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壁越しの二人   作者: 雄たけび巨人
第2章 壁越しの雑音
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幕間 『遺言』

「もう……いや」

 目の前には、足場のない空間。


 私は……どこか高いところにいる。

 認識はしているが、頭の中は空っぽだ。


「………」


 私はさらに前へと進んだ。

 死ぬために。

 私はさらに前に進んだ。


 死ぬために。


 生きてさえいればきっと……

 なんてよくいうけど、そうまでして無理する理由が私にはない。


 一番大切なものは、そばにいて欲しい存在はもう無い。

 消えてしまった。


 だから、今会いに行く。


 今会いに……

 あの人のもとへ。


 大好きなあの人のもとへ。


―フェンス越しにドアの開く音がした―


(あの子か……)


 今更なんの用があるのだろうか。

 そして……何かを叫んでいる。


 でも、

 聞こえない。

 聞こえるはずがない。

 聞きたくない。

 そして……私は最後の一歩を踏み出した

 空中を落ちていく中で、私は最後にあの子の顔を見た。


―泣いている―


 ……それだけわかった

 ……何も感じなかった

 ……ただただ何もなかった


 死ぬ事に勇気なんていらないって事が今わかった。

 結局はただの思いつき。

 あとからやってくる痛みを感じて、あとは全て終わり。

 後悔はない。


 こんな事しなくても死んだも同然だったから。

 後悔はないよ。


「………………ノゾム」


―グチャ ―


 気味の悪い音と共に彼女は息を引きとった。

 今では彼女も『この世』にいない。

 残ったのはただの肉塊だけである。


 ただ、その頬には目から一筋の涙の通った跡が残されていた。


「ごめんなさい」

 その一言と共に


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