日本海条約機構緊急理事会
あけましておめでとうございます。
今年一発目の更新です。
午後6時
日本首都東京日本海条約機構本部5階大会議室
ここで日本の要請により、日本海条約機構緊急理事会が召集された。アメリカ合衆国が実質的鎖国状態となっている現状、国連はその機能と権威を完全に失っていた。国連は事実上形骸化し、指導力もへったくれも無かった。その為に日本海条約機構理事会は、世界第2位の経済大国日本(中国が3ヶ国に分裂し、経済力が大幅に低下した事を受け、日本がGDP世界第2位に返り咲いた。)とかつて二大超大国と言われたロシア連邦、それに加え東南亜細亜各国も加盟し、オブザーバーとしてパプアニューギニア・オーストラリア・パキスタン・モンゴル・カザフスタンが参加している為に、世界で一番権威のある国際機関となっている。それはEUを差し置いて、JSTOが上に位置する事を意味していた。
「それでは日本海条約機構緊急理事会を開始します。」
議長の小池静恵事務総長の言葉により緊急理事会が始まった。
日本海条約機構は対中包囲網として2015年2月8日に設立された。しかし設立から僅か2ヶ月で中国は分裂。しかし分裂したものの中華人民共和国と中華民国はJSTOにとっては敵であり続けた。その後中華連邦が加盟し、パキスタン・モンゴル・カザフスタンが加盟した為に、中国分裂というアクシデントはあったが包囲網は確立されたのである。そして包囲網確立から20年、遂にJSTOに対しての武力攻撃が行われたのである。
「今回のマニラ消滅について、高瀬香織軍事評議会議長から説明があります。」「それでは説明します。」
小池事務総長の言葉に、高瀬軍事評議会議長が立ち上がり説明を始めた。JSTO創設から20年経過し、日本が遂に事務総長と軍事評議会議長を独占した。
「マニラを消滅させた核兵器はアタッシェケース型の核兵器と想定されます。こちらをご覧下さい。」
高瀬軍事評議会議長は大型液晶画面の映像を切り替えた。
「マニラ郊外の監視カメラが捉えた映像です。ご覧頂いた通り、爆発の規模はマニラ中心部のみを狙った物になります。レーダーにミサイルや航空機が確認されていない以上、アタッシェケース型と推察するのが妥当と思われます。」
「アタッシェケース型として、犯人は分かったのですか?」
ロシア連邦大使が質問した。
「第1に推察出来るのは『紅の太陽』です。」
「紅の太陽!?」
高瀬軍事評議会議長の言葉に、インド大使が叫んだ。
「紅の太陽。かつて中東で勢力を強めたアーカイダの一部と、中華人民共和国・中華民国の退役軍人が合流した国際テロ組織です。資金面・装備面、組織としては、世界最大です。」
「成る程。」
中華連邦大使が頷いた。
「そして第2はそのアーカイダです。かつての勢いは無いですが、未だ国際テロ組織としての規模はあります。それに加え……」
「失礼します!!」
高瀬軍事評議会議長が話している途中、血相を変えた士官が飛び込んできた。
「……嘘でしょ!?」
話を聞いた高瀬軍事評議会議長は叫んだ。
「どうしたの?」
小池事務総長が尋ねた。
「冷静に聞いて聞いて下さい。中華連邦首都香港、高麗共和国首都平壌、ロシア連邦首都モスクワ、インド首都デリー、タイ首都バンコクで爆破テロが発生しました。」
「爆破テロ!?」
会議室は騒然とした。
「爆破テロは……」
「し、失礼します!!」
再び士官が飛び込んできた。
「……!?」
高瀬軍事評議会議長の顔が歪んだ。
「大阪の『阿倍野ハロカス』で爆破テロが発生し、倒壊しました。」
「!?」
会議室は再び騒然とした。
『香港は銀行タワーが標的にされた。基礎から爆破された為に銀行タワーは崩壊。平壌はリギンホテルが爆破された。330メートルの高層ホテルも基礎から崩壊した。モスクワはレニングラードホテルが標的となり、デリーはアクシャ寺院が爆破され、バンコクは国立美術館が爆破された。そして大阪では阿倍野ハロカスが崩壊した。日本海条約機構の中核を担う国が標的となった。20万人を超す死者を出し、大打撃を各国に与えた。』
旭日新聞一面より抜粋