玉姫大明神
「エ〜ッ、なんだあ〜ココ?」ネットの地図に導かれて着いたのは家の近くの小さな小さな神社だった。
「初詣で昔は平安神宮まで行ったけど、今は面倒だからいつもココで済ますよ〜でも、元旦でも数人しか来ないよ、ココは。鈴とか無いし〜賽銭箱もあったかな?
幅1mくらいで奥に15歩も行かない小さな神社だった。
木札には玉姫大明神と書かれている。しかし、下の方が煤けて読みづらい。
境内は鬱蒼とした茂みになってるが、周りは大きなマンションもあり普通の住宅街だ。友美の家もその1軒だ。
「なんで、ここが鵺でヒットしたんだ?」頼政も友美も首をひねる。
もっと検索すると、「あ〜っ、分かった!もう一つ玉姫大明神が二条城にあるんだ!そこが鵺神社と呼ばれてるらしいよ。
あれ?でも、鵺の森と呼ばれたのはここら辺だよね。
なんであっちなんだ?」頼政は困惑する。
「えーっとね、それは知ってるかも。京都御所は火災で燃えて700年前くらいに今の場所に移動したんだよ。割とちょこちょこ浸水とかでも移動してて今の場所にちゃんと定まったのは200年くらい前だよ。
だから多分二条城の辺りの方が元の場所に近いんだよ。
だから天皇が清涼殿(天皇の住まい)で鵺の鳴き声を聞いて病となり亡くなった話に基づいて鵺神社にされてるんじゃないかな?
平家物語の記述しかないんだよ。
応仁の乱からこっち京都は戦争に継ぐ戦争で訳分からなかったし荒廃してたし文献ないんだよ、琵琶法師の語り以外。」先祖代々京都の東山に住んでるのでご先祖様からそこら辺の話は聞いたようだ。
「そうかあ〜政権が安定してないと文献が残らないんだ!先のものは全て焼いて破棄するから!」頼政は、何だか感動してる。
「するとネットの検索ミスじゃなく、こっちが本当の鵺神社なのかもしれないな。
あっちには大きな池があるから鵺を斬った武者が武器を池で洗ったと言う行で池がある場所にしたのかも?
こっちにも池ないの?」頼政が下を探すと石で組まれた窪みがあった。
「これは?」頼政が友美に聞く。
「昔はコンコンと水がわき出る場所だったらしいよ。
祖父が若い時は。えーっとね、確か名前もあったんだよ。」とそこら辺の石をこする。
すると石に神池の文字が浮かんできた。
「そうそう、神池!この沢水で祖父は酔っ払って寝て起きて顔洗ったと言ってたよ!」と友美が古い祖母の話を思い出す。
「二条城の近くの池は人口池だけど、コッチはこの山の沢水だから、平家の頃だとこっちの可能性が高いな!あっ、なんか面白いな!こう考えると!」頼政が喜ぶ。
「江戸時代になってやっと残った文献を元に学者がああでもないこうでもないと決めた事がほとんどだから、どれが正しいか本当の所は分からないんだよね。
隣の御陵駅だって、大正時代くらいに山を造成して勝手に天智天皇陵にしただけだし。
これは、祖母が怒ってたから覚えてる。
いい加減すぎるって。」友美が笑う。
「じゃ、やはり鵺の血を洗った場所はココかもしれないね。沢水で流れる所じゃないと、血糊は洗わないと思うよ。ため池じゃ、鵺の血で疫病が流行るかもしれないしね。御所の池では絶対血糊は洗えない!」頼政と友美はちょっと歴史が面白くなってきた。
文献がチャランポランだと分かれば、それは推理ゲームで真相を解き明かすゲームみたいだ。




