幕間 『遺言』
「もう……いや」
目の前には、足場のない空間。
私は……どこか高いところにいる。
認識はしているが、頭の中は空っぽだ。
「………」
私はさらに前へと進んだ。
死ぬために。
私はさらに前に進んだ。
死ぬために。
生きてさえいればきっと……
なんてよくいうけど、そうまでして無理する理由が私にはない。
一番大切なものは、そばにいて欲しい存在はもう無い。
消えてしまった。
だから、今会いに行く。
今会いに……
あの人のもとへ。
大好きなあの人のもとへ。
―フェンス越しにドアの開く音がした―
(あの子か……)
今更なんの用があるのだろうか。
そして……何かを叫んでいる。
でも、
聞こえない。
聞こえるはずがない。
聞きたくない。
そして……私は最後の一歩を踏み出した
空中を落ちていく中で、私は最後にあの子の顔を見た。
―泣いている―
……それだけわかった
……何も感じなかった
……ただただ何もなかった
死ぬ事に勇気なんていらないって事が今わかった。
結局はただの思いつき。
あとからやってくる痛みを感じて、あとは全て終わり。
後悔はない。
こんな事しなくても死んだも同然だったから。
後悔はないよ。
「………………ノゾム」
―グチャ ―
気味の悪い音と共に彼女は息を引きとった。
今では彼女も『この世』にいない。
残ったのはただの肉塊だけである。
ただ、その頬には目から一筋の涙の通った跡が残されていた。
「ごめんなさい」
その一言と共に




