな言い聞かせるような事は言わない。
精々自分が緊張している時位だろう。そう言うのは。
「何の為のボディガードか、わかるな?」
『は、はい』
スコープ越しにも、恵美が頷いているのが見えた。
「じゃ、頑張れよ」
強制的に切り替わった無線を、吹雪に繋ぐ。
「おい、クライアントにインカム渡したなんて聞いてないぞ」
『言ってないもん』
こんにゃろう、後で覚えてろ。
『でも、少しは緊張解けたんじゃない?』
後ろに離れた場所から女子三人組を追う吹雪は、どこか優しげな声を出す。
『アンタがあんな事言うなんて珍しいけどね、私には言ってくれないのに』
「お前には言い聞かせるような事は無い。無鉄砲だからな」
『失礼ね、ちゃんと考えて行動してるわよ。っと、そろそろインカムをプライベートからオープンに切り替えて』
言われるまま、インカムをオープンモードに切り替える。
吹雪の声が聞こえなくなる。が、それでいい。
オープンモードにすれば、繋がっているインカム同士の音の交換をダイレクトにする事が出来る。
いわゆる、準盗聴器だ。
耳元からは色々な音が聞こえる。
車のエンジン音や、人の喋り声がダイレクトに伝わってくる。
俺は、恵美のインカムにオープン接続する。
『恵美、大丈夫だよ。私達がついてるから』
『う、うん』
『孝浩、黒旦那と接触するわ』
え、なんで吹雪の声が?
恵美の隣を見ると、茶髪ロングのカツラを被った吹雪が恵美の隣で歩いていた。
「なるほど、変装ね」
吹雪は変装して恵美の隣に付き添っている、これは良い作戦かもしれない。
『え、恵美たん・・・・・・・・・』
黒ずくめの男が、三人の道を塞ぐように立つのが見えた。
ハァハァと息を荒げて興奮している。黒旦那の声だ。どうやら接触したそうだ。
スコープの倍率を少し下げて、四人の状況を見届ける。
『ちょっと、アンタ恵美のなんなの?そういうの迷惑なんだけど』
恵美の友達が黒旦那に声を掛ける。
『ぼ、僕は、え、恵美たんが、だ、大好きなだけ、だお・・・・・・・・・』
お前はや○夫か。
『そ、そういうの、め、迷惑ですッ!』
恵美が、悲鳴に近い声で叫ぶ。
それを見た周りの通行人は四人を避けるように歩く。
いい感じだ。
通行人が避ければ、狙撃しやすい。
「まぁ、狙撃するような事が無い方がいいんだろうけど」
俺の狙撃は最終手段。俺の出番は無いと言ってもいい。
クライアント、恵美の隣には吹雪が居るのだから。
『な、なんで・・・・・・・・・?僕は、恵美たん、君を愛している、だけなのに』
『え、キモっ。そういうの二次元だけにしときなさいよ』
吹雪、空気呼んで。
『大体、お前たちはなんだよぉ・・・・・・僕は恵美たんに用があるんだ』
『そう、私達はアンタに用があるの』
そう言いながら、吹雪は肩に下げていたバックの影から黒い物体を取り出す。
俺は、それを今まで腐る程見てきた。
――――――M4アサルトライフル-HUBUKIカスタムモデル。
自分の名前を銃に付けるのかと、疑問に思ったが、機能、性能はバカバカしくなる程の代物だ。
銃弾は5.56x45mmNATO弾、口径5.56mm、銃身長368.3mmと平均だが、変形式なのだ。
どんな魔改造したらそんな機能を持たせれるのかはよくわからないが、待機形態の状態ではアタッチメントグレネードランチャーよりもやや小さめに感じる棒サイズまで格納される。
もし使うとなれば、待機形態の時の飛び出ているトリガーを引けば0.3秒でアサルトライフル形態になる。
それを、毎回口論になると出すから勝てないんだよな。
WA2000とM4ってサイズが違いすぎるし、取り回しにくいんだよ。俺の銃は。
俺は銃を出そうとして、構えたらもう銃口が俺の額を捉えた状態で口論が始まるんだ。
俺は、「今財布からお金出すんで会計ちょっと待って下さい」系男子の感覚に似た「今から銃出すんで撃つのちょっと待って下さい」系男子だ。
それに比べてあいつは「スニッカーズ持ち歩いてますよ」系女子の感覚に似た「スニッカーズサイズまでコンパクトになったアサルトライフル持ち歩いてますよ」系女子なのだ。自分でも何言ってんのかわからんが。
まぁ、黒旦那からしたらいきなりアサルトライフル向けられてるようなもんだし。
『さて、お話があるんだけど、いい?』
そう言いながら変形が済んでいるM4を黒旦那に向ける。
『ちょ、そ、それ、本物?』
『あ、危ないよ、三十木さんっ!』
恵美と恵美の友達が顔面蒼白で震えている。当たり前か。
『そ、それ、M4じゃないかっ!す、すごい、本物だおっ』
黒旦那は、何故か知らんが銃を見て興奮している。
まさかとは思うが、こいつ――――――
「・・・・・・・・・軍オタ?」
予想外過ぎた。ストーカーが軍オタなんて誰が想像するだろうか。
ま、想像を絶する光景が今スコープ越しに映ってるわけですが。
吹雪達からしたら目の前でそれを見てるわけだし、恐ろしいだろうな。
『そ、それ、僕におくれよ・・・・・・恵美たんも、僕に、おくれよ・・・・・・』
目が逝きかけている。
「クソッ、廃人が―――――――」
黒旦那の頭に標準を合わせる。
これで、いつでも撃てる。
確実に、ストーカーを撃ち殺す事が出来る。
『恵美たん・・・・・・エミタァァアアアアアアアアンッッッ!!!!』
大声で黒旦那、いや、これからはヤツの代名詞はストーカーに戻す。
ストーカーは腰に隠し持っていた大振りのサバイバルナイフを振り抜き、恵美とストーカーの間に入って、守るように立っていた、
吹雪に切りかかった。
突如、インカムにブツッと線が切れる様な音がする。無線がプライベートに切り替わった。
『孝浩、撃ってッ!!』
撃て、それを聞いた俺は、
「――――――――鷹の目、発動」
目が、紅く輝く。
視界が赤く染まり、思考が速まる。
『神経加速開始――――――ターゲット補足』
世界が止まる。動くのは、俺ただ一人。
『リミット・サード-タキオンⅡ―――――発動』
神経加速が徐々に速くなっていく感覚を感じ、銃を、ターゲットへ向ける。
視界に映るターゲットは、目の前にいるかのようにハッキリ見える。
視るのは恵美、吹雪、ストーカーの三人。
ストーカーは吹雪を切りかかる、一歩手前で動きを止めている。
正確には、止まって見える。
それが、鷹の目―――――――
「逝け――――――――ッ」
俺は、引き金を引いた。
標準は勿論、ストーカーの――――――