25/38
泣き虫 いってきます
全てを語り終えた、華奈さんは一息ついて全体を見渡した。
どうして、志継さんがこんなことになってるのか。その謎が、あたしの中でついに解決した。
自分が知らないところで、志継さんは深く傷つき、人間としての感情を失っていた。
その、志継さんを助けたのが、由雄くん。
そして、再び志継さんが壊れるきっかけになったのも、恐らく由雄くん。
「……志穂さん?」
神妙な面持ちでいたのだろう。
華奈さんは、心配そうにあたしの表情を覗っていた。
「あ。はい、すいません。それと、ありがとうございます」
再び黙り込む、あたし。
でも、答えは見つかっている。
何をすべきか。
何がしたいのか。
「志穂」
シゲくんの急な呼びかけに、しかし、あたしは緩慢に視線を向ける。
「行ってこい」
「シゲ……くん」
「後悔したくないんだろ?」
ああ。この言葉だ。
全てを見てきたんだろう。いっぱい我慢もしたのだろう。
それでも、この人は許してくれる。
あたしの我儘を。
この人が背中を押してくれるから、あたしはここまで迷っても止まることなく来れたのしれない。だから、シゲくんには、後でいっぱいお礼を言わないと。
心に、静かにそう誓って。
「いってきます」
あたしは、そう告げた。
待っててね。
あたしが……助けるから!




